イギリスの音楽産業について考えるブログ
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2009/02/26 22:55
ファンは悪くない
少しだけ。

RO69のブログにあったU2の新作リークの記事が少し酷いと思ったので、一言。記事はこちら

先に、この件での英語のソースを3つ並べてみます。

Label Leak to Blame for Early Arrival of U2’s “No Line on the Horizon” - The Rolling Stone (20/2/2009)
U2 Release Blunder Down Under - Billbord.biz (20/2/2009)
U2's label responsible for leaking new album? -NME.com (21/2/2009)

内容はどれも一緒。

1) U2の新譜「No Line on the Horizon」が、発売日前にも関わらず、何らかの原因でオーストラリアのオンラインショップ「Getmusic.au」にアップロードされる。
2) それに気づいたファンが、同サイトよりアルバムを購入し、DLする。
3) およそ2時間後、スタッフがエラーに気付き即削除。
4) 新譜を購入したファンの何人かが、ブログに購入時のスクリーンショットと$19.80 Australian ($12.80)という値段を載せた記事を掲載する。

つまり、今回P2Pに出回った“リークされた”とされていた音源は、ファンがちゃんとオンラインで購入したものの可能性が高いというのです。そのため、今回責任を問われているのが、ファンではなくオーストラリアのユニバーサル・・・というのが事の結末です。これと比較すると、RO69で説明されている「ユニバーサルが誤ってネット上(オンラインショップではなく)にアップロードしてしまった音源を、誰かが発見し、コピーしたものが流出した」という流れは、P2Pでシェアするのが良いかどうかは別問題として、まるで「誰か≒ファン」が悪者かのような表現です。誤って販売ルートに乗ってしまった音源を“正規”の方法で購入したファンが、まるでハッキングやパトローリングをしているかのように表現されるのは、個人的にとても不快です。

自分も弱小でもブログをやっている限り言葉遣いには気をつけたいですが、評論家の方がこのような書き方をするのはとても残念です。
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2008/10/19 03:13
NMEを信じるな?
今週の英音楽ニュースが更新できないまま今週が終わりそうですが(明日更新します)、こっちが先。

昨日、Music Allyで明らかになったRadiohead「In Rainbows」の実験結果に関するニュースですが(参照:「Pay-what-you-want」実験の結果が明らかに)、NMEも取り上げています。

Radiohead reveal how successful 'In Rainbows' download really was - NME News(15/10/2008)

でも、この報道の仕方がどう考えてもおかしい。以下記事より引用。

According to reports most fans chose to pay nothing to download the album.
((アイスランドのコンフェレンスでこの実験について発表したDyball氏の)報告によれば、ほぼすべてのファンはこのアルバムを無料でダウンロードした。)



もう一度張りますが、Dyball氏の報告について他の報道の大本になっているレポートはこれ。

Exclusive: Warner Chappell reveals Radiohead’s ‘In Rainbows’ pot of gold - Music Ally(15/10/2008)

どこにも「ほとんどのファンがアルバムを無料でダウンロードした」といった趣旨の内容はありません。NMEがこのコンフェレンスに参加していたとしたらすごいなぁと思いますが、そうでもない限り、この情報がどこから来たのか疑わしいところです。

ただし、Dyball氏の報告がどうであったかはさておき、どれくらいのファンが無料で購入したかは公表すべき数値だったのではないかと思います。報告にある統計では「『In Rainbows』の通常版CDが発売になる前に、同アルバムの売上は(99万枚売り上げたとされる)「Hail To the Thief」の全フォーマットでの総売上額を超えている」とありますが、少数の人がものすごい高額でアルバムをダウンロードすれば、後の大多数は無料で買ってもヘイルを超える可能性はあります。売上枚数と売上額は違う」というからくりは頭にとめておくべきだと思います。

このニュースに関しては探したんですけどあまり報道されてないんですよね。業界紙「Music Week」も完全無視ですし(紙面がリニューアルされてから動きが鈍いこの雑誌・・・)。ぱぱぱーっと載せている海外のニュースサイトっぽいところをいくつか読んでみましたが、皆さん結構冷静です。「私も、こうゆう統計に関わる報道は手元にデータがないと疑ってしまう癖がついてしまったので、この実験を両手を挙げて「大成功!」と言う訳にはいかないなぁと正直思っています。しかも、この実験は音楽業界の大半を占める中小レーベルにはあまり関係のないことですし。しかしながら、「ほとんどの人が無料でダウンロード」したわけではないことが明らかになれば、この実験の意味はかなり大きいでしょう。現時点でも興味深いですが。

