イギリスの音楽産業について考えるブログ
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2010/05/29 18:13
Spotify新サービスのまとめ
最近、オランダでのサービス開始も発表したSpotifyに、最近2つほど大きな動きがあったのでまとめて紹介します。Spotifyに関しては、こちらも参照のこと。

Spotify - the next generation - Spotify.com (27/4/10)
Spotifyにソーシャル・ネットワーキング・システムが加わってヴァージョン・アップしました。このニュースは4月にリリースされた割に、ユーザーのSpotifyプレイヤーがヴァージョン・アップされたのはちょっと後だったのですが。変更点が多いので、「つべこべ説明するより、このビデオを見よ!!」と言っちゃった方が早い気もしますが、その前に、目立った機能をまとめると:

<ソーシャル・ネットワーキング機能(ある程度の情報公開を含むので、使わないという選択肢もあり)
- Facebookの友達でSpotifyの同機能も利用している友達のプロフィールが、Spotifyのサイドバーに表示される。また、Spotifyを利用する友達のプロフィールも、同様に友達登録してサイドバーに表示させることができる。
- ウェブやブログ、Facebookなどで自分のプロフィールやプレイリストなど公開できる。
- 友達登録している人に、Spotify上のおすすめの曲を送る(≒教える)ことが出来る。送られた曲は、SpotifyプレイヤーのInboxにストックされ、そこからプレイすることが可能。
- 自分の友達がFacebookに投稿した音楽が自分のSpotifyプレイヤーの"What's New"ページ(=Spotifyプレイヤーのトップページ)に表示される。
- 公開されたプレイリストの人気ランキングをチェックできる。

<ライブラリー機能>

- Spotifyには入っていないが自分のPC上に入っている音楽を、自分のSpotifyプレイヤーにインポートできる(=たとえば、iTunesには入れてあるけどSpotifyに入ってない曲もSpotifyプレイヤーで聴くことができる)。
- 自分のPC上にある音楽でSpotify上にもある場合、そのアーティスト/アルバムのSpotify上のページに飛ぶことが出来る。
- お気に入りの曲を"starred"(≒ブックマーク)できる。
- オフライン機能が向上し、今後はPCのSpotifyのプレイリストをモバイルに同期させる際は、USBを使用しなくてもワイヤレスで同期可能になる(試したことないのですが、wi-fiのことでしょうか・・・?)。


ソーシャル・ネットワーキング機能に関しては、他のストリーミング系音楽サービスがやっているようなサービスはだいたいカバーできてるように思います。ライブラリー機能はかなり便利ですね。わざわざiTunesとSpotifyの両方を立ち上げなくても良いし、SpotifyとiTunesの曲の両方をミックスしたプレイリストも作ることが出来る。

イメージがパッと思いつかない方は、こちらのビデオもどうぞ(ちょっとコラムからはみ出しちゃってますが)。


Introducing Spotify Open and Unlimited - Spotify.com (18/5/2010)
Spotify launch new subscriptions, freemium is open but limited - CMU News-Blog (18/5/2010)
それからもう1つ。iPhoneのSpotifyアプリがリリースされた直後、需要があまりに多すぎて、登録制から招待制に再び戻っていたSpotify。「広告なし+聞き放題+携帯アプリ付」で月10ポンド(=1300円)のSpotify Premireはその後も登録を受け付けてはいましたが、「広告付き+聞き放題」という、Spotifyが正式ローンチされた際のサービス(="Spotify Free"と言うそうな)を受けるには、招待が必要でした。それも、招待は既存のメンバー1人に対して限られた数しか振り分けられていないので、Spotifyを始めたくても始められない人の不満が高まっていたようです(ちなみに、Premireメンバーの場合、確か30人程。Freeメンバーは振り分けあったんでしょうか?)。そこで、今回新たに2つのサービスをスタートさせ、招待を受けてない人も登録できるようになりました。気になるサービス内容は:

Spotify Unlimited:「広告なし+聞き放題」で1ヶ月5ポンド(=650円・・・ポンド安の影響がここに・・・)。ただし、携帯のSpotifyアプリを使用することは出来ない。
Spotify Open:広告有の無料版。ただし、月20時間までしか聞くことが出来ない。


これに、PCでのSpotify Premireとあわせ、現在、招待なしで利用できるサービスは3つになりました。
CMUは、「果たしてこのサービスがUSレーベルでも受け入れられるか?」と疑問を投げかけていますが、今週金曜より香港で開催されている音楽カンファレンス「Music Matters」でSpotifyのCEO、Daniel Ekが語ったところによれば、SpotifyはUSでのローンチに向けてまだ動いてるようです。この記事を読む限り、色々面白そうことも語っていたようなので、月曜以降、海外メディアで詳しく取り上げられるのを待とうかと思います。でも、香港で行われたアジアの音楽ビジネス・カンファレンスでの発言なので、UK/USのメディアがどこまで取り上げてくれるか微妙なところではありますが・・・。

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2010/05/23 21:08
ヨーロッパの携帯音楽市場
Exclusive: iTunes takes 28% share of Euro mobile music downloaders - Music Ally (19/5/2010)
Mobile downloads not taking off, say comScore - CMU Daily (21/5/2010)

リサーチ企業comScoreが、ヨーロッパとUSの携帯向け音楽配信に関する統計を発表。携帯で音楽を聴く人はそれなりにいても、携帯で音楽を購入する人は少ないという調査結果が出たようです。

調査対象となった国は、ヨーロッパ5大音楽市場であるイギリス、ドイツ、フランス、スペイン、イタリア。Music Allyによると、この5カ国では、23.8%の携帯ユーザー、およそ5400万人が携帯で音楽を聞いていると考えられるとのこと。また、PCで購入した音楽を携帯に入れて聞いている人が全体で20.3%。携帯で音楽を聞くユーザーが23.8%ですから、その多くがPCでDLした音楽を携帯で聞いていると考えられます。そして携帯で直接音源を購入し、聞いている人の割合はわずか1.9%にあたるおよそ430万人と想定されるとのこと。ここに出ている数字で単純計算すると、この5カ国の総人口は約2億2700万人という設定ですが、そのうち携帯で直接音楽を購入している人が430万人というのは、やはり少ない印象。ちなみに、これは、前年比で62%の増加(260万人)とのことですが、同時期にアメリカで行った調査だと、増加の割合は前年比わずか10%(370万人から400万人)とのこと。アメリカの伸びが10%だった背景については語られておらずこの10%の意味するところが分からないのが残念です。

ただ、少しだけ頭の隅に入れておきたいのは、この5カ国の携帯ユーザーの何割が、携帯でスムーズに音楽をDLして聞ける状態にいるのかということ。その点はCMUの記事で詳しく触れられています。もう1点注目したいのは、Music Allyにあるグラフ。PCではiTunes Music Storeが圧倒的なシェアを占めていますが、携帯の場合、iTMSと第2位のNokia Music Storeの差はわずか2%。comScoreのAlistair Hill氏は、Nokiaのこの躍進については、携帯用ウェブサイトにて、Nokiaの音楽サービスだけでなく、アーティスト単体の広告をうったことが重要であったと語っています。個人的には、いわゆる“水のような音楽”モデルに足を踏み入れたComes With Musicのローンチで、携帯向け音楽サービスにいち早く取り組んできたことも影響しているのではないかと思います。

今回の調査結果では、全体的に比較的低い数値になっています。しかし、SpotifyやWe7ユーザー向け携帯アプリに代表される、携帯を使ったストリーミングサービスが今後どう発達していくかで、携帯での音楽消費が増える可能性はいくらでもあるでしょう。引き続き注視が必要だと思います。
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2010/05/15 23:51
音楽ビジネスへの関心の低さと日本の音楽メディアについて考える
アップルが新しいストリーミング・サイトを立ち上げ? - RO69 News (14/5/2010)
【参考】デジタル配信の未来と、その問題点 - Green Sound from Glasgow (3/5/2010)
ロッキング・オン運営のウェブサイトRO69で、以前、拙ブログでも取り上げたlalaの閉鎖とiTunes.comローンチの噂に関する記事がアップされました。RO69はNMEのウェブ記事を日本語訳して載せただけの記事なので、RO69に非はないのですが、指摘しておきたいことがいくつか。

