イギリスの音楽産業について考えるブログ
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2011/12/13 01:25
"ガラパゴス化"を再考する -JASPM23の個人発表を終えて-
改めまして、昨日12月11日、JASPM23(第23回日本ポピュラー音楽学会年次大会)にて、個人発表の機会を頂きました。私個人の思いはさまざまあるのですが、発表を終えた後に人と話したり自分で考えたことをここでまとめようと思います。

その前に、JASPM23に参加していた方で初めてこのブログに来て下さった方用に。大学院時代は、デジタル関係とは全く関係のない、こんな研究をしていました。著作権関係は院時代のレポート課題で書いたりはしていましたが、デジタル関係については、個人の興味関心に基づいて調べてきた・・・という経緯です。

"Who can make the live music industry go green?" - Green Sound from Glasgow (18/8/2009)




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2011/10/23 11:11
Deezerは当分日本(or アメリカ)には来ないらしいという話。
Music streaming site Deezer to launch in 100 countries - The Reuters (19/10/2011)
Deezer Signing Deals To Launch In 130 More Countries - paidContent:UK (21/10/2011)
(※国の数が違うのですが、ソース元であるThe Reutersが100としているので100以上ということで考えておきます)

フランスだけで2000万人の無料会員(内140万人は有料会員)を抱え、先月イギリスでもローンチされたフランスの音楽ストリーミング・サービス、Deezerが、今後100カ国以上でのサービス開始に向けて準備していることが明らかになりました。

本題に移る前に軽く説明すると、Deezerはオンデマンドによる音楽ストリーミングを行っているサイトです。フルで音源を聴くにはイギリスだと有料会員である必要があるのですが、wikiによると、フランスでは月5時間まで無料とのこと。カタログ規模は1300万曲。2010年にはフランスの携帯電話マーケットで最大シェアを誇るOrangeとパートナーシップを結び、特定の携帯とのバンドル販売を開始(イギリスでも同様のパートナーシップを結んでいる)。これによりDeezerは一気に成長を遂げました。イギリスでのローンチについてはブログ「jay kogami's posterous」さんで取り上げられていたので是非:

フランスの音楽ストリーミングサービス「Deezer」が英国進出しSpotifyに挑戦へ - jay kogami's posterous - (6/9/2011)

このサービス、フランスとイギリスだけなのかと思ったら、ブログ「alt-scape weblog」さんによると、少なくとも2009年1月まではヨーロッパを中心にローカライズされたバージョンが使えるようになっていたようです。その中には、今後サービス開始が予定されている国の名前もありますが、現在も一部サービスが使えているのか、完全にサービス停止状態なのかは残念ながら分かりません。

無料で音楽ストリーミング「Deezer」 - alt-scape weblog(5/1/2009)

さて、DeezerのCEOアレックス・ドーシェ氏がThe Reutersに語ったところによると、同社はSpotifyやPandoraといった競合サービスとは違ったアプローチをとり、アメリカをターゲットにしない決断をしたとのこと。代わりに、競合サービスの目が届いていないドイツ、イタリア、スペイン、トルコ、インドネシア、韓国、メキシコ、そしてブラジルなど100を越える国でのサービス開始を今後数週間の内に発表したいとしています。

ドーシェ氏曰く“私がアメリカでのライセンス獲得には興味がないとメジャー・レーベルに伝えたとたん、交渉ははるかに簡単になる”とのこと。その上でDeezerは、アメリカもしくは日本を除いたグローバル・ライセンスに向けて交渉を続けており、実現すれば数十各国単位で直ちにサービスが開始できるようになるとのこと。Deezerがこのような世界戦略を打ち出した背景には、アメリカが音楽マーケットの抜本的な変化の最前線にいることや競合サービスの多さがあるようです。また、Orangeと同様のパートナーシップを他のオペレーターとも結んでいきたいとのことで、モバイル戦略にもますます注目が集まりそうです。

・・・ということで、グローバル・ライセンスに日本が含まれない可能性高し。「また日本だけ・・・」と思われる方も多いと思うのですが、かといって「クラウド型の音楽サービスに移行すべき!」一辺倒で主張しても説得力がない。Napster Japanという前例もあるし、仮に洋邦ジャンル問わず膨大なカタログを持つストリーミング・サービスが日本で始まったとしても、それがハッピーエンドに繋がるかと言えば必ずしもそうではないと思う。実はその辺を調べてまとめる作業をやる予定がありまして、恐らく年末頃にはブログでも紹介できると思います。それまでは、引き続きストリーミング・サービスの興味深いニュースをピックアップして紹介していければと思います。
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2011/10/06 00:10
新しくなったwe7を日本で楽しもう
we7.jpg

We7 Cedes On-Demand Music Ground, Tries Pandora Model Instead - paidContent:UK(28/9/2011)
We7 morphs from jukebox into a radio station - The Register (30/9/2011)

最近驚くほど頻繁にSpotifyの名前を聞くようになったのですが、どんなコンテクストで語られているかを見たり聞いたりする度にふつふつと沸き上がる幾つかの疑問があります。今後、様々なブログ記事を投稿していく中でそれら疑問を提示していければと考えているのですが、その最初として、新しくなったwe7を紹介します。

先週、イギリスのデジタル音楽サービスwe7が、無料のオンデマンド・サービスを終了し、広告ベースのインターネットラジオに完全移行しました。しかも、今の時点ではこのサービスが日本でも使えます。そこで、記事を読んで興味を持たれた方には是非試して頂きたいと思っています。

さて、we7とはどんなサービスなのか、拙ブログでは1年ほど前に体験記を掲載したことがあるのですが、その時のwe7紹介文を引用します:

We7(ウィー・セヴン)wiki
URL: http://www.we7.com/
設立:2007年、MP3のフル試聴+無料DLサイトとしてスタート。無料DLしたMP3ファイルには曲の冒頭に短い広告が入っているものの、DRMフリーで、パソコンに保存してiTunesで聞くことも出来るという画期的なサービスとして注目された(中略)。広告なしのものが欲しい場合は、通常価格でMP3を購入することも可能。2008年秋よりストリーミング・サービスを開始。ローンチ当時のカタログ規模は300万曲と発表されていたが、現在は400万曲を超える楽曲をストリーミングしている模様。プレイリストをアレンジしたり、類似アーティストを選び出してプレイするラジオ機能等がある。購読型の有料サービスも行っており、有料会員はPCと同じように携帯で音楽を楽しむことが出来る。その他機能に関しては、We7の公式サイト参照。

*引用元:UK無料ストリーミングサービス体験~We7編~ - Green Sound from Glasgow (12/12/2010)
※ちなみに、公式サイトによれば、現在のカタログ規模は650万曲とのこと。


今回の大幅なリニューアルにより、今までの所謂オンデマンドによるストリーミング・サービスは有料会員のみとなりました。無料会員も50曲までであれば“リクエスト”できますが(日本からは不可)、基本的にはlast.fmやPandoraのようなインターネットラジオに完全にフォーカスする形となり、チケット購入などのその他のサービスも(無料会員が日本から見られる範囲では)カットされています。

何故ラジオ型にシフトしたのか、冒頭で紹介した記事を含めたメディアが挙げるのは主に以下の3点:

(1)購読型ストリーミング・サービスの中でも一歩頭飛び出したSpotifyとの差異を設けるため
(2)PRSへ支払う印税がオンデマンドよりラジオ型の方が安いため(※新しく適用されるライセンスのカテゴリーは"interactive webcast"になります。詳しくはPRS for Musicのウェブサイトを参照。)
(3)ラジオ機能の人気が高かったため(paidContent:UKの記事によれば、we7ではおよそ70%の音楽消費がラジオ機能を通じて行われていたとしています)。

we7は元々音楽発見に熱心なリスナーの間で広まり、その後追加されたラジオ機能も評判が良かったこともあってか、“新しい音楽を見つけるにはwe7、聴きたい音楽が決まっているならSpotify”という見方をされていた時代もありました。それを考慮すれば、Spotifyとの差別化を進め、コスト削減しながら消費者の高いニーズを満たすことのできるインターネットラジオへのシフトは、当然の結果だったのではないかと考えます。

日本ではSpotifyの知名度が圧倒的に高く、Spotifyのようなサービスが熱望されていますが、インターネットラジオの方がある意味ではより多くの可能性を秘めているのではないかと思うことがよくあります。Spotifyはある音楽を能動的に聴こうとするリスナーには大変便利ですが、BGMのようにかけるには向いていない。なので、Pandoraのように自動車に搭載したり、有線のようにお店でかけたりできるインターネットラジオは、その汎用性の高さから需要が集まりやすくなる。また、ライトリスナーにとっても、音楽に詳しくなくても色々な音楽をかけてくれるインターネットラジオは便利なのではないかと思います。

インターネットラジオだけではありません。デジタル音楽マーケットの発達した国では、Spotifyでカバーできない需要を満たすユニークなサービスも同時に存在し、消費者が複数のチョイスを持っています。そのことは、日本でももう少し考慮されて良いのではないかと感じています。例えばイギリスだけで見ても、レコメン好きならmflowとか、持っている携帯が対応していればMusic Anywhereもある。lasf.fmもイギリスではまだ無料で聴けるので、使い慣れたサービスをそのまま使いたい人はそれでも良い。残念ながら日本ではサービスのほとんどが使えないわけですが、ググってみると、世界各国の音楽サービスを使った日本人のブログ記事なんかもポロポロでてきて、読むと色々と勉強になります。

ということで、少し長くなりましたが、色々あるデジタル音楽サービスの中でもインターネットラジオとはどんなものなのか、是非we7でお試しあれ。サインイン無しでも使えるし、途中で広告が挿入される感覚も体験できるので、かなり面白いのではないかと思います。ちなみに、Spotify無料版の音声広告もwe7のものと似たような感じです。とにもかくにも使ってみるのが1番かと思いますので、www.we7.comにアクセスし、好きなアーティスト名やタイトル、キーワードを入力してみてください。入力された言葉に合わせて選曲された楽曲が次々にプレイされます。ちなみに私は今"indie"でスタートさせたラジオがかかっています。マニックス、ザ・ヴァクシーンズ、ローゼス、ザ・ナショナルなんかが回ってますが、同じアーティストが複数回ることも多いので、いずれ改善して欲しいなぁ・・・などと思いつつ、楽しく聴いています。
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2011/05/17 22:38
続・Music Beta by Googleが米国でスタートしたので、少しまとめてみた
先週、Music Beta by Googleの発表に合わせて、Amazon Cloud Drive&Playerの件と合わせてブログを書きました:

Music Beta by Googleが米国でスタートしたので、少しまとめてみた (14/5/2011)

この件に関して、ツイッター経由でフィードバック頂きました。ありがとうございました。大事な気づきのあったツイートだったので、是非紹介させてください。

まずは@masshern13さんから。いくつかやりとりがあったのですが2つだけピックアップしました:

ふむふむ。spotifyが使える国か否かで全く論点が変わってくるよね。→Music Beta by Googleが米国でスタートしたので、少しまとめてみた - http://bit.ly/jrDOLb 
(15 May; http://twitter.com/#!/masshern13/status/69426054942556160)

Sportifyに限定してしまいましたが、音楽ストレージサービスが使える国か否かで今回のサービスが魅力的に感じるかどうか変わってくるよねって事を書きたかったのです。舌足らずで申し訳ございません。 RT @anno69: Spotifyというより国により、かと。RT @masshh
(15 May; http://twitter.com/#!/masshern13/status/69664646868639744)


当たり前なことですが、サービスが展開されている国やエリアがものによって違います。私の悪癖で、拙ブログではその点を片隅に置いて語りがちなのですが、@masshern13さんがおっしゃる通り、どんな環境に身を置いているかで、今回の音楽ストレージサービスの受け止め方は大分変わってくると思います。アメリカや西ヨーロッパは、既に幅広いオンライン系の音楽サービスがあるので、Music BetaやAmazon Cloud Playerが革新的なものとは受け取られていない印象があります。また、既に日常的に使っているものの延長線上にあるものなので、他のサービスと比較しながら今回の音楽ストレージサービスを考えることが出来る。一方、デジタル音楽のビジネス分野では遅れていると言わざるを得ない日本ではどう受け止められたのか?個人的な印象では、一部のIT系に強い人達の間で局地的に盛り上がったものの、広く見てみると盛り上がりも語られる内容も、アメリカやヨーロッパのそれと比べるとかなり弱いのかなと思います。

そしてもう1つは@heatwave_p2pさんから:

@anno69 読みましたー。ちょっと気になったんですが、Appleの牙城って今やiPhoneにかかってると思うんですよ。Appleは自社ブランドの城壁を切り崩せない縛りがあるので、Androidその他如何によっては、潮目が変わると思ってます。
(14 May; http://twitter.com/#!/heatwave_p2p/status/69414079097352192)

(前略)ただ、スマートフォンへの移行が進むのと同時に、iOS以外のモバイルがますますシェアを増やしていくと、中長期的に、Appleの囲い込みは成立していかなくなるんだろうなぁと予想しています。
(15 May; http://twitter.com/#!/heatwave_p2p/status/69420674426478593)


Androidのシェア増加は私も気にしてはいましたが、それがAppleに与える影響までは正直そこまで考えていなかったので、「このままAndroidが普及すると確かにそうかも」と思わず納得。

少し横道に逸れますが、ドンぴしゃのタイミングで、昨日一昨日auとdocomoが新機種を発表し、auのスマートフォン6種類全てとdocomoのスマートフォン8種類がAndroid搭載であることが明らかになりました。

Androidスマートフォンが主役、ドコモの夏モデルは全24機種 - 日経経済新聞(17/5/2011)
KDDI、スマートフォン6機種発表、「INFOBAR A01」やテンキー付きの「AQUOS PHONE IS11SH」など - asahi.com (17/5/2011)

プラスして、先月末MTIが携帯音楽配信サイトmusic.jpで、そして今日KDDIがレーベルゲートと協業で、それぞれ携帯向けストリーミング配信を開始することを発表しています。共に現在は洋楽中心。今後はPC向けにもサービスを拡大予定のようですが、現時点では携帯のみです。

MTI、『music.jp』でオンデマンドストリーミング配信を開始 - Musicman-net (26/4/2011)
KDDI「LISMO WAVE」で音楽映像のストリーミング配信を開始 - Musicman-net(17/3/2011)

iPhoneは今のところソフトバンクのみである一方、Androidはスマートフォン普及と共に広がっていく可能性は非常に高いと思います。ただ、これは根拠のない勝手な想像ですが、音楽に限って見ると、Appleがデジタル音楽の分野で築いてきた地位や人気はそう簡単に崩せないような気はしています。携帯とPCのデジタル音楽では購買層が違うし、仮にiPhoneのシェアや人気が今より下がるとしても、iTMSと音楽プレイヤーとしてのiTunesは残り、携帯とiPodの両方を所有する数年前のような状態に落ち着くのかな、と。もしくは、元々iPodで音楽をガシガシ聴きたいような熱心なファン自体が日本全国そう多くないと想定して、ライト層がAndroid携帯で音楽を聴くようになっても、iPhoneでガッツリ音楽を聴きたい層のパイ自体はそこまで急激には変わらないとか?ともあれ、スマートフォン市場の動向は今後もチェックする必要がありそうです。
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2011/05/07 12:13
SpotifyがiTunesに挑戦状:新サービス開始
spotify-logo2.jpeg
Spotify says hello to the iPod - Spotify official website(4/5/2011)
Spotify takes on Apple's iTunes with iPod syncing - The Telegraph (4/5/2011)
Spotify takes on iTunes with new music downloads store and iPod syncing - Music Ally (4/5/2011)
Spotify revamps download service, adds iPod syncing - CMU Daily (4/5/2011)
Spotify aims to take market share from iTunes - BBC News (4/5/2011)

現地時間の6日より、Spotifyが新サービスをスタートさせました。先月、Spotifyは無料ユーザーに対し、使用制限時間を月10時間に短縮するなどリミットを強化した新システムを発表したばかり(詳しくは公式PR北欧Techさん“クラウド音楽サービスのSpotifyがフリーミアムモデルから撤退”を参照)。この変更はユーザーから大きな反発を生みましたが、それもこの新しいサービス開始のためだったと言えそうです。

今回のアップデート内容を見れば、各メディアが"Spotify takes on iTunes"、つまり"SpotifyがiTunes(もしくはApple)に挑戦状”と称する理由がとてもよく分かります。早速、上記の記事を元に、新サービスをまとめます。

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(1)SpotifyとiPodがシンク可能に
Spotifyで購入した楽曲やSpotifyのライブラリーにインポートした楽曲を、iTunesを経由することなく、お手持ちのiPod(classic, nano, shuffle)に直接シンクさせることが可能になりました。シンクにはUSBケーブルが必要で、接続すると自動的にシンクされます。つまり、iTunesがなくてもSpotifyのプレイリストをiPodに移動させることが出来るようになります。


(2)全く新しいSpotifyダウンロード・サービスの開始
新たなMP3ダウンロード・サービスを開始しました。Spotifyが既に契約しているメジャー4社とMerlin等大手グループが請け負うインディーレーベルの楽曲が購入可能とのこと。これまでも、Spotify上では7digital経由でお気に入りの楽曲を購入することができましたが、今回はSpotifyがin-houseで運営する配信サービスになります。1曲から購入出来ますが(£1.15)、バンドルで購入する方がお得。現在の料金設定は、10曲£7.99(1曲80p)、15曲£9.99(1曲67p)、40曲£25(1曲63p)、100曲£50(1曲50p)となっています。
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Ne-Yoの「Closer」が好きなので試しに買おうと思ったら、こんな画面が出てきました。アルバム単位での購入の場合、12曲入りのアルバムなので「15 Downloads」に緑の印が表示されます。ともあれ、バンドルを使えば最安1曲50pという安値で購入出来ます。Spotifyとしても、in-houseでデジタル配信を行うことで配信からの収入も期待できます。