やはり、裏付け情報なしでは何も始まりませんね。
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2008/10/15 08:19
情報の信憑性
10 Million Reasons to be cheerful? -Variant(22)

少し古いですが、BPI(英レコード協会)の発表した数字が過度に誇張されていることを指摘した記事です。メディアの情報を100%疑いもなく信じ込むような人はあまりいないと思いますが、あえてブログで紹介することにします。

記事によれば、2004年12月1日、BPIがFederation Against Copyright Theft (FACT)とスコットランド中央警察と協力して、音楽の海賊版行為(?)に関わった疑いのある28人を逮捕、うち15人は著作権および商標権法侵害の疑いで警察官に報告されたとのをBPIが発表。これに関して、BPIの海賊版防止担当のディレクターDavid Martin氏は、BPIのプレスリリースの中で「£1000万(≒20億円)以上相当の偽造品を押収した」と述べたそう。この件で押収されたものは以下の通り。

-音楽CD 3992枚(違法コピー、海賊版、ブートを含む)
-映画およびDVD 2979枚
-ポルノ作品とPC用CD 1452枚
計:CD 8323枚

記事の著者(=私の指導教官)が、押収した偽造品の想定金額£1000万を割ってCD1枚あたりの価値を計算したところ、なんと1枚約£1201(≒24万円)。ただし、多くの人が15ポンドとか20ポンド出してポルノCDやブートを買っていることは事実。ということで、彼はBPIに直接電話で問い合わせたようです。最終的に彼がまとめたポイントを一部抜粋します。

●BPIによれば£1000万という額は、押収品の闇市場価格に基づいているというが、プレスリリースは「偽造品のみで£1000万」となっており、「偽造品以外の全ての押収品を含めて£1000万」となっていないため、事実と異なっていると言える。
●BPIはこの件に関する分析結果を持っていないと回答した。このため、プレスリリースの数値が正しいかどうか判断する手段は何もない。
●仮に全てのCDが1枚£15の価値があるとしても、合計£12万7845となり、£1000万には到底及ばない。
●BPIがどのように価値を計算したのかが不透明である。
●この逮捕劇には、BPIの範疇外である音楽配給や小売の利益に関わることも含まれている。
●BPIの£1000万という数値は、押収された全ての偽造品が売れた場合の計算だが、何故全部売れたという想定で計算できるのか、また押収された偽造品が本当にBPIが想定しているように売れるのかどうか疑問である。

この記事を読んで、パッと頭に浮かんだのが、このブログでも紹介したこの記事。

"Radiohead sales show fan's loyalty to illegal sites"- The Independent(4/8/2008)
(参照:"違法ダウンロード"は次の次元へ

これも数字が大きすぎるんです。英国内での違法DL数が年間650万なのに、Radioheadの「In Rainbows」だけで、しかも1ヶ月足らずで230万というDL数が現実にあり得るのかどうか。Radiohead自身は「In Rainbows」のオフィシャルサイトからのDL数に関しては一切発表していないのに、「違法DL数がオフィシャルサイトからのDL数を上回った」と言い切ることが可能なのか。その上、これも、私の探した限りPerforming Right Society(注:記事では"Rights"となっていますが、単数形が正解 )の調査結果は一切公表されていません。

昨日見た、人権に関わるイベントの動画でとある方が言っていた言葉が思い浮かびます。ディクテーション自信ないですが。

「The main solution is to realise that...it's to learn how to read the media and understand the media. It's not just what they're saying, but it's how they're saying.[...], and learning how to read the newspapers and how to watch televisions. It's not a passive thing, but it should be a very active thing.」
(大事なことは、どうメディアを読み、理解するかを学ぶことなんだ。それは彼らが何を言っているかだけでなく、どのように彼らが言っているかが大事ということ。そして、僕たちはどのように新聞を読み、どうテレビを見るかを学ぶべきだ。これは受身の行動ではなく、むしろ積極的なアクションなんだ。)


これと同じようなことをこっちに来てからよく考えていたので、まさにドツボなコメントでした。このコメントの実践がきっと今必要だと思う、生活のあらゆる場面で。
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プロフィール

anno69(@yano)

  • Author:anno69(@yano)
  • イギリスの音楽産業、特にデジタル・ミュージックと音楽産業における環境問題対策に関するブログ。スコットランド大学院留学記も。
    管理人は、スコットランドのグラスゴー大学大学院ポピュラー音楽学コースを修了し、帰国。音楽好きの普通の会社員をしています。お問い合わせは cielo0818_ls [at] hotmail.com までお気軽にどうぞ。
    A blog dedicated to topics of the UK music market in particular digital music, copyright and environmentalism in pop music.

    ●Twitter:http://twitter.com/anno69
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