まず、私がいくつかの海外主要メディアの記事を読んだ限り、「iTunes.comはlalaの流れを組むもので、Spotifyのような購読型にはならない」という見方が主流で、RO69にあるような「iTunes.comとSpotifyが似たようなサービスになる」という噂のされ方はしていない。また、RO69は原文を意訳して「アメリカで同じようなストリーミング・サービスを展開していたLala.com」としているけど、ストリーミングしている点では両サイト同じでも、lalaとSpotifyでは仕組みやサービス内容がかなり異なり、「同じようなサービス」という言い方には少し違和感がある。ちなみに、具体的な違いは、Spotifyは広告が挿入されるものの無料で音楽が聞き放題なのに対して、lalaはフル・ストリーミングは1度のみで、2回目以降は有料。また、今回のアップグレードでSpotifyもついに導入したけど、lalaは元々クラウドベースのライブラリーとしての面が大きかったという点も異なる。こういった細かい点は、何の知識もなしにNMEの記事を日本語訳するだけでは気づかないこと。ただ、仮にlalaもSpotifyも詳しく知らないなら、訳す時に軽くでも良いから調べて、必要なら補足か何かを入れるべきだと感じるのは私だけでしょうか。NME読者と違い、RO69読者はSpotifyのSの字も知らないでしょうから、説明不足のまま記事をアップするのは、読者に親切ではないな、と。

いくら日本が独自の音楽シーンを持っていようが何であろうか、海外での音楽ビジネスの状況については、日本の音楽ビジネスの今後を考える上で無視できない状況だと思います。それにも関わらず、関知しない人が多い気がする。音楽メディア側もよく知らない/調べないままで記事を掲載するから、事実と違ったり誤解を与える記事が平然と掲載され、事情を詳しく知らない読者が鵜呑みにしてしまうという悪循環が起こっている。関連記事を2つ紹介しておきますので、興味のある方はどうぞ。

rockin' on コレポン通信 from Londonへの意見書 - Green Sound from Glasgow (2/11/2009)
GIGAZINE さん、オンライン音楽配信をdisれるデータじゃないですよ - P2Pとかその辺のお話@はてな (23/4/2010)

日本の音楽コミュニティにおける音楽ビジネスに対する関心の低さは、最近すごく引っかかっています。この流れでもう1つ記事を紹介します:

今後の音楽ビジネス展望(大げさ)- ミーハーで何が悪い。(15/5/2010)
音楽ビジネスの未来を、歴史的背景を踏まえて書いた素晴らしいブログ記事。考察の結果導かれた答えの1つを引用させていただくと:

・プロの音楽家が発信する音楽については、まずメディアの固形物が消滅してデータ化に移行していくのは時間の問題。曲の単価も限りなくゼロに近くなり、ライブや音楽家の周辺グッズ等の総合的なパフォーマンスに対して対価を支払ってくれる客層を構築出来る人が生き残る世界になる。
以前より厳しい様にも見えるが、何てことはない、極論すれば昔のバッハやモーツァルトの時代と同じ(笑)。