また、今まではばら売りしか行っていなかったプレイリストについても、まとめ買い出来るようになりました。ちなみに、現在7digitalでは単曲99pなので、10曲収録のプレイリストをフルで買う場合、従来だとおよそ10ポンドもかかる計算です。プレイリストのシェアはデジタル音楽の世界では非常に重要なファクターの一つということで、シンクの件もそうですが、ここでもプレイリストを楽しむユーザーにより優しい変更が加えられています。

(3)携帯用Spotifyアプリが全ユーザー使用可能に
これまで、プレミアム・ユーザーのみが使用できたiPhoneとAndroid向け無料アプリが全ユーザー向けになりました。これにより、無料ユーザーでも、Spotify上で購入したり既に所有しているMP3を携帯のSpotify Appにシンクさせることが出来るようになりました。ただし、Spotify全カタログのストリーミングは従来通りプレミアム・メンバーのみに限られます。シンクさせるには、PCと携帯を同じ無線LANに繋がないといけないので、日本だとちょっとシンクしづらいかもしれませんが、少なくともイギリスはカフェや公共施設はもちろん家庭でもwifiを使っているところが非常に多いので、あまり苦労はないのかもしれません。

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Spotifyはこれまで、音楽をダウンロードではなくストリーミングさせることで、クラウド上にある1000万曲を超える膨大なカタログをいつでもスムーズに楽しむことを可能し、多くのリスナーに支持されてきました。しかし、プレミアム会員以外のユーザーには制限が多く、結局のところiTunesとSpotifyを使い分けていたユーザーも多いのではないかと思います。私自身もプレミア会員ではありますが、携帯だとローカルファイルが多すぎてシンク出来ないので(PCは大丈夫)、今でも両者使い分けてます。しかし今回、Apple製品やスマートフォンへのシンクやダウンロード・サービスの開始によりSpotifyがiTunesと似たような性質を持つようになり、さらにストリーミングと無線を使ったスマートフォンとのシンクというiTunesにはない機能を持つ音楽サービスとなりました。つまり、冒頭で述べた“SpotifyからiTunesへの挑戦状”は、iTunesの独占状態を打破し、Spotifyをメインの音楽プレイヤーにするためのSpotifyの戦略を表したものと言えるかと思います。

この度の変化に対するコメントとして、BBC Newsには、アナリストMark Mulligan氏のコメントが紹介されています。彼の評価は決して良いものではなく、曰く、価格設定もものすごく良いわけではなく、プレイリストのまとめ買いならiTMSで既に可能なものである、と。私個人の意見を申し上げると、やはり、SpotifyがどこまでiTunesの独占を打ち崩せるかまだ見えない部分の方が大きいかな、と。現在、iTunesでMP3音源を買うという行為はもはや習慣として根付いている感すらある状況だと思っています。これを崩すには相当大きな衝撃が必要かと思いますが、今回の変更は果たしてそこまで大きな一撃になるかと考えると、どうなんだろう・・・と。Spotifyは、無料ユーザーのダウンロード購入や熱心な音楽ファンによるプレイリストの購入でお金を落としてもらう計算でいると思うので、この部分で転けたくないはず。しかし、Radioheadが"In Rainbows"リリース時に公式サイトでも無料で買えるようにしていたにも関わらず、相当数がP2P経由で違法ダウンロードされたり(以前拙ブログで取り上げました。こちらを参照のこと)、新譜が出たらCDで買うのがもはや習慣化して変えられない人も多いように、iTunesとSpotify、両方で音源を購入出来るとしたら、シンク云々あろうともよほどのことがない限りやはり慣れてるiTunesに流れやすいのではないでしょうか。

とは言いつつも、イギリスもそれ以外のヨーロッパも、最新の音楽配信がどのような状況かが分からないので、ちょっと様子見したいというのが正直なところだったりして。少し長い目で見ていこうと思います。
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プロフィール

anno69(@yano)

  • Author:anno69(@yano)
  • イギリスの音楽産業、特にデジタル・ミュージックと音楽産業における環境問題対策に関するブログ。スコットランド大学院留学記も。
    管理人は、スコットランドのグラスゴー大学大学院ポピュラー音楽学コースを修了し、帰国。音楽好きの普通の会社員をしています。お問い合わせは cielo0818_ls [at] hotmail.com までお気軽にどうぞ。
    A blog dedicated to topics of the UK music market in particular digital music, copyright and environmentalism in pop music.

    ●Twitter:http://twitter.com/anno69
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