イギリスの音楽産業について考えるブログ
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2009/09/27 21:17
グラスゴーの音楽系リンク集
090927-2.jpg 090927.jpg
左:図書館前から見るMain building。夏はこんなに青々してたのに、今はもう真っ黄色。
右:4階。Melody Makerの棚(の一部)。図書館にある音楽雑誌は、多い順にNME→Melody Maker→Wire→Sounds。

グラスゴー最終日。片付けもほとんど終わって、お友達とお別れのお茶をして、最後に来たのはやっぱり図書館。ここがグラスゴーで1番好きだし1番落ち着く。ここにいられるのも今日まで。ということで、ただいま図書館より更新中。

グラスゴーの音楽シーンに関するウェブのリンクを貼っておきます。数が多すぎるので、自分がよく行ったところやおススメのところだけ。グラスゴーでライブを見たい人、音楽めぐりをしたい人、参考までにどうぞ。



【音楽情報】
The Skinny - スコットランドのカルチャー系フリーマガジン。ウェブでも同じ記事が読める。グラスゴーの(特にアート系)若者が好きな音楽を知りたいなら、やっぱりスキニーが1番良い。私も毎月読んでいた。
jockrock - グラスゴーのインディ・バンドの情報満載。とても有名なサイトだけど、読みにくいので私は全然使ってない・・・。
Is This Music? - 元々スコットランドのバンドを中心とした音楽雑誌だったけど、今はウェブのみ。

【ライブ情報】
Gigs in Scotland - スコットランドの主なライブの情報はこちらから。
The List - 総合情報誌だけど、ここでもライブ情報がチェックできる。

【ライブハウス】
King Tut's Wah Wah Hut - インディ好きならまずここをチェック。今売れてるインディ系バンドはみんなここに来る。
Oran Mor - フォーキーなインディバンドが多かった。
Stereo - 大人向けのおしゃれ系バンドが多かった。ベジカフェ併設のせいか、「自分らもベジ、みたいなバンドが好んで演奏する」って先生が言ってたけど、分かる気がする。
Captain's Rest - 新人バンドのブッキングが良い(来月のThe XXみたかったなぁ)。個人的に家から歩いてすぐなのに、1度しか行かなかったのが悔やまれる。
The Arches - 1番有名なクラブ。人気DJが世界中から来る。
Nice 'N' Sleazy - 1階はロケンローなバーで、地下がヴェニュー。ライブハウスとしては正直微妙。ただ、夜中を過ぎても空いてるバーがここくらいしかないので、近くのハコでライブを終えたバンドがここで飲んでることがよくある。
O2 ABC - 中規模バンドはここでプレイ。最近O2に買収されて、ロゴがダサくなった(涙)。
O2 Academy Glasgow - グラスゴーでホールと言えばここしかない。
SECC - グラスゴーで1番大きい屋内コンサート会場。ColdplayとかSnow Patrolレベルのバンドを見るならここ。
Mono - パステルズのメンバーが運営していることで有名なカフェ+レコード屋+ヴェニュー。


個人的には、やっぱりKing Tutsが1番思い出深い。1番多く行ったからというのもあるし、インターン関係での思いでもあるし、日本にいる時から知ってる唯一のハコだからってのもある。Tutsはグラスゴーらしいライブ経験が出来ることが多いし、そうゆう意味でもオススメです。

そろそろ図書館を出る時間です。また11月と12月に少しだけ戻ってくるので、完全なお別れではないですが、こののんびりした生活が終わりと思うと、やっぱりちょっとしょんぼり。映画「プルートで朝食を」の「あなたのママは大都会(=ロンドン)に飲み込まれてしまったのよ!」の台詞が頭をぐるぐる回ります。

ひとまず、容量オーバーなのを無理やり突っ込んだスーツケース+こちらも容量オーバーのバックパック+普段用リュック+斜め掛けポーチを1人で次の入居先まで無事運搬することが最初の目標。全部で多分50kgくらいあるんじゃないだろうか・・・大丈夫かな、これ。
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2009/09/26 02:02
The Air Statement
The Air Statement - Featured Artists' Coalition Official website (24/9/2009)

昨日拙ブログでお伝えしたとおり(URL)、昨夜ロンドンでFACの緊急ミーティングが開催され、The Air Statementを採択しました。このミーティングには、リリー・アレンを含めた100名近くのミュージシャンが参加したとのこと。英ビジネス・イノベーション・技能省(BIS)は、ファイル共有に関する技術的対策の導入(=回線の一時遮断を最終手段とする3ストライク・ポリシー)に関して、現在関係団体から意見を求めている最中ですが、FACはこの新たな声明をBISに送ったようです。

声明には、FACのリリーへの支持を表明した上で、参加者投票により、回線速度を遅らせることを最終手段とする3ストライク・ポリシーの導入へのサポートを決めた旨が記されています。“速度を遅らせる”の基準は、「メールや通常のウェブ閲覧が可能なスピード」ということで、ウェブへアクセスするという権利を奪わないで違法ファイル共有者を罰する道を模索した結果と言えそうです。

Squeeze file-sharers, stars say - BBC News (25/9/2009)
BBCのこの記事を読むと、かなり白熱した議論が交わされた様子が伺えます。FACのコア・メンバーは3ストライク・ポリシーは極力避けたかったでしょうが、違法ファイル共有者にはより厳しい罰を望む人も多かったのでしょう。著作権問題に取り組む圧力団体the Open Rights GroupのJim Killock氏は「彼らアーティストが取り組んでいるのは兆候であって、解決策ではない」と批判していますが、FACとしては、3ストライク・ポリシー賛成派の声を反映しつつ、「インターネットへのアクセス権を奪わない」というラインを守るには、これしかなかったのだと思います。FACとリリー(+その他)で声を1つにまとめたという点では評価できると思いますが、個人的には、やはり、遮断するにせよしないにせよ、3ストライク・ポリシーは色んな面から考えても現実的ではないし行き過ぎかな面もあると思います。

Blow for music industry as Lily Allen says Peter Mandelson's plans too draconian - The Times (25/9/2009)
ちなみに、このThe Timesの記事には、「FACの声明を受け、今日、レーベルや著作権料徴収団体、マネージャー関連団体(多分MMFのことでしょう)などの業界団体が、FACの声明にある対策案とBIS提案の対策案のどちらを支持するかに関するミーティングを行う」とあるので、明日には各団体の声明がニュースになるでしょう(というか、もうウェブに上がってるかもしれないですが、まだ調べてない・・・)。

その他、以下主要メディアのニュース記事を貼っておきましたので、参照ください。

Artists Back Lily, Call For Three-Strikes Law - Billboard.biz (25/9/2009)
FAC supports three-strike action but not disconnection - Music Week (25/9/2009)
P2P, Piracy, Digital トラックバック(0) | コメント(0) | Page top↑
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2009/09/24 23:33
FAC vs リリー他 まとめ (追記有り)
イギリス政府のパイラシー対策の提案に関する件の続報。パイラシー対策として、違法ファイル共有を続けるものに対して警告状を送付、そして最終段階としてインターネットの一時遮断を盛り込んだこの提案。ここ数日議論が過熱してキりがなかったのでTwitterでぶつぶつつぶやくだけにしていたのですが、ここらでサラッとまとめます。

まず指摘したいのは、何度も強調しているように、ネット一時遮断に反対しているFACをはじめとしたグループの多くは、パイラシー行為を奨励してはいないということ。彼らは、遮断という対策法が、果たして有効なのかどうか、道理に反しているのかいないのか・・・そういった点について議論したがっているはずだし、実際そうあるべき問題です。しかし、政府案賛成派の、BPIみたいな業界団体はともかく、ミュージシャン側の反応を読んでいると、両者意見が既に一致しているパイラシー行為自体を議論したがっているように見える。これが、議論がちぐはぐになっている理由。

と、こんな状況なので、FACのメンバーであるエド・オブライエンの「ファイル共有に関しては、リリーに賛成だよ」なんて発言になるわけです。一瞬ビックリの見出しですが、このちぐはぐを理解している人にとっては、何の驚きでもないでしょう:
Radiohead's Ed O'Brien: 'I agree with Lily Allen on file-sharing' - NME (23/9/2009)

それから、前回の記事でもチラッと貼ったのですが、リリーへの批判もかなり多かった。今回のパイラシー議論用にリリーはブログを設置したのですが、記事の中で、彼女は新聞のスキャンを(確定ではないけど、ほぼ確実に)無断で掲載したり、引用先を表示しないで勝手に人の書いた文章をまるまるコピペしており、“パイラシー行為”をしていると各方面から非難の嵐。最終的には、(本人曰く)5年前に作成し、無許可で使用した楽曲満載のミックステープをEMIのオフィシャルウェブサイトに上げていた事実がすっぱ抜かれて、「あまりに中傷が酷いから」との理由でブログを閉鎖してしまいました。詳しくは以下を参照ください:
Actually, Lily Allen SHOULD speak out about music piracy - Music Ally (23/9/2009)
Lily Allen Pirates Music, Is Clueless About Copyright - TorrentFreak(23/9/2009)
Lily Allen Deletes Pro-Copyright Blog and Ends Career - TorrentFreak (24/9/2009)

それからちょっと前後しますが、FACがリリーの反論に対して発表した声明に関しては、CMUの記事が面白かったのであわせて貼っておきます。
FAC RESPOND TO LILY - CMU Daily (22/9/2009)

ちなみに、FACは本日、この議論の過熱を受け、緊急ミーティングを開催します。ちなみに例によって、マスコミおよび一般人完全シャットアウトです。
FAC File-Sharing Debate - Tomorrow! - Featured Artists' Coalition on Myspace (23/9/2009)

最後に、業界団体では、AIM(Association of Independent Music)が、政府案支持を表明。これは当然の流れかな、と。詳しくは「P2Pとかその辺のお話」さんが詳しくまとめていますので、参照下さい。
英国インディーレーベル団体、スリーストライクに賛同、ただし違法ファイル共有合法化のために - P2Pとかその辺のお話 (24/9/2009)

※追記(24/9/2009)
9月22日放送のBBC Breakfast(日本で言うNHKの「おはよう日本(だっけ?)」みたいなものですな)で、Radioheadのエドと、マーキュリープライズを受賞したばかりの新人代表Speech Debelleが出演し、違法ファイル共有について5分ほどのインタビューに応じています。テーピングしてテープを友達と交換しあった時代っていうのは、エドの頃だとまだブランクカセット補償金がない頃なのかな・・・。でも、イギリスの場合、例え私的であっても、あるメディアに録音された音源を別のメディアに録音するのは違法(CDをパソコンに取り込むのだって、黙認されてるけど本当は違法)なので、イギリスでは特に、まずダビングした最初の1人目を探せって話になるのかも。ちょっと意味は違うけど、そんな話がこのインタビューでも出てきます。参考までに。
Ed O'Brien on illegal file-sharing [22/09/2009]

それにしても、こうやって渦中にいるアーティスト達がパッとテレビに出て話してくれるというのは、イギリスの良いところだと思う。この前も、チケット二次販売詐欺対策でブラーのデイブがキャンペーナーとして同じ時間帯に登場してたし。
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2009/09/22 04:41
FAC vs リリー・アレン他アーティスト・続報(追記アリ)
Featured Artists' Coalitionとリリー・アレンを始めとしたミュージシャン達による、違法ファイルシェアリングの意見相違についての続報。今回FACが新しく出した声明を読んで、彼らの意図をしっかり読み取って、その声明に対するからリリーの返答を読んでみて下さい。基本的に2者ともゴールは一緒。ただ、リリーはまだFACを勘違いしてる。そして、多くのリリー賛成派(NMEのこちらを参照)も、多分FACの意図を理解できてない。FACのパイラシーに関する姿勢に関しては、今まで私もやや不透明だと感じていた部分があったのですが、今回の声明でようやく分かりました。以下、「私の解釈の元で」という前提ですが、ポイントをまとめます。

●両者一致している点
- デジタル時代の今、新しい音楽ビジネス・スタイルが必要である。
- ミュージシャンは、音楽ファンによって作品を“購入”されることにより、収入を得るべきである。

●FACの主張("FAC Position on File-Sharing (21/9/2009)" より)
(1) FACの“ファイル共有に賛成”の意味することは、サイト運営により収益を得ているトラッカーサイト(例/ The Pirate Bay)を通じたファイル共有ではなく、(明記はされてないが、意味するところは)ミュージシャンサイドの決断の元、P2Pテクノロジー等を使って、試聴用やプロモーションの一環として、数曲をフリーダウンロード可能にさせることに対する賛同である(例えばNMEのウェブでは、“今週の無料DL”を行っている)。
(2) FACは、正確性が高く且つ独立したリサーチが少ないとの理由で、イギリス政府およびOfcomに対し、ファイル共有その真の価値、ファイル共有による様々なプロモーション効果や置換効果(?。英語は"effects of substitution")について調査するよう要求している。
(3) 政府によるネットの監視が行われた場合、きちんとした管理下で扱われているものも、誤って許可無しと扱われる危険があるほか、監視自体が個人のプライベートへの侵害行為である。

●リリー・アレンの反論("Not After a Fight (21/9/2009)"より)
(1) → P2P(のトラッカーサイト)はそもそも公共のもの。そしてファンは違法行為をやっているのだから、それを止めさせるのは当然のことである。FACはNMEを例に出していたが、NMEがファイル共有と決定的に違うのは、NMEはミュージシャン管理下、ファイル共有は管理外にあること。
(2) →記述無し。
(3) →政府が全てのネットのアクセス状況監視出来るはずがない。


こう書き出してみると、何故両者の議論がかみ合ってないのかが分かると思います。、リリーが、パイラシーとファイル共有を同義語のように見ているところに穴がある。パイラシー行為とファイル共有は深く関係しているけど、別物。前者は違法行為だけど、後者は正確に言えば違法行為ではない。FACはもとい、“違法”ファイル共有に賛成だなんて考えていない。パイラシーに関しては、むしろFACとリリーの意見はほぼ一致している。ただ、FACは、P2PというテクノロジーやフリーDLといった新しいプロモーション形態が、今後の音楽ビジネス、特に新人には有効なツールになると考えているだけ。この場合、前提はもちろん、そのツールは、ミュージシャンやレーベルの管理下で使われると言うこと。デジタル音楽に強いウェブが「リリーの言ってることは的を得てない」と指摘するのは、リリーや他のリリー擁護派がこの点を理解していないからだと思う。

後、ネットの監視を行ったことで、amazonで買い物した人が犯罪者にでっち上げられたり・・・みたいなミスが何件も発生しているというニュースが、何ヶ月か前にあったかと思います(ソース忘れましたが・・・)。ネットの監視は、最終的には、「ネットへのアクセスの自由や基本権を脅かしてはならない」とする欧州議会での決定に背くことになるのではないかと思います。

ここまでの議論を読んでみて、ようやく私も頭がクリアーになりました。私個人は、この件に関しては、FACを全面的に支持、応援したいと思います。ただ、まだ議論が必要なことでもあるので、引き続き今後の動きに注視していきます。

以下、愚痴兼小言。
続きを読む
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2009/09/21 00:11
サイトよりお知らせ
今となっては、何でブログ名に「Glasgow」と入れたのか分からないのですが(多分ヒット数を増やすためとか、そんなん?)、そんな間違えたネーミングのせいで、ちょっとめんどくさいことに。

私事ですが、来週末ロンドンに引っ越すことになりました。残りは12月頭の卒業式のみという状態で今更ロンドン・・・とは思うのですが、まじめな理由からどうでもいい事情まで色々あって、ロンドンに行く以外の選択肢がなかったので、仕方がないです。グラスゴーは何もないとこだけど、住めば都、グラスゴーを選んで本当に良かったです。イングランドに留学した人には分からない感覚みたいなものを得ることが出来たと思います。

で、ブログの名前ですよね。グラスゴーに住んでないのにグラスゴーって・・・みたいな。多分、日本に帰ることにした場合も、また似た感じで、名前どうしようって話になると思いますが(この時はブログやめるっていう選択肢が先に出てくると思うけど)、ひとまず、卒業までは名前はそのままにしておきます。卒業後にこのブログをどうするかは進路が決まったら考えることにして、それまではブログもこのまま通常営業しますので、引き続きよろしくお願いします。
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2009/09/17 19:54
Radiohead エコ・ツアー最終章
レディオヘッドのReading FestivalでIn Rainbowsツアーも終了。最後のエコ・レポートがオフィシャルサイトにも更新されています。夏のツアーは8月21日オーストリアから始まって、Readingまで全5公演。各会場の詳細レポはオフィシャルサイトのこちらで確認できます。

レポートを読んでいただければ分かると思うのですが、フェスも含め、立地が街の中心部。ここは一連のツアーの最重要ポイントでしょう。
電気関係は、会場によってまちまちですが、この分野はコストがかかるので、手をつけるのが大変なエリアだと思います。
リサイクルという面では、「(会場にリサイクル用ゴミ箱を設置しても、結局分別できないので)ライブ後にスタッフが分別」というところが多かったのではないかと思います。Readingも、メインアリーナは2分別でしたが、後でボランティアがゴミ箱の中からペットボトルだけせこせこ集めてました。フジみたいに、専用ブースで分けるんじゃなくて、普通にメインアリーナに設置されたゴミ箱から漁るみたいな感じで。最終的には分別になるんだろうけど、あれは良いんだか悪いんだかちょっと微妙な気分・・・。

・・・と、個人的な印象はこんな感じ。

ご存じの通り、このブログではしつこくレディオヘッドのエコ・ツアーについて追いかけてきたのですが、エコ・ツアーに関しての記事はこれが最後になると思われます。残念なのは、レディへの後に続いておおっぴらにエコ・ツアーをやるバンドが現れないこと(部分的導入はあるでしょうが)。世間的にもすっかり忘れられてしまった、一過性のムーブメントになってしまった印象がどうしても残ります。他のバンドが続くことを切に願います。
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2009/09/16 21:00
ミュージシャン、次々声を上げる (追記有り)
イギリス政府の、インターネット回線一時遮断を盛り込んだ強固なパイラシー対策案に対する、イギリス音楽業界の混乱についての続報が続々入ってきて、ちょっとキリがなくなってきました。面白いのは、ミュージシャンが声を上げた瞬間、業界だけでなく、NMEのような音楽ファンのコミュニティでもこのニュースがガンガン取り上げられていること。日本にも飛び火していて、FACが最初に声を上げた時はともかくとして、まさか続報までしっかり取り上げられるとは思ってもいませんでした。業界内だけのやり取りでは何の騒ぎにもならない。ミュージシャンがメディアに持つパワーがはっきり証明された形になりましたね。

さて、事の発端は、Featured Artists Coalition(拙ブログのFACカテゴリー参照のこと)がクリエイターサイドの2団体とともに、この対策案に対して反対を表明したこと(拙ブログのこちらを参照のこと)。ざくっとまとめると、彼らの主張は、「ファンを犯罪者扱いすべきでない」「ファイル共有は昔テープで音楽をダビングして聞いていたようなもの」「新しい音楽を見つけるきっかけを作る」「パイラシーであるバンドの音楽を聞いたのをキッカケに、バンドのライブに行って、チケットやグッズを購入するという形でバンドに経済的利益をもたらす」・・・といった感じで、パイラシーは音楽文化を豊かにするのに一役買っているという考えがベースになっています。
これに対して、ミュージシャン側からこんな反応が:

リリー・アレン、レディオヘッドやP・フロイドの意見に反対 - Barks News (16/9/2009)
My Thoughts on File Sharing - Lily Allen on myspace (14/9/2009)
SOS the Global Music Industry.... Go Team Lily! - Patrick Wolf on myspace (15/9/2009)

まず、FACに反対の姿勢を示したのがリリー・アレン。そしてパトリック・ウルフも彼女のサポートに回っています。彼らの反論をざっくりまとめると、「パイラシーは新人ミュージシャンに損害をもたらし、最終的には英音楽業界を殺すことになる」というもの。彼らの意見は理解できるのですが、ちょっと的が外れていて、FACの反論にはなっていない。リリー・アレンのコメントから以下引用:

Instead you get a huge debt from your record company, which you spend years working your arse off to repay. When you manage to get a contract, all those pretty videos and posters advertising your album have to be paid for and as the artist, you have to pay for them. [...] I'm lucky that I've been successful and managed to pay it back, but not everyone's so lucky.
(ミュージシャンはレーベルから多大な借金を背負ってるの。そして、何年も働いてそれを返済しなければならない。レーベルと契約するということは、ビデオや販促用ポスターを作るためのお金をレーベルから借金して、ミュージシャンが払うということ。私は運良くその借金を返済できたわ。でも、全員がそうというわけではないの。)


つまり、明記はしていないけど、ミュージシャンは彼らの音楽作品から最大限の収入を得る必要があるが、パイラシーによるレコードセールスの下落がその収入を減らしているという意見でしょう。ただ、パイラシーとフィジカルのレコードセールスの下落との関連性がハッキリと証明されていない状況下、このような結論を結ぶことは出来ないと思います(もし何か証明できるものを知っている人がいたら、是非教えてください)。これは、Barksのライターさんも勘違いしている点(引用すると、「このレコード会社に借金云々は、アーティストやレーベル、契約によって違うだろうが、違法ダウンロードをする人が多ければ多いほど、アーティストにお金が入らないのは確か」の部分)。
また、ミュージシャンの収入を減らしている最大の要因の1つが、契約内容がレーベル有利に偏っている点であることを、このコメントは反映していない。まぁ、もう少しミュージシャンにもフェアな契約になったら、今度はレーベルが損失を被るのかもしれないけど。この点については、レーベルとの契約に焦点をおいて反論を繰り広げているFACの主張の方が、個人的には理にかなっている気がする。それから、もう1つ:

But as they start to lose big from piracy, they're not slashing their salaries - they're pulling what they invest in A&R. Lack of funds results in A&R people not being able to take risks and only signing acts they think will work, which again makes British music Cowell puppets.
(レーベルがパイラシーで損失を被るようになったから、彼らは十分なお給料を確保できなくなって、A&Rにまわしてたお金をカットせざるを得なくなった。結果、A&Rはリスクを背負ってまでバンドと契約を結ぶことが出来なくなったのよ。これが、イギリスの音楽を(Simon) Cowell(著名なイギリス人プロデューサー)のパペットにしてしまったの。)


レーベルの収入が落ちて、A&Rにお金が回らなくなった面はあると思う。ただ、さっきも書いたように、パイラシーが収入減の直接の原因なのかどうかはまだ特定できてない。それと、従来の契約方法にいろんな問題があるわけで、“リスク云々で契約できない”って、ここではどうゆう意味なんだろうか、とは思う。アルバム5枚分の契約をして、バンドを育てよう・・・みたいな話だったら、DIYでありとあらゆることが出来る現在においては、少し時代遅れな考えであるようにも思う。

でも、この点はリリーに賛同。パイラシーがなくならない最大の要因は、やっぱりここなんじゃないかと思う。以下Barksの訳を引用:

「FACは、共有ファイルはサンプラーや友達の音楽をダビングするようなものだって言ってるでしょ。でも、テープをミックスしたりラジオから録音してたのは、いまある共有ファイルとはまったく違う。ミックス・テープのクオリティは最悪だったでしょ。だから、本物の音楽を買ってたんじゃない。[...] でも、このデジタル・ワールドでは、海賊盤は買ったものと同じくらいいいクオリティなのよ。だから、それ以上いいもの買う必要なんかないじゃない」


・・・と、こんな感じに見ていくと、彼らの反論は、レコード産業だけに重きを置き過ぎている感がある。先に「FACの反論になっていない部分がある」と書いたのは、これが理由。FACの根本にあるのは「ライブ産業やマーチャンダイズがメインの収入源として移行しつつある」という最近の傾向であり、従来のレコード・ベースのビジネス・モデルを元にしたリリー達の反論は、根本で話がずれている。時間があったら取り上げたいのですが、以下の記事がとても良いので、参照していただきたい。

SONY BOSS MEETS WITH MANAGERS - CAN THEY BE PERSUADED TO BACK THREE-STRIKES? - CMU Daily (15/9/2009)

私個人、ビッグ・ネームであろうとそうでなかろうと、FACの主張するビジネス・モデルは通用するのではないかと思う。世間的には全然知名度のないフォーク・ミュージシャンやワールド・ミュージックのアーティストがどうして音楽メインで活動を続けられるか考えてみると、そう考えざるを得ないもの。リリーやパトリック・ウルフの主張は理解できるけど、個人的には、FACの方がまだ筋が通っている気がする、というのが私の今のところの結論。それに、もといFACだって、「音楽は無料で楽しめるもの」だなんて一言も言ってない。ただ、今のデジタル音楽のビジネス・モデルが持続的だとは思っていないとだけ付け加えておきます。

※追記(17/9/2009)
いつも大変お世話になっているP2Pとかその辺のお話@はてなさんにも関連記事があります。より細かな分析がなされていますので、是非参照下さい:
- Lily Allen、「FACの主張は新人アーティストにアンフェア」と批判
- 英国音楽業界、FACは新人を軽視していると批判
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2009/09/15 04:28
MidemNet2010、レディオヘッドのメンバーがキーノート
Radiohead's Ed O'Brien To Deliver MidemNet Keynote - Billboard.biz (14/9/2009)

去年もどひゃー!と思いましたが、今年も思いっきり度肝を抜かされました。

毎年1月に仏カンヌで開催される世界最大規模の音楽業界コンフェレンス「Midem」(昨年のMidemについては、拙ブログのこちらこちらを参照のこと)。特にデジタル分野に焦点を絞った「MidemNet」というイベントが同時開催されるのですが、そのスピーカーの1人に、Radioheadのギタリスト、エド・オブライエンが決定したとのことです。去年も、コンフェレンスのセッションにミュージシャンが参加することはありましたが、ミュージシャンがキーノートを行うというのは、それとはレベルが違うかな、と。

内容は、「バンドがウェブ戦略においてとったイニシアティブと、このデジタル時代におけるファンとの関係を築く機会についての議論」ということで、テーマ自体はごくありがちですが、スタッフではなく、バンドのメンバーが話す、という点がキモでしょう。音楽業界といえど広くて、ミュージシャンの生の声を聞きながら働いている人なんて少ないし、業界関連のコンフェレンスにミュージシャンはほとんど参加しないから、結局、ミュージシャンの声は無視されがちになる。業界の中心にいるのはミュージシャンだというのに。今回のエドの参加は、そういった状況が少しずつ変わってきている表れの1つと言えるでしょう。これは面白いと思います。

個人的には、おそらく今年もあるであろうMidemの環境分野のセッションでも、Julie's Bicycleやフェスのオーガナイザーだけじゃなくて、レディヘのメンバー(というか、トム・ヨーク)が参加してくれたら絶対面白いと思うのですが(もしこれが実現したら、JB寄りの人達の立場はなくなるだろうなぁ・・・)、業界的には面白くもなんともないトピックなので、当分は実現しそうになさそう。うう。

先日書いたFACの記事に追記したthe Guardianを読んでいて思ったのですが、私個人、比較的知名度の高い、もしくはある程度音楽からの収入が安定しているミュージシャン達が声を上げることは、後々新人ミュージシャン達にも利益になることだと考えています。特にFair Dealing関連では、メジャーレーベルのビジネスモデル(=契約周り)を変えることがまず必要なわけで、そのためには、影響力の大きいビッグ・ネームが動いて、嫌でも何でもメジャーがその態度を変えざるを得ないという状況に追い込まなければいけない。環境問題に関しても同じで、大型ツアーをやるようなミュージシャンが積極的になればなるほど、業界全体(+委託業者、例えばケータリングや物販)への影響力が大きくなる。今回エドがスピーチする内容は、もしかしたら駆け出しのバンドに直接利益になるような話ではないかもしれないけど、長い目で見ると、(たとえそれが正しいことであろうと間違ったことであろうと)ミュージシャン達がこうやって地道に声を上げていくことは必須だと思います。

Midemは来年1月24~27日、MidemNetは23~27日。エドは23日に登場予定です。
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2009/09/13 02:53
FAC: 教育プログラム開始
Featured Artists - Survival in the 21st Century - FAC (accessed on 12/09/2009)

FACの活動3本柱のうちの1つ、教育活動が開始されるようです。ちなみに、例によってミュージシャン・オンリー・イベント(この「FACに参加できるミュージシャン」ってどんな定義なんだろう)。メディアも一般人も参加できません。

日時:9月24日(木) 18:30~
費用:会員は無料、非会員は£10
参加メンバー: Ed O’Brien (Radiohead), Nick Mason (Pink Floyd), Mark Kelly(Marillion), Master
場所:PRS, 29-33 Berners Street London W1T 3AB (ロンドンのど真ん中ですな・・・)

【主な議題】
- The range of income streams available to featured artists today - songwriting, performing live, recording, music in films, TV and video games, branding, sponsorship and income from collection societies
(今日における、ミュージシャンにとっての様々な収入源 - 作曲、パフォーマンス、ライブ、レコーディング、映画音楽、テレビやビデオゲーム、ブランディング、スポンサーシップ、印税)
- Discussion about direct-to-fan models such as those used by Radiohead, Marillion & Master Shortie
(RadioheadやMarillion、Master Shortie等が行っている、"direct-to-fan(ファンに直接関係を作る、的な?)"ビジネスモデルについて)
- The goals and ambitions of the FAC and how they relate to your careers
(FACの目標と野望、そしてそれらがあなたのキャリアとどう結びついているか)


・・・と、比較的キャリアが長かったり、大きい事務所についているミュージシャンにとっては特別新しいことではないけど、売り出し中のバンドには面白いかな、と。これ、マネージャーも一緒に参加した方が良いのではないかと思うんだけど、マネージャーも参加できないのかしら・・・?

興味はあっても、一般ピーポーには、彼らがどんな話をするのか知る手段無しっていうのが少し残念。まぁ、ある程度内容は予想出来ますが。このブログを読んでいる在英のバンドマンの皆さん、是非参加して私に感想を教えてください(苦笑)。

以上、情報まで。
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2009/09/11 20:37
FAC (+クリエイター): 英政府の方針転換に反対の姿勢(追記あり)
UK musicians and composers slam government’s anti-piracy consultation - Music Ally (4/9/2009)
YouTube and PRS make peace as musicians protest about plans to punish file sharers - the Guardian (3/9/2009)
Musicians hit out at piracy plans - BBC News (10/9/2009)
Musicians hit out at plans to cut off internet for file sharers - The Times
MusicTank Newsletter - Sep 09 - MusicTank (September 09)

前回、英政府が、一時的なインターネット回線遮断を含めた違法ファイルシェアリング対策の法律化を目指す話について投稿したのですが(URL)、その続編です。

英ビジネス・イノベーション・技能省(BIS) は、上記の件に関して「Consultation on Legislation to Address Illicit P2P File-Sharing」を公開。政府提案に対する関係団体からの意見を現在も募集中なのですが、上記の上2つの記事は、The Featured Artists Coalition, British Academy of Songwriters, Composers and Authors, and the Music Producers Guildという、音楽業界で働くクリエイター達の団体が発表した回答。次の2つの記事は、3団体の中でもFACのメンバーによるコメントにフォーカスを当てたもの。最後の1つは、この政府提案に対し、業界側の団体で唯一クリエイターサイドの見方に回ったthe Music Managers' ForumのJon Webster氏のインタビューです。

Music Allyの記事に回答全文が掲載されています。まず、レコード協会等のパイラシー対策に疑問を呈する人達の多くが取り上げる、この部分を引用します:

"The very fuzzy estimates for the annual benefits of such legislation (£200 million per year) make clear that such estimates are based firmly upon the premise that a P2P downloaded track equals a lost sale."
(このような法制度で得られるとされる年間利益(200万ポンド)はとても不明瞭な見積もりである。これが、「P2Pでダウンロードされた曲はセールスの損失とイコールである」という前提に確固として基づいているということをハッキリさせている。)


つまり、もしP2Pで曲を違法DL出来なかったとき、パイラシー達は同じ曲をお金を出して買うか?買わないかもしれないよね?ということです。

以降、回答文は、この法制度導入への批判を繰り広げます。個人的にも同意できる内容になっています。要約すると:

- ファイルシェアリングによる損失とシェアされなかった場合の利益とのギャップは正確に計られていないが、ファイルシェアラーは同時にCDをより購入する熱心な音楽ファンであるという調査結果は、いくつものリサーチで発表されている(注:対して、BPIのGeoff Taylor氏は「多くの関係者は、違法ファイルシェアリングが、新しい音楽への投資に深刻なダメージを与えていると認識している」と述べている)。
- 法律化によりかかるコストは、それにより得られる利益に見合わない。
- ファイルシェアリングは、多数のファンのサポート(活動)と一致するものである。


そして、クリエイターサイドが度々主張する、この文言が最後に登場します:

"What the consultation’s proposals singularly fail to do is differentiate between the downloading and sharing of music by music fans, on a non-commercial basis, and those who seek financial gain or commercial advantage from such activity."
(この協議提案の際だった失敗をあげれば、音楽ファンが非商業ベースで音楽をダウンロードしたりシェアすることと、そういった活動から金銭的利益や商業的利益を得ようとしている人達を区別することである。)


個人的に、この点については、特にMyspaceのことを考えると腑に落ちない。元々は「無料で使えるプロモーション・ツール」的なノリで、バンドサイドもこぞってMyspaceにバンドのアカウントを開いていたというのに、今は「彼らは我々の音楽で利益を得ている。それならばミュージシャンにも利益があって良いはずだ」という主張になっている。確かにMyspaceはミュージシャン無しで成り立たないビジネスだけど、ミュージシャンは曲を提供することの対価をしっかり受け取っていると思うから、その上で金銭を要求するのは、ミュージシャンにとって都合の良すぎる話かな、と。

余談ですが、BBCの記事で、音楽業界団体のまとめ役であるUK Music(同団体については、拙ブログのこちらを参照)は、政府の方針転換に賛成派。で、このUK Musicには、反対派であるBritish Academy of Songwriters, Composers and AuthorsとMMFが参加している、と。なんだか足並み揃ってないというか、適当というか・・・非常にこんがらがる話だな、と。

最後に。政府発表の「Consultation on Legislation to Address Illicit P2P File-Sharing」の要約文を読んだのですが、政府が法的手段に乗り出す動きをとるきっかけになったのが、the Gowers Review(拙ブログのこちらを参照)のRecommendation 39だというので、Gowers Reviewを読み直しました。そうしたら、ちゃんと5.96に、「インターネットプロバイダーに二次的に法的責任をとらせることにより、技術革新やパブリック・ドメインにおちた作品の入手の可能性を下げる。また、コミュニティ法と共存出来るか疑わしい」といった内容の文言があるんですよね。法律になれば、プロバイダーの責任にならないし・・・っていうのはあるのかな。でも、やっぱり、パイラシー対策のために、こういった形でプロバイダーが犠牲(?)になるのは違う気がするんですよね・・・うーん。

※追記(13/9/2009)
Filesharing crackdown divides UK music industry - the Guardian (12/9/2009)
業界の中でも意見が割れていますよー、という記事です。新人やスタジオミュージシャンなど、知名度も低ければ音楽で得られる収入も少なく、投資者を見つけることが困難な人達に対して、FACが提唱するようなビジネススタイルは当てはまるのかどうかという議論。これには、いろんな意見があって当然でしょう。
記事を読んで改めて思いましたが、FACの活動はとても面白いし興味もあるし、同意できる部分も多々あるけど、ミュージシャンが多数参加しているからといって、FACをヒーロー扱いするようなことがないよう常に気をつけたいものです。
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2009/09/09 08:50
Rethink of internet suspension pirates in the UK
Internet suspension of illegal downloaders could become law - the Guardian (6/9/2009)
BPI welcomes Digital Britain rethink (but its figures spark controversy) - Music Ally (7/9/2009)

今年6月に発表されたデジタル産業戦略「Digital Britain」において、3ストライク・ポリシー等強力なパイラシー対策に対して消極的姿勢を示したイギリス政府。しかし、the Guardianの記事によれば、ビジネス大臣Peter Mandelson氏が、映画や音楽を違法で交換し続ける者に対し、一時的にインターネット回線を切断するという対策が、今後1年以内に法律となりうるという考えを示したとのこと。英レコード協会(BPI)は、Mandelson氏の提案に対して既に歓迎の意を表明していますが、一方、ミュージシャンやインターネット・プロバイダーから「とてもネガティブな動き」と反対の声も上がっています。

ここで、Music Allyの記事に注目。曰く、イギリス政府は今年5月、「違法ファイルシェアリングを行っている人の数は、イギリス国内で700万人以上」とするレポートをある顧問機関から受け取っていたそうですが、BBC Radio 4の「More or Less」という番組が、この“700万人”という数字の出所の特定に成功。政府の元々の調査依頼先は、ロンドン大学のCIBERという学識者グループだったらしい。しかし、この700万人という数字は別のリサーチから来ていて(その後色々複雑な流れがあるのですがここでは割愛)、最終的に辿り着いた大本のソースは、Mark Mulligan氏という人の書いたJupiter Researchだったらしい。そして、このMulligan氏にこのリサーチを依頼したのが、驚くなかれBPIだった、と。しかも、適当とは思えない想定値に想定値を掛け合わせた結果、プライマリーデータにしっかり基づいて計算すれば僅か390万人になるはずが、何故か700万人になってしまった・・・というのがことの成り行きのようです。この番組の検証内容については、こちらに詳しく書かれているので参照下さい。

ちなみに、拙ブログでも、以前BPIの提供する情報の信憑性について書きましたが(URL)、BPIは他にも、著作権保護期間延長支持のために使用したデータでや分析方法などで批判を受けたことがあります。学者が発表したリサーチとはいえ、依頼者やリサーチ・スポンサーが私企業である場合は、それら企業に有利なレポートになりがちで、中立公平なリサーチが出来ていないという批判はよく聞かれます。BPIが著作権保護期間延長支持に使用したレポートも、まさにこのパターンで、全く公平性に欠けていると思います。今回は、"政府の顧問機関のメンバーに、以前BPIに依頼されてリサーチを行った人がいて、しかもその時の数値を今回使ってしまった"という、(イギリス政府にとっては)ある意味想定外の出来事が起こっていたわけですが、それ以外にも、BPIと特定の議員との癒着みたいなものもあるでしょう。そういったあれこれを防ぐためにジャーナリズムがあるのであり、市民が常に目を光らせておくことが必要なのではないかと、改めて感じました。でも、信憑性云々言ったら、BBCの検証も本当に正しいかどうかなんて、当事者でもない限り分からないんですけどね・・・。

話を戻しますが、信憑性の薄い数字を根拠にして政府がより強固なパイラシー対策に転換するというのは、個人的にはやはり納得がいかない。対策をしないで放置するわけにいかないのも分かるけど、今揃っている僅かなデータだけで法律なんて作るべきではないと思う。パイラシー問題をもっと客観的に見られる組織が必要だと思うし、それこそ、アカデミクスが担える役割のはずだけど、今回みたいに学者集団がヘマしてしまうと、そうゆうわけにもいかなくなるという。うーん・・・。
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2009/09/08 08:38
MP3はお好き?
先週今週と、ロンドンを行き来し、友達の家に行ったり、友達が来たり、ネットを離れているうちにすっかり情報に乗り遅れてしまいました。英音楽業界はSpotifyとiPhone関連のニュースで盛り上がってるようなのですが、デポジット式携帯で生きている人間(←携帯でメールもネットも使えない)には、全く分からないことばかりで、読む気も起こらず・・・近々取り上げられたら、とは思いますが。他にも色々気になりつつ、「今度読もう、今度読もう・・・」と思っているうちに2週間くらい経ってたり。おいおい・・・。ということで、度々申し訳ありませんが、また軽めの話題です。

Dithering: Jonny Greenwood - The New Yokers (02/09/2009)

Radioheadと言えば、2007年秋「In Rainbows」を「pay-what-you-like」方式でデジタル・リリースしたことが記憶に新しいですが、最近も、バンド、そしてトムのソロ作品と、デジタル or デジタル+アナログでリリース。最近、トムが改めてCD嫌いを口にしたことはちょっとした話題になりましたが、今度はギターのジョニー。記事の中で、彼は「音楽媒体としてのMP3について、僕は別に悪くはないんじゃないかと思う」と発言し、話題を呼んでいます。

要は、音質はもちろん大切。でも、MP3の音質にやたら文句をつけている人達は、音楽自体をエンジョイする気持ちを忘れてるのではないか?ということだと思います。インタビューの最後のコメントを引用します:

"I find this sound quality stuff both fascinating and ridiculous. It’s like the pixel resolution of digital cameras: higher numbers are better, but that discussion always pushes the actual photography to one side, somehow."
(MP3の音質に関するあれこれについては、魅力的でもあり、またばかげているということに気付いたんだ。デジタルカメラの解像度みたいなものだよ。高ければ高いほど良いっていう話があるけど、この手の話はいつも、どことなく、実際の撮影技術を置き去りにしてしまっているんだ)。


私個人、MP3に関してはジョニーと全く同じ考えです。MP3肯定派は少数で(「やっぱり音質がね」みたいに言われるし)、凄く肩身が狭い思いをしていたので(自分はMP3肯定派であると表明するのも気が進まない、みたいな・・・)、ミュージシャンの中でもジョニーみたいな人がいると知って、ホッとした・・・というのが、この記事を読んでの最初の感想。この前、ラフトレEastに行って、久々にCD+超質の良いヘッドフォンで音楽を聴いた時、その音質の良さに驚愕しましたが(今はPC以外聴く手段がないので)、音質の悪さが耳を悪くするとは言えないと思うんですよね・・・。私なんかは、数年前までカセット・テープで音楽を聴いていたくらいで、音質よりも聴く過程を大事にしたいタイプなので、ちゃんとした音質で楽しみたい時以外は、MP3でも良いのではないかと。日本にいたら、そんなこと思いもしなかったと思うけど、イギリスに来て、CD買わずして合法で音楽を楽しむこと(≒ストリーミングサービスの利用)が普通になってみると、音質云々過剰にこだわる必要はないな、と。もとい、曲は良いのに音質が悪くて最悪、と思うことはあっても、音質が悪いから曲が最悪、なんてことはないと思う。CDで聴いたら良い曲をラジオで聴いたら最悪、なんてこともないわけだし。

それから、以下の発言も面白いと思う:

"I’d feel frustrated if we couldn’t release CDs as a band, but then, it only costs us a slight shaving of sound quality to get to the convenience of the MP3."
(もしバンドとして、CDで曲をリリースできなかったら、すごくフラストレーションを感じるだろうね。でもそれは、MP3の利便性を得るために、ほんの少しだけ音質を削らねばならなかったっていうだけのことなんだ。)


レディへが、今年に入ってデジタルorヴァイナルというリリース方法をとっているのも、これで何となく理解できる。「音質の高いものを楽しみたい人はヴァイナルで、曲を聴くという行為を重要視する人はMP3で」という姿勢が、今のリリース方法に表れているのかなぁと。

私なんかは、もう少し音質の高いMP3かヴァイナルがあれば十分なんではないかと思うんだけど、環境という面で見ると、ヴァイナルは環境負荷が大きすぎる気が・・・。MP3 vs CDの環境負荷については、今某ソフトウェア企業が調査中という話を聴いたことがあるけど、その後どうなったんだろう・・・。
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2009/09/02 22:19
Glasvegas at We Love To Boogie (1/9/2009)
090903.jpg
St. George St., Glasgow, 1 Sep 09

昨日NMEのウェブサイトを見ていたら、「グラスベガスが今夜グラスゴーでシークレットギグをやる&場所は当日夜発表」だというので、「家の近くだったら行こっかな~」と思ったら、本当に家の近くだった(徒歩10分)ので、とりあえず出動。

場所は、いかにもグラスゴー的な名前のWe Love To Boogieという新しい&ロケンローなお洋服屋さん(a.k.a.私の通ってるヨガスタジオの隣)。場所が発表になって多分30分も経たないうちに会場に到着したはずなのですが、既に20人くらい並んでる。仕事帰りっぽい人も既に並んでいる(皆さん5時退社ですし)。まぁ、その彼らが後から友達呼んだりするから、結局30番目とかになってましたが。

このお店がどれだけ小さいかは私もよく知ってますが、警備員も「多分この辺の人は入れないよ」とか何も言わないので(この辺、イギリス人って本当に適当・・・)、どうなるかと思ったら、案の定、入れませんでした。いや、私の位置だったら確実に入れたと思うんですよ。NMEだとキャパ50人になってるし。現地でも非難囂々だったのですが、結局、ゲストリストで入ってる関係者が多すぎる、と。多分、一般客は20人くらいしか入ってない。お客さんの1人がスタッフに「後ろの方の人なんて、入れるかどうかも何も知らないのに、待たされてるんだぞ」とクレームを入れた時、スタッフから「ゲストリストがちょっと多いのよ。ごめんなさいね」と言われ、周りはもう「Fxxkin' guestlist!」の嵐です。別にこんなギグまでゲストリストなんて作らなくても良いじゃん・・・グラスベガスTシャツ着て来たファンの子達に謝れ・・・と内心思いましたが、それがイギリスの音楽文化なので仕方がないです。

090903-2.jpg
が、悔しいし(←別に熱心なファンじゃないけど)、ドアも開いてるし、ガラス張りのお店だったので、外で最後まで見てきました。最初の3曲くらいは、終わる度に「お店の中=拍手」「お店の外=ブーイング or "James, turn it up!(音量上げろ!)"」でしたが、最終的には外のお客さんも合唱。こうゆう時、スコティッシュは本当に明るくて、外のお客さんは外なりに、音楽聞きつつお話しつつ、それなり楽しんでたみたいでした。

やっぱり悔しかったので、帰りは近くのおいしいチップス屋さんでチップスを買って帰りましたとさ。
で、このシークレットギグ、何の目的だったんだろうか・・・?