言わずもがな、「ミーハーで何が悪い。」さんが書かれているような“日本の音楽ビジネスの未来”は、“イギリスの音楽ビジネスのの今”です(個人的には、日本の邦楽業界においてはイギリスの今と似たような現状が既にあると感じますが、イギリス程あからさまではないと思う)。PRS for Musicのチーフ・エコノミストWill Page氏によれば、最新のデータでも、イギリスではライブ産業の方がレコード産業より潤っているらしい(The Guardianのこちらの記事参照)。プラスして、イギリスでは、産業構造の転換が起こって数年経って、“その次”の段階に入っている感じもある。それから、同記事で取り上げられている坂本龍一氏の記事(こちら)も是非ご一読いただきたいのだけど、彼がこのインタビューで述べていることや彼自身の活動は、完全に海外基準(特に、5ヴァージョンでのリリースは、RadioheadのEd O'BrienがMidem2010用インタビューで述べていたことと被ります。拙ブログのこちら参照)。日本人ミュージシャンがこうゆう話をしてるからセンセーショナルに見えるけど、イギリスから見たら、教授くらい人気やキャリアのあるミュージシャンなら当然のこととして映るのではないでしょうか。

でも、こういった認識を日本の音楽ファンのどれほどの人が共有しているのだろうかと想像すると、少ないだろうことは想像に難くありません。日本で実際に変化が起こるまでには時間差があるだろうけど、デジタルの時代において、情報だけならすぐにキャッチできるのに。繰り返しになりますが、日本にはこれだけ豊かな音楽シーンがあるのに、日本では「音楽の“ビジネス”」となるとどうもイメージが悪いのか単にそこまで時間と気を回す余裕がないのか何なのか、音楽ビジネス、特に海外の音楽ビジネスに関する関心の薄さと情報量の少なさは少し異様に見えます。音楽ビジネスに関して、ものすごく建設的かつ興味深い議論が海外メディアでオープンに行われているのとは本当に対照的。私個人、音楽ビジネスと向かい合わずして、リスナーとしてますます音楽を楽しめるような環境を作っていくことは出来ないと考えているので、この関心の低さは少しでも改善されるべきだと思います。一部の素晴らしいブロガーさんたちが頑張ってくれてるだけでは変わらないと思うので、もう少しメディア側が音楽ビジネスに対する関心が高まるよう、ちゃんと動いてくれれば・・・と願っています。
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2010/05/09 21:23
AGF、Industry Green Markの認証を受けたコンピレーション発売へ
このブログは、デジタル関連と並んで「環境問題と音楽」をもう1つのメインテーマとして取り上げているのですが、どうもこちらは動きが鈍い気がする今日この頃。Julie's Bicycleがこの春発表する予定となっていた「ツアーに係る環境負荷に関するレポート」も、リリースが6月予定と少し遅れている様子(フェス・シーズンに入る6月にリリースした方が注目されやすいっていう判断もあったのかも)。一方、イギリスの世間的には、先週木曜日に行われた総選挙で、緑の党党首でEU議会で議員を務めるCaroline Lucas氏が、ブライトンの選挙区から立候補し、初当選。緑の党初の議席獲得という歴史的ニュースがあり(こちらの記事参照)、BBCの選挙速報でも大きく取り上げられ、話題となっていました。それと比べると、今回取り上げるこのニュースは正直どうでも良い・・・というレベルなのですが、久々に音楽業界のエコ系ニュースということで、軽くさらっておきます。

A Greener Festival to release compilation - CMU Daily (5/5/2010)
EXCLUSIVE: 'Festival Harvest' Double CD of Emerging Talent Announced - A Greener Festival (3/5/2010)

より環境に優しいフェスティバル運営を支援するために設立されたイギリスのA Greener Festivalが、この度、期待の新人の楽曲を集めたコンピレーション「Festival Harvest」のリリースを発表しました。詳細は、今週ブライトンで開催されるサーキット型フェスティバルThe Great Escapeで発表されるとのことですが、リリース日は6月1日で、2枚組CDとダウンロードで購入可能とのこと。英音楽業界の環境団体Julie's Bicycleが定める「Industry Green Mark」の認証を受けた、環境負荷の少ないCDパッケージになる予定だそうです。

