イギリスの音楽産業について考えるブログ
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2010/04/18 22:07
Digital Economy Bill、法律化へ その2
前回のブログをアップした直後、PCが故障→修理になり、更新が遅れましたが、Digital Economy Billが下院を通過したニュースの続編です。前回の記事はこちら

先週DEBが下院を通過したというニュースを知った直後、BlurのドラマーでFACのボードメンバーであるDave Rowntreeが、以下のようなコメントをTwitterで発表しました。

Depressing to see the Digital Economy Bill get rushed through last night without proper scrutiny. Hardly democracy in action. (昨夜、ロクな議論もなくDEBの議論が急いで行われたことに対してうんざりしている。民主主義なんてほとんどないようなものだ) - Dave Rowntree (davefromlondon )

source: http://twitter.com/davefromlondon/statuses/11817164897


DEBの審議が本格化した頃、イギリス議会は解散し、5月に総選挙が行われることになりました。しかし、前回の議会で審議されていた法案を次の議会に引き継ぐことができないため、推進派がその前に何とかこの法案を可決させようと躍起になっていました。その事実はこの時既に知っていたので、Daveのtweetもそれを考慮してということはわかっていました。ただ、このtweetの意味が何となく100%理解できていない感じもしていて、モヤモヤ気分が残っていました。
その後、家に帰ってこのニュース関連の記事を集めているうちに、彼の意味していることがすぐわかりました。

Digital Economy Bill: ‘a bad day for democracy' - Telegraph.co.uk (9/4/2010)
Anger about 'stitch-up' over Digital Economy Bill - BBC News (8/4/2010)
Digital economy bill rushed through wash-up in late night session - The Guardian (8/4/2010)

commons_floor-460.png
from the Guardian

急いで下院を通過させただけではなく、ロクに国会に出席した人もいなかったわけですね。BBCの記事のところにある動画とか、本当に国会とは思えない閑散っぷり。重要法案故に、正式な解散前に少しだけ会を延長しようという声も多く上がっていました(="a wash-up period")が、結局、ご覧の通り消化試合の中で法案の議論は進められたわけです。

この辺のことに関しては、「P2Pとかその辺のお話」さんにも詳しく書かれています:

英国:スリーストライク規定を含むデジタル・エコノミー・ビルが下院を通過 - P2Pとかその辺のお話(14/4/2010)

拙ブログでも何度か紹介しましたが、上記の件以外にも、DEBに関しては何かと議論を巻き起こす事柄がものすごく多かった。今回のDEBの件に関しては、外国人である私ですら、イギリスの2大政党(労働党、保守党)と第3党と言われる自民党がDEBに対してどう絡んできているかとか、そういった背景の部分まで報道で知る機会が多くて、なんだか腑に落ちない感じとか怒りみたいな気持ちがこみ上げてきたものです。Daveのtweetには、それら一連のゴタゴタに対する思いのすべてが集約されてるのだと思います。

ただ、これは余談ですが、イギリスにおける、1つの法案に係わる人や団体の動きを見ていて、落胆とか怒りみたいなものとは別に、「イギリスでもそんなことがあるんだなぁ」という気持ちも個人的にはありました。少なくても日本よりは国会が正しく機能しているように自分には見えてたので、今回、日本並みにグダグダだったのがすごく意外で。イギリスといえど、市民が活発に動いていかないとダメなんだなぁというのを、改めてしみじみ感じた次第です。
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2010/04/11 09:02
(追記有)Digital Economy Bill、法律化へ その1
Digital Economy Act becomes law - CMU News-Blog (9/4/2010)
Creative industries, rights groups and lawyers react to digital economy bill - The Guardian blog(8/4/10)
一昔は"Digital Britain"、今は"Digital Economy Bill(DEB)"として知られる、イギリスのデジタル分野における経済関連法案が、この度下院を通過。上院でも問題なく通過する見込みで、法律化することがほぼ確定しました。
上記のThe Guaridanの記事を読む限り、業界団体はおおむねこの法案を歓迎、圧力団体やISPsは遺憾・・・といった反応。他のパイラシー問題と同じような構造が見て取れます。

DEBって何?という方は、拙ブログの以下も参照ください。
Digital Economy Bill発表 (24/11/2009)
今週の英音楽ニュース (14/3/2010)

拙ブログではリアルタイムでアップデートをお伝えできなかったのですが(すいません)、ここ数ヶ月間、条項が変更されたり元に戻ったり、来月の総選挙前の成立目指して議論がおろそかになったり・・・と、かなりのカオス状態でした。最終的には、最後はたったの2時間の議論の後に法案通過となり、さらに非難囂々で、まだしばらくはこの騒ぎは続きそうです。

Digital economy bill: A quick guide - The Guardian PDA (8/4/2010)
法案の内容に関しては、1項目ずつ簡潔に説明されている上記の記事が大変分かりやすいです。ご覧の通り、この法案は、メディアやゲームなど、デジタル関連分野全体をカバーするものなのですが、音楽に直接関連のあるところだけ取り上げると、主に以下の4点になるかと思います。

- 3ストライク・スキームとなるものが含まれている。
- 15条には、「(パイラシー対策として)正しい技術的対策を講じなかったISPには罰金」というラインが。その次の16条では、技術的対策の費用は著作権保持者ISPsで折半して捻出するとあります。
- 「高裁が著作権侵害を行うウェブサイトをブロックできる」とする、最も問題視されていた18条は、本当に直前に政府によって削除されました。しかし、似たような文面が10条に盛り込まれており、言葉を換えて18条が残っているという状態です。
※追記(18/4)Digital Economy Actの原文を読む限り、「国務大臣がブロックできる」とする旨の項目が、私が述べた10条でもThe Guardian他が報じている8条でもなく、17条として登場しているようです。
- Orphan works(著作権者不明作品)に関して言及した43条もドロップされ、Orphan workの扱いに関する未来も絶たれることに。


Q&A: The Digital Economy bill - BBC News (9/4/2010)
Digital Economy Act: what happens next? - Telegraph.co.uk (9/4/2010)
今後ですが、EUで正式な許可を受けるというのが第一関門でしょう。その後1年間、手紙の警告によるパイラシー対策を講じ、70%以上のパイラシー行為の減少が見られなければ、Ofcomによってインターネット回線一時切断を含めた技術的なパイラシー対策へと移行していくことになります。
補足ですが、上記のBBCの記事では、問題点の1つの例として、wi-fiを使ったパイラシー行為を取り上げています。もし、どこかのカフェのwi-fiで個人がパイラシー行為を行った場合、カフェのオーナーがその責任を負わねばならない可能性がある、と。このように、正しく責任追及できるかどうかというのも、この法案の大きな問題点の1つでもあります。

概要は、こんな感じになります。個人的には、3ストライク導入に一時消極的だったはずのイギリス政府が、どうしてこんなことになっちゃったかな・・・とガックリ。それから、総選挙前に間に合わせるために、大した議論もせず、出席者もほとんどいない中で法案が通過してしまったことには怒りを覚えます。この点に関しては、「その2」として分けて紹介しようと思います。

月曜以降、また続報があるかと思いますので、必要であれば補足していこうと思います。
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2010/04/04 20:13
デジタル・ミュージック・サービスの多様化進む(イギリス)
大学院時代のクラスメートとのひょんなメールのやりとりの中で、mflowというものすごいものの存在を知ってしまった。実際のところ、本当にものすごいのかどうかは知らないけど、「うわ!なんじゃこりゃ!」と正直思ってしまった。そして、改めて感じたのは、UKやUSを中心として、新たなストリーミング・サービスがどんどん生まれ、市場規模がみるみる大きくなってきていると言うこと。良い機会なので、MOGの紹介と併せて、これからの数ヶ月間話題をさらうであろうこの2つのデジタル音楽サイトについて紹介します。ちょっと長いのですが、出来れば最後まで読んでいただければと思います。

Twitter meets iTunes at mflow - Telegraph Blog by Shane Richmond (5/3/2010)
Click to download: mflow, Twitter's hipper little brother - The Guardian (1/4/2010)
4月15日に正式ローンチ予定で、現在はベータ版として運営されている、イギリスの新しいデジタル音楽サイトmflowに関するニュースです。"Twitter meets iTunes"という響きだけでも分かるとおり、かなり面白いサービスになっています:

(1)mflowをインストールします。Twitterのように、好きな人をフォローします。
(2)あなたがフォローしている人が、140文字以内のコメントと共に、お気に入りの曲やアルバムを紹介("flow")します。それらの楽曲はあなたのinboxに入ります。
(3)inboxに入った曲を、あなたはフルで聞くことが出来ます。この中に曲が沢山たまれば、ある種のラジオのようにして聞くことが出来ます。
(4)inboxから気に入った曲があれば、購入することができます(320kbps, DRM-free)。
(5)購入した曲の価格の20%は、その曲をflowした人の収益となります。逆に言えば、もしあなたをフォローする誰かが、あなたのflowした曲を購入すれば、あなたはflowした曲の価格の20%を得ることになります。
(6)あなたがflowした楽曲で得たお金は、mflow内で楽曲を購入するために利用できます(ただし、mflow以外では利用できないし、現金化もできない)。
* ちなみに、mflowでの人気曲ランキングや人気mflowユーザーランキングなんていうのもあるようです。


面白い音楽を紹介してくれる人を見つけて、フォローすれば、色んな音楽情報が手に入って、自分の趣味にあったラジオのような働きをしてくれるという点がとても魅力的。この点を考慮すると、これはSpotifyみたいなものよりも、Hype Machineのような口コミサイトの方が、mflowの影響をモロで被るように個人的には感じています。

気になるのがカタログ数ですが、mflowのウェブを見る限り、現在Sony, Universal, Beggarsグループ(4AD, XL, Matador, Beggars Banquet), PIAS, Domino・・・とDominoのロゴの上にあるレーベルロゴがどこのか分からないけどもう1レーベルが参加している模様。私の感覚では、これだけでもメジャー/インディー問わずかなりのカタログ数がカバーできるかなと思います。UKロック好き的にはEMIが欲しいところですが、破綻直前のEMIは果たして参加出来るだけの余力が残っているか微妙かもしれません。ただ、このサービスのメインターゲットとなるのは熱心な音楽ファンでしょうから、カタログの拡大 --特にインディ系 --は必須事項と言えると思います。

