イギリスの音楽産業について考えるブログ
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2010/06/27 21:36
EMI、フォーカスを権利運用へ
EMI go into reverse - The Guardian (22/6/2010)
I kissed a copyright lawyer - The Economist(18/6/2010)
EMI Rejig Gives Faxon Control Of Rights-Hungry Label - PaidContent.org(18/6/2010)

「音楽業界は著作権業界だ」なんて話は、今に始まった話ではないかと思いますが、このニュースはすごく象徴的だったので、簡単にですが紹介します。

2007年からEMI Music Publishingでチェアマン兼エグゼクティヴのRoger Faxon氏が、この度EMI Recorded Music部門も陣頭指揮を執ることになったとのこと。これにより、同部門のチェアマンをしていたCharles Allen氏はアドバイザーという立場でEMIに関わっていくことになるそうです。この2分野の関係性を考えれば、同じ人が両部門を率いていくというのは理にかなったことだと思います。この中で、この発言が注目を浴びました。以下、PaidContent.orgより引用:

EMI’s announcement says the rejig is “to enable the company to reposition itself as a comprehensive rights management company that can take full advantage of all global opportunities in all markets for music”
(EMIの発表によれば、この改編は“総合的な権利運用企業として新たに位置づけるものである。これは、音楽のためのどのマーケットにおける世界中の機会を利用することを可能にするものである。”)


この解釈は各メディアで微妙に異なっているようですが、基本はThe Economistが述べているように、「新たにレコードを売るよりも、EMIのバックカタログに係る膨大な権利を最大限に運用する」という解釈になるのだと思います。EMIは、先日も親会社のTerra Firmaからギリギリのところで新たな融資を受けたばかりで、財政的に非常に厳しい状況にありますが、The Economistによると、パブリッシング部門は、Faxon氏の元で革新的な運営を続けており、大型タイアップなどで成功を続けているとのこと。ビジネスとして考えれば、成功している分野を伸ばすというのは十分理解できます。ただ、長い目で見ると、バックカタログに頼ってはビジネスは継続しないでしょう。まぁ、その頃には別のビジネス・モデルにシフトしているのかもしれませんが。

一方、The Guardianは「新人育成より、バックカタログの運用にフォーカスをシフトさせる」という言い方をしています。新人育成の面がどう変化していくのは現時点では不透明ですが、バックカタログから収益を得る方向にシフトしていくならば、必然的に新人育成に手をかける時間とお金は減っていくだろうと思います。そうなれば、音楽シーンに与える影響は小さくはないでしょう。EMIは、現在も良質なアーティストを発掘してきているので、やはり最初は少しショック。今は楽観的に考えてますが。

以上、短信まで。
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2010/06/12 21:00
Digital Economy Act: Ofcomが規定案を発表
Online Infringement of Copyright and the Digital Economy Act 2010 - Draft Initial Obligations Code - Ofcom (last accessed on 12/6/2010)

Digital Economy Billとして知られ、先日、わずか数時間で議会を通過したイギリスのDigital Economy Act(注:“Bill”というのは法案で、“Act”になると法律になります)の運用に向け、英国情報通信庁<Ofcom>が規定案を発表しました。DEBおよびDEAに関しては拙ブログでも度々取り上げておりますので、以下参照ください:

Digital Economy Bill発表 (24/11/2009)
今週の英音楽ニュース (14/3/2010)
(追記有)Digital Economy Bill、法律化へ その1 (11/4/2010)

DEA(もといDEB)は、警告状を送付し、改善がない場合はインターネットへのアクセスを遮断するという“スリー・ストライク・ポリシー”を採用したものとしてインターネット・サービス・プロバイダー(ISPs)や圧力団体、識者を中心に批判を浴びていたもの。今回Ofcomによって発表された規定案は、ISPが侵害行為を行う個人を特定するためにその情報をどう利用すべきか、警告状の送付はどう行われるべきか、そして法的手段の公使などについてカバーしています。

同案は量も多く、内容も入り組んでいるので、同案で示されている運用方法から気になる点のみ、以下箇条書きします:

- コンテンツ・オーナーおよびコンテンツを扱う当該企業は、著作権侵害を証明する情報を収集せねばならない。
- コンテンツ・オーナーおよびコンテンツを扱う当該企業は、証拠が示されてから10営業日以内に、ISPに情報請求しなければならない。
- 警告状には、コンテンツ・オーナーの名前や、侵害行為を疑われた個人はこの申し立てにどのように対処すればよいのかが記載される。
- 3度の警告状はすべて1年以内に送付される。1年経つとその情報はすべて削除される。
- コンテンツ・オーナーおよびコンテンツを扱う当該企業よりISPに対して3度の申し立てが行われると、当該IPアドレスは著作権侵害リスト(Copyright Infringement List)に掲載される。
- ISPsが作成する著作権侵害リストに係る個人情報はすべて匿名で記載される。コンテンツ・オーナーは、告訴に必要な侵害者の特定情報を得るべく法的手段を執る際、このリストを請求することができる。
- 4半期に1度、運用に関するレポートを作成し、見直しを行っていく。
- 1年間の試用期間を経て、著作権侵害の減少が見られなかった場合は、文化大臣は、当該者のインターネット接続の切断を含むいわゆる技術的対策(=“technical measure”)の導入を要求できる。
- Ofcomによって新たに独立した上訴機関を設置し、聴取期間中の当該ネットユーザーの保護手段を導入する。


上記の内容は、主にガーディアン紙とCMU News-Blogの以下の記事を参考にしています:
Digital Economy Act: ISPs told to start collecting filesharers' data next year - The Guardian (28/5/2010)
OfCom publish draft three-strikes code (sort of) - CMU News-Blog (1/6/2010)

このように、DEBやDEAを追いかけて来た人にとっては、目新しいことはないかと思います。

同案に対して猛烈に反発しているISPsの指摘は以下の通り:

- データ保護に関する考慮が欠けている。
- 著作権侵害を行っていない人に誤って警告文を送ってしまった場合の個人の保護に関する記載が殆どない。
- 40万人以上の顧客を抱えるISPsのみにしか本法律が適用されない。つまり、マーケットの96%を占めるBT, TalkTalk, Virgin Media, Sky, Orange, O2,the Post Officeの7ISPsのみに適用される(ただし、4半期に1度見直しが行われるので、これより小規模のISPsにも適用範囲が広がる可能性がある)。


上記に関しては、テレグラフ紙とガーディアン紙の以下の記事を参考にしています:
Digital Economy Act: ISPs criticise Ofcom code for ‘distorting the broadband market’- Telegraph.co.uk (1/6/2010)
Why the Digital Economy Act simply won't work - The Guardian (1/6/2010)

その他、大きなトピックであるコスト問題や、“デジタル関連分野(全体の)経済発展”という本来示されるべきゴールから大きく逸れ、音楽や映画といったいわゆるカルチャー産業に偏向している点も、相変わらず大きな進展が見られません。特に後者は、このままだと殆ど改善が見られずに突き進む可能性大ですね。これではあまりに本末転倒だと思います。

最後に、圧力団体Open Rights Groupによる関連記事を貼っておきます。箇条書きでサッとまとめてあるので、興味のある方は是非。

Digital Economy Act/Ofcom - Pirate Party UK Wiki(last accessed on 12/6/2010)
P2P, Piracy, Digital トラックバック(0) | コメント(0) | Page top↑
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2010/06/06 13:54
Green’n’Clean Award2010 受賞フェス発表
T and Oxegen recognised for green initiatives - Music Week (2/6/2010)

ヨーロッパの音楽フェスティバルのとりまとめ団体「Yourope」が今年のGreen’n’Clean Award受賞フェスを発表しました。まずは受賞フェス27を国別にあげてみます。括弧の中の数字は、受賞フェスの数です:

■スイス(5)
Gurtenfestival, Montreux Jazz Festival, OpenAir St.Gallen, Paléo Festival, Weekend Au Bord de L'Eau
■ドイツ(3)
Das Fest, Rheinkultur, Taubertal Festival
■フィンランド(3)
Ilosaarirock, Provinssirock, Ruisrock
■スペイン(2)
Festival Internacional de Benicassim, S.O.S 4.8
■スウェーデン(2)
Hultsfred Festival, Malmöfestivalen
■オランダ(2)
Pinkpop, Lowlands
■フランス(2)
Les Rencontres Trans Musicales de Rennes, Rip Curl Festival
■ノルウェー(2)
Oya Festivalen, Slottsfiel Festivalen
■ベルギー(2)
Pukkelpop, Rock Werchter
■アイルランド(1)
Oxegen
■デンマーク(1)
Roskilde Festival
■ポーランド(1)
Heineken Open'er Festival
■イギリス(1)
T in the Park


・・・となり、フェス大国イギリスからは、T in the Parkの一つだけ。TがGreenでCleanかどうかは、参加した自分の目から見ても正直微妙です。イギリス国内には、中・小規模のフェスならもっとエコで清潔なところがたくさんあるはずなのですが、毎年選ばれるのはTっていう不思議。ただ、これはTだけでなく、他の国の受賞フェスも同じ。去年の受賞フェス・リストがここに掲載されていますが、メンツがほぼ一緒なことは一発で分かると思います。同じ現象が起こっているA Greener Festivalの場合、自分でエントリーして受賞者が決まるので、自然とエントリーするフェスが固定化されてくる。Youropeのこの表彰制度についてはどうなのかは存じませんが、エントリーするフェスが固定化するようなシステムになっているのはほぼ確実だと思います。こういった表彰制度に参加しないフェスというのは、基本的には参加する必要がないから参加しない。理由としては、(1)既にクリーンなフェスという定評がある(2)受賞することが何のステータスにもならない(3)エントリーするだけお金と労力の無駄・・・と認識しているからではないかと個人的には踏んでいます。結果、内輪ノリになってしまい、「フェスのオーガナイザーが、環境整備により力を入れるモチベーションとしての表彰制度」という本来の目的が何も果たせていない。・・・とそんなことを考えつつ、私もだんだんと、こういった活動には距離を置き始めている次第です。

10 summer festivals pledge to reduce their emissions by 10% with JB and 10:10 - Julie's Bicycle (4/6/10)
ついでですが、“全活動から排出される炭素の10%を削減”を目標とするキャンペーン「10:10」への参加フェスが今年は増えた様子。昨年はBestivalとLoveboxが参加していました(拙ブログのこちらを参照)が、今年はIsle of Wight、Reading&Leedsをはじめとした10フェスが参加を表明しているようです。

それから、Oya Festivalのオーガナイザーが執筆した改訂版「The Environmental Handbook for festivals and outdoor events」も公開されてました。後で読もうと思います。

フェスシーズンが始まって、そろそろフェスと環境界隈も騒がしくなってくるでしょう。今月はJulie's Bicycleのツアーに係る温室効果ガス排出量に関するレポートが発表される予定になっているので、少し気合いいれていきたいと思います。
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プロフィール

anno69(@yano)

  • Author:anno69(@yano)
  • イギリスの音楽産業、特にデジタル・ミュージックと音楽産業における環境問題対策に関するブログ。スコットランド大学院留学記も。
    管理人は、スコットランドのグラスゴー大学大学院ポピュラー音楽学コースを修了し、帰国。音楽好きの普通の会社員をしています。お問い合わせは cielo0818_ls [at] hotmail.com までお気軽にどうぞ。
    A blog dedicated to topics of the UK music market in particular digital music, copyright and environmentalism in pop music.

    ●Twitter:http://twitter.com/anno69
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