ちなみに、NMEの記事はこちらから。
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2009/09/02 21:03
日本の音楽マーケットに参入するには?
British music executives head to Japan to drum up business - the Guardian (10/8/2009)

1ヶ月近く前の記事で申し訳ないのですが、ずっととっておいた記事なので、是非紹介させてください。

サマソニが開催された週末、イギリスの30以上の音楽関連企業が、英国貿易投資総省(UK Trade & Investment)と英レコード協会のサポートのもと、日本の音楽マーケットでの成功を目指し、来日&視察を行ったというニュース。日本はアメリカに次ぐ世界2位の音楽マーケットを持っているだけでなく、多くの国がセールスの下落に悩んでいる中、日本は昨年セールスでは0.9%成長(記事によれば、携帯を通じた音楽ビジネスの成功がその要因らしい)。しかし、洋楽のシェアはたったの2割。そのうちUKミュージックはさらに小さく25%。それでも、イギリス側の注目度は高く、ここ6年で、この視察への参加企業は20から30へとふくらんだとのことです。

ユニバーサルの国際マーケット担当カトウキミタカさん(カタカナですいません)は"To sustain and expand, indie labels need to keep coming and to understand what this country is really about. (日本で生き残っていくためには、インディレーベルは日本を何度も訪れ、どんな国なのか理解することが必要だ)"とおっしゃっています。私も、グラスゴーの音楽業界の方達と接している中で、似たようなことを感じます。言語とか地理的要因で、いくらグローバリゼーションとはいえ、イギリス人の、日本(そして日本の音楽業界)に対する理解は本当にまだまだ浅い。日本人は毎日寿司を食べてると思ってる人とか、職業にサムライがあると思ってる人とか、普通にいますからね・・・。

で、去年の視察旅行の記事もあるので、ついでに紹介します。

The sun rises on British opportunities in Japan - Music Week (21/8/2008)

タイトルが微妙ですが、個人的には、こっちの記事の方が詳しくて好きです。
The Guardianと同様、こちらの記事も、日本に対する理解をキーにあげていて、特に、「日本のライブシーンは十分成長しており、他のバンドが入る隙がない」とか、「Myspaceよりmixiの方が重要なコミュニティである」なんて点は、イギリス人には知られていない、でもとても重要な点だと思います。うちのフラットメイトは、イギリスやアメリカで売れてる歌手は世界どこでも売れてると勘違いしていて、おいおい・・・と思うことも多々ですが、同じように思ってるイギリス人は多分多いだろうなと。さすがに業界人はそうではないと思うけど。記事では、マーケットの構造の違いも色々紹介しているのですが、個人的には、構造云々より、こういった日本文化への理解の方がまず大事かなぁ、と。数字だけ見て戦略組んでも、日本ではやっていけない気がします。・・・と言っても、私はただの学生なので、あくまでも推測ですが。

でも、個人的に、ですが、やっぱり視察だけではわからんだろ、と。日本人のお友達を持って、色々聞いてみた方が良いような気がしてしまう・・・。

ちなみに、イギリスで日本の音楽シーンとなると、登場するのはやっぱりスマッシュじゃなくてクリマンなんですね(URL)。日本のロックファンの間では、フジの方がサマソニよりまだまだ知名度も権威もあるかと思いますが、イギリスではサマソニの方が知られている・・・ような気がする・・・。それだけクリマンがイギリスのバンドを呼ぶのに積極的だからということか。

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2009/09/01 20:52
Reading Festival終了
mainstage.jpg
レディングのメインステージ。2日目は良いお天気。噂通り、旗なし。

8月最後の週末は、ロンドンから電車で30分弱のところで開催されたReading Festivalへ。元々は3日目だけ行くつもりだったのですが、結局2日目もチケットを取って、2日間行ってきました。

レディングは、規模、ファン層、メンツ等々T in the Parkにそっくりなので、比較するには面白いんじゃないかと思いましたが、結局は、レディングの方がTよりも中流、としか言いようがない。運営面では、確かにレディングの方が優れている面もあるのだけど(トイレなんて男女別で全部水洗!しかも超綺麗)、それは大した問題ではなく、結局はイングリッシュの方がスコティッシュよりお酒をバカ飲みしないし、羽目外すような人も多くないという、とにかくそこに尽きます。合唱とかあまり大きくなくて(ロンドン近辺の人達はみんな冷めてると思う・・・)そうゆう意味では、スコットランドの方が楽しいけど、レディングの方がTより100倍快適。まぁ、ポロッとゴミを落とす or 放置するタイプのスコティッシュと比べ、レディングのお客さんは、下手投げで本当にゴミを“投げて”いて、ちょっとビックリしましたけど。顔はすましてて、身なりもまさに中流なのに、手元ではゴミをひょいっと投げる、と。・・・なるほど。

RH-gold.jpg
Radiohead at Reading, 30 Aug 09

バンドはボチボチ見ましたが、最初に見たIan Brownがワーストアクト(ちゃんと歌えー!やる気あるのかお前はー!)、最後に見たRadioheadがベストアクトでした。レディへは別格。レベルが他のバンドと違すぎる。1曲目が「Creep」だったのは、南米ツアーと同じだったので驚きはなかったのですが、「Creep」を1曲目に持ってくるというのは、ある意味バンドにとっては画期的かもしれないなぁと。1曲目にやっちゃえば、バンドもファンも後の二十数曲に集中できるし。あと、レディングでは「Creep」より「Karma Police」や「Just」の方が圧倒的に盛り上がってたし、もうイギリスでは、バンドは「Creep」云々そこまで気にしなくて良いんだろうなぁと思ったり。個人的には、去年のグラスゴー公演とセトリが被ってなくて、聴きたい曲が沢山聴けて良かったです(今夏のツアーでやってた「(Nice Dreem)」が聞けなかったことだけが心残り)。噂の照明もエンジョイ出来たし(去年は最前+アンコール頃でも空が明るくて、照明をフルでエンジョイ出来なかった)。修論のテーマを音楽と環境問題に決めた直接のきっかけが、レディへのグラスゴー公演だったので、修論を終えた直後に再び彼らのライブを見られたのは、自分の中で1つけりを就ける意味でもとても重要なことでした。そして、実際、素晴らしいライブを見ることが出来て、本当に良かったです。

イギリスのフェス・シーズンは今月のEnd of the Roadまで続きますが、私はこれにて今年のフェスは全て終了。が、今週末はMuse、そして16日はColdplayのライブがあります。UK叙情派バンドの個人的トップ3を僅か1ヶ月足らずで全部見るなんて、多分もう一生ないと思うので、楽しんで参ります。
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プロフィール

anno69(@yano)

  • Author:anno69(@yano)
  • イギリスの音楽産業、特にデジタル・ミュージックと音楽産業における環境問題対策に関するブログ。スコットランド大学院留学記も。
    管理人は、スコットランドのグラスゴー大学大学院ポピュラー音楽学コースを修了し、帰国。音楽好きの普通の会社員をしています。お問い合わせは cielo0818_ls [at] hotmail.com までお気軽にどうぞ。
    A blog dedicated to topics of the UK music market in particular digital music, copyright and environmentalism in pop music.

    ●Twitter:http://twitter.com/anno69
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