それからもう1つ言えるのは、これがただの試聴サイトと化さないかどうか。聞いた後に“買う”ところまで手を伸ばしてもらわないことには、このサービスは機能しないわけで、どれだけ多くの人を“購入”まで結びつけるかが大きなポイントとなりそうです。もちろん、「自分がmflowで稼いだ分だけmflowで出費できる」という利点は、「そのために人気のmflowユーザーになろう」とか「そのためにホットな曲を探そう」といった、音楽発掘へのモチベーションにもなって、凄く良いアイディアだと思う。ただ、逆に言えば、人気ユーザーにならないと音源を購入するに十分なお金を得ることが出来ない可能性も大いにあるわけで、出費する一方になったユーザーからは飽きられるかも分からない。その辺は、実際動いてみないと分からないのかなとは思います。

とはいえ、どちらにしろ、このサービスは注目度も期待度も高いと言えると思います。私も、UK Onlyとは分かりつつ、あまりに試したかったので、うっかりmflowをインストールしてしまった程。もちろんサイン・アップ出来なかったですが(涙)。正式ローンチとなる今月15日までは招待制で、TelegraphとThe Guardianにある以下のcodeでベータ版にサインアップできます。UK在住の方、是非一度おためし下さい!(そして感想教えてください/切実)

from Telegraph blog: SHANER99
from The Guardian: ZANE444(Zane Loweのもの), CLASH0403 (Clash Magazineのもの)



MOG v Spotify: the battle begins - The Guardian Blog by Helienne Lindvall (5/3/2010)
そして、こちらは少し前に話題になったニュース。購読型ストリーミング・サービスといえば、UKだったらSpotifyかWe7がメジャーどころだと思います。今最も熱いこのマーケットに、アメリカのMOGが今年6月までに進出してくる・・・とのことで、The GuardianがMOGのCEO、David Hyman氏に対するインタビューを行っています。MOGは、定額制ストリーミング・サービスで、月5ドルで聞き放題。iPhoneやアンドロイドでのサービスも含める場合は月10ドル。We7と同じく、ウェブサイトにアクセスして音楽を聞くタイプで、広告ベースではないので、CMが入ることがないとのこと。ちなみに、UKでローンチされる時は、それぞれ月5ポンドと月10ポンドのサービスになるそうで、アメリカよりちょっと割高になりますが、これはヨーロッパの出版料がアメリカのそれより高いからとのこと。

問題は、お金の流れ。Hyman氏によれば、購読料の何%か(ブログでは20%前後ではないかとなっています)が、MOGの収益に、残りはレーベルや音楽出版社に分配されるとのこと。しかし、「この後がハッキリしない」と記事が言っているとおり、他の購読型サービスとは違い、1プレイの印税額は定額制ではないようです(この辺りに関して、記事は、「カタログを提供しているSonyやUniversalが何か関わっているのではないか」と言ってます)。記事によれば、もしMOGが5ポンドの購読料から20%をとるとしたら、残りは4ポンド。この4ポンドがレーベルや出版社にどう分配されるかは、その人がどの曲を何度プレイしたかによる。以下、記事の例を参考に考えてみると:

【例】
1日40回プレイ=1月およそ1,200回の場合、1プレイ当たり0.3pがレーベルと出版社に配分される。
→0.3pのうち、作曲家に配分されるのは0.06p。
→0.3pのうち、レーベルとアーティストに配分されるのは0.24p。
→0.24pがレーベルとアーティストでどう配分されるかは、契約内容による。


お分かりのように、もし1月のプレイ回数が少なければ、1プレイ当たりの配分額が大きくなり、プレイ回数が少なければその逆が起こる。上記の例の場合、作曲家が60ポンドを得るために必要なプレイ数は、何と10万回。なかなかお金にはなりません・・・。

しかも、数多くのインディペンデント・レーベルをとりまとめるMerlinのトップ、Charles Caldas氏がMOGへの参加に消極的な姿勢を示しており(この時点では)、カタログ数という面で、SpotifyやWe7に劣るというのは大きな欠点になるかと思います。ということで、MOGもSpotifyもどっちもどっち・・・というのが結論といえそうです。
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プロフィール

anno69(@yano)

  • Author:anno69(@yano)
  • イギリスの音楽産業、特にデジタル・ミュージックと音楽産業における環境問題対策に関するブログ。スコットランド大学院留学記も。
    管理人は、スコットランドのグラスゴー大学大学院ポピュラー音楽学コースを修了し、帰国。音楽好きの普通の会社員をしています。お問い合わせは cielo0818_ls [at] hotmail.com までお気軽にどうぞ。
    A blog dedicated to topics of the UK music market in particular digital music, copyright and environmentalism in pop music.

    ●Twitter:http://twitter.com/anno69
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