AGFがこのようなコンピを作ったのは、(1)自分たちの活動を広めるには、メディアが取り上げてくれそうな話題(=コンピのリリース)に便乗できるような形にするのが得策だと考えたから(2)新人だけを集めたコンピなら、参加ミュージシャンも集めやすいから -- の2点が大きかったではないかと推測します。ただ、AGFの狙い通りにものがうまく運ぶかは正直微妙だと思う。なぜなら:

(1)参加ミュージシャンは、City Showcase、 Glastonbury、 the Isle Of Wight Festival、 T In The Park、 Kendal CallingそしてSolfest出演者から選ばれたニューカマー28組。業界内ではどうか分かりませんが、世間的には無名の新人がほとんどで(私も、知ってるバンドは2つしかないし・・・)、購買意欲を誘うメンツかどうかといえば正直微妙だから。
(2)参加ミュージシャンも購入者も、このコンピが環境に配慮して作られたかどうかは正直あまり気にしていないと思うし、かといって彼らが気にしてくれるような作りにもなっていないから。環境に関するアピール・ポイントのプッシュが弱いと思う。

結果、“新人紹介/話題性”と“環境問題に対する意識向上”のバランスがうまくとれておらず、軸がぶれている印象になってしまっているような気がします。

それから、わざわざウェブで“Exclusive!”なんて仰々しく発表してしまったのも疑問に残ります。注目を1つに集めるなら、The Great Escapeの時にバーンと一気に発表した方が良かったはずですが、この時点でCMUが詳細含め掲載してしまっているので、少なくともCMUはもう取り上げないような気がするし、そうなってしまったらすごくもったいない。The Great Escapeにバッティングさせると他のライブ・レポ的なニュースに埋もれる可能性を回避する狙いがあったとも考えられますが、同時開催されるビジネス系カンファレンスがあって、この時期は業界系メディアも結構盛り上がる。AGFのニュースが取り上げられる機会はむしろ業界系メディアの方が多いので、わざわざ時期を外さなくても、そこに便乗することもできたのではないかと思いました。ただ、この辺のタイミングとか発表方法とかはすごく難しいでしょうから、あまり突っ込むのも良くない気はしています。

・・・と、様々疑問は残りますが、「Industry Green Mark」認証を受けたこのCDがどのようなパッケージになるのかは気になるので、来週また続報があればブログでお知らせしたいと思います。
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2010/05/03 12:12
デジタル配信の未来と、その問題点
Apple To Shut Down Lala On May 31, iTunes.com Launch Impending? - TechCrunch (29/4/2010)
自分のプレイリストを公開して楽しむことのできる、アメリカの音楽配信サイトLalaが、今月末にサービスを停止すると発表しました。これは、昨年Lalaを買収したAppleが、新たな音楽配信サービス、通称“iTunes.com”を開始するための布石ではないかと言われており、今後が非常に注目されています。昨年AppleがLalaを買収した時も、既にそんな噂が流れていましたが、TechCrunchをはじめとするメディアは、6月7日に開催されるカンファレンスで、iTunes.com開始のアナウンスが行われるのではと報じています。TechCrunchのこの記事によると、iTunes.comは“購読型”というよりも、Lalaの流れを継承したものになるのでは?と言われています。つまり、TechCrunchが説明するように、“iTunes in the cloud -- つまり、自分の所有している音楽ファイルをネット上で保存・管理することで、オンラインにアクセスする環境さえあればどのデバイスからもクラウド上(=インターネット上)に保存しておいた自分の音楽が聞けるというもの。Appleは言わずとしれたデジタル音楽ビジネスの最大手だけあり、今後の動きがますます注目されます。

さて、仮にiTunes.comが参入するとなれば、やはり改めて考えておきたいのが、一連の新しいデジタル音楽ビジネスの持続性。まずは、英レコード協会BPIが今週発表したこのニュースをどうぞ。

UK recorded music trade income rises 1.4% in 2009 - Music Ally (27/4/2010)
UK recorded music sales rise for first time in six years - The Guardian (26/4/2010)

BPIが発表したところによると、昨年のレコード産業の収入は9億2880万ポンドで、前年比1.4%アップ。CDセールスによる収入は下落を続けているものの、デジタルが前年比47.8%アップで、レコード産業全体の収入増加に大きく貢献したといえます。The Guardianによれば、フィジカルだとSuBoことスーザン・ボイルやビートルズなどのヒット作(ヒット作と言っていいのか・・・)に恵まれたこと、そしてデジタルではシングルの売り上げが好調だったとのことです。

この結果、現在、デジタルのレコード産業全体に占めるシェアは20.3%となります。しかし、広告ベースのストリーミング・サービス(Spotify, we7, Last.fm, Youtube等)だけに絞ると、247%の伸びを記録したにも関わらず、収入はたったの820万ポンドとなり、シェア率はわずか1%。一方、eMusic, Comes With Music, Napster, Spotifyの有料サービスなどを含む購読型サービスは1180万ポンドの収入となり、37.2%の伸びとなっています。

その一方で、イギリスの広告ベースのオンデマンド音楽サービスwe7が、この1ヶ月間、広告収入のみでサービス・コストをカバーすることに初めて成功したというニュースも入ってきています。

Press: we7 Shows Ad-funded Music Can Add Up! - we7.com Press(28/4/2010)
We7 covers free services costs with ad revenues - CMU Daily (28/4/2010)

Yahoo!との広告提携を結んだことが大きな要因の1つであるとwe7のプレスリリースは伝えています。それから、UKのメディアをよく徘徊している人ならお気づきかと思いますが、we7はメディアとタッグを組んでいることが結構あって、その辺も今後注目していくべきなのかなと思います。たとえば、NMEはwe7のプレイヤーを各記事に埋め込むことで、トピックになっているミュージシャンの楽曲をすぐ試聴できるようにしているし(たとえばこれ)、The Guardianは、先行全曲配信の際にwe7を使っています(たとえばこれ)。ソフトをインストールしなければならないSpotifyとは違って、we7はウィンドウを開いて聞くタイプで、プレイヤーをウェブページ上に埋め込めるという利点が企業のニーズに合致するのでしょう。Spotifyの話題が先行しがちですが、we7の存在感も相当なものだということは是非気にとめて頂きたいところです。

++++++++++++++++

・・・とニュースを3つほど紹介したのですが、ぱっと見てみて、ランダムな感じがしませんか?なんとなく浮き足立っているような感じがしませんか?その理由は、以下のThe Guardianの記事にも出てきますが、サービス、レーベルそしてPRS for Musicの間で結ばれているのがNon Disclosure Agreement -- つまり、合意内容が公開されない -- だからというところが大きいと思います。実際のところ、当事者以外は、これらサービスの実態がわからない。だから、どれをどうすればより持続的なビジネスへと成長させることができるのかについて、当事者以外誰も実になるような議論ができないのです。結果、私たちができるのは、メディアで少しずつ明らかになる事実やカラクリを少しずつ集めて、全体像を見ていくことだと思います。ということで、最後にThe Guardianの記事を貼っておきます。その下の拙ブログの過去記事へのリンクは、The Guardianの記事の補足的な感じでお読み頂ければと思います。

Behind the music: We7's streaming success - The Guarian Blog by Helienne Lindvall (29/4/2010)
【参考】
(編集済み) 新しいライセンス・レート - Green Sound from Glasgow (29/5/2009)
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プロフィール

anno69(@yano)

  • Author:anno69(@yano)
  • イギリスの音楽産業、特にデジタル・ミュージックと音楽産業における環境問題対策に関するブログ。スコットランド大学院留学記も。
    管理人は、スコットランドのグラスゴー大学大学院ポピュラー音楽学コースを修了し、帰国。音楽好きの普通の会社員をしています。お問い合わせは cielo0818_ls [at] hotmail.com までお気軽にどうぞ。
    A blog dedicated to topics of the UK music market in particular digital music, copyright and environmentalism in pop music.

    ●Twitter:http://twitter.com/anno69
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