イギリスの音楽産業について考えるブログ
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2011/02/26 22:51
アップル、アプリ定期購読サービス開始へ
アップル、待望のアプリ定期購読サービスを提供開始 - アプリ内課金オプションも正式に - Wireless Wire News (16/2/2011)
Apple Wants Its Share Of Content Subscriptions - paidContent:uk(15/2/2011)

アップルがiPhoneやiPad向けアプリ販売のプラットフォーム、“App Store”で配信するコンテンツ・アプリに関する購読および課金ルールを変更。これまで認めていなかった、定期購読型でのアプリ内課金を認めると発表しました。

恥ずかしいことに、私はアプリ販売の流れについて全く無知なところからスタートして、出来る範囲で調べて理解した上でこの記事を書いています。もし間違えがあれば、是非コメント欄等々でご指摘いただければ幸いです。

まず、アプリ内課金とは何か?The Wall Street Journal日本版によると:

■アプリ内課金
[英訳]in-app purchases

 アプリ内課金とはアプリ内でデジタルコンテンツなどを直接販売できる機能のこと。アップルの場合、アプリ開発業者に対し、コンテンツや機能・サービスなどの追加販売は同社のアプリ内課金機能を使うよう求めている。開発業者はアプリから自社ウェブサイトに誘導して販売できれば、自社の売り上げになる。だが、アップルのアプリ内で販売すれば、売り上げの30%がアップルの取り分になるため、アップルとアプリ開発業者間のあつれきも生じている。

*The Wall Street Journal日本版(http://jp.wsj.com/IT/node_179733)より引用

つまり、アプリを購入した後、ユーザーはそのアプリ内でさらに買い物が出来るということです。このパターンでユーザーがあるコンテンツをダウンロード済みのアプリから購入した場合、売上げの30%がアップルへ、残りの70%がアプリ提供者へと渡ります。

これまで、このアプリ内課金が定期購読サービスには認められていませんでしたが、今後可能になります。どうゆうことか。例えば、SpotifyをiPhoneで使うには、以下の手順をふむ必要がありました:

(1)Spotify公式サイトでプレミアム・アカウントに申し込み、支払いを完了させる。
(2)App StoreでSpotifyアプリを無料でダウンロード。
(3)アプリにユーザー情報を入力してログインする。

これまで有料アカウントへの申し込みとアプリのダウンロードに3ステップ要していました。しかし、Spotifyがアプリ内課金システムを利用すると仮定すると、App Storeには既に個人情報やクレジットカード情報が登録されているので、このアプリ内課金システムを使えば、「App Storeで目的のアプリをダウンロードする」のたったの1ステップで済みます。おお!何て便利!

しかし、paidContent:ukによれば、多くの購読型音楽ストリーミング・サービスがこの新ルール導入に反対しているといいます。

‘Apple Just F****d Over Online Music Subs’- paidContent:uk (17/2/2011)

問題は、アップルに渡る30%の取り分。App Storeでアプリを販売する場合、無料アプリであればアップルに支払う手数料は無料、有料アプリであれば売上げの30%を支払います。例えば、App Store外で決済を完了させた後、無料のアプリをダウンロードさせ、アプリ内でユーザー認証を行うことでサービスを提供してきた購読サービスの場合、アプリ提供者がアップルに支払う手数料はゼロ。Spotifyの例でいえば、Spotifyがプレミアム・メンバー向けにiPhone用アプリを提供する場合、アップルに対して発生するコストはゼロになります。しかしながら、アプリ内課金を使ったサービスの場合、アプリ自体が有料となるため、アプリの売上げの30%がアップルに渡ります。例えば、月払いでSpotifyのプレミアム・サービスに申し込んだユーザーの場合、ユーザーが払う月約10ポンドのサービス料のうち、Spotifyに渡る分はそれまでの10ポンドから7ポンドに減り、残り3ポンドをアップルに支払わなければなりません。つまり、今までコスト・ゼロだったものに対し、突如大きなコストが発生することになります。

「アプリ内で課金を行わない従来の方法を維持すればコスト・ゼロで引き続きいけるのではないか?」と思われる方も居るかもしれませんが、paidContent:ukに掲載されているアップルのPRでは、次のように述べられています。:

However, Apple does require that if a publisher chooses to sell a digital subscription separately outside of the app, that same subscription offer must be made available, at the same price or less, to customers who wish to subscribe from within the app. In addition, publishers may no longer provide links in their apps (to a web site, for example) which allow the customer to purchase content or subscriptions outside of the app.
(しかしながら、デジタル購読サービスをApp Store外で提供するパブリッシャーについては、同じ内容で同じ価格(もしくはそれより安い)の購読サービスをApp Store内で提供し、App Storeから購入したい顧客に対して同様のサービスを提供することを条件とします。また、顧客がApp Store外でサービスを購入できるようなリンクを提供することを認めません。)

つまり、公式サイト等App Store外で購入出来て且つApp Storeでも同じものが買えるのであれば問題ないですが、App Store外で買ってApp Storeのアプリは無料という販売方法は出来なくなります。これは、スマートフォン、とりわけiPhone経由でのストリーミング・サービス提供により有料会員を増やしてきた多くの購読型音楽ストリーミング・サービスにとっては、非常に大きなインパクトを持つはずです。音楽だけでなく、雑誌等その他コンテンツの定期購読サービスももちろんあるし、アップルの今回の判断は至極当然だと思いますが、既にサービス提供中の主要購読型音楽ストリーミング・サービスにとって30%というのはやはり現実的ではない数字。今後、コンテンツを提供する側とアップルとでどういったやりとりが繰り広げられるかについては注視する必要があるかと思います。

最後に、アップルが上記の件を発表した翌日、なんとグーグルもOne Passという新しいコンテンツ販売モデルを発表。分配率の違いや顧客情報の扱い方など、アップルとは大きく違う部分もあるので、こちらも是非ご一読を。

One Pass―Google、パブリッシャーに友好的なコンテンツ販売モデルを発表 - TechCrunch Japan (17/2/2011)
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2011/02/13 20:58
Karoo、We7と提携して音楽サービスを開始
we7 signs its first ISP deal with Karoo - Music Ally (8/2/2011)
Karoo.co.uk launches music streaming service with we7 - Soucewire.com (4/2/2011)

イギリス中東部ヨークシャーの都市、ハル(Hull)でサービスを展開しているインターネット・プロバイダー(ISP)のKarooが、音楽配信サイトWe7とタッグを組み、「Karoo Music」という音楽配信サービスをスタートさせると発表しました。Karooのウェブサイトにあるサービス内容のセクション(URL)とWe7のウェブサイト内のそれ(URL)を比較いただければ一発で分かるとおり、サービス内容は全く同じ。つまり、新しい何かが始まったのではなく、“We7のサービスがKarooでも受けられる”といった感じでしょうか。KarooとWe7が提携することで、Karooは新しいサービスの提供やパイラシー対策が出来、We7は会員数を増やすことが出来ると言うわけです。

ところで、ハルという小さな街のISP“Karoo”という名前に、聞き覚えのある人もいるかもしれません。予てより、レコード業界はISPsに対して、違法ダウンロード対策をとるべきとプレッシャーをかけてきました。実際、アイルランドでは同国最大のISPであるEircomは、レコード協会からの要請を受け、3ストライク方式のパイラシー対策の導入を発表。そしてKarooも、自主的にパイラシー対策として3ストライク・ポリシーを導入したISPとして、以前話題を呼びました。この件については以前拙ブログでも取り上げています。以下、その記事からの引用です:

イギリスはイングランド・Hullのインターネットプロバイダー(ISP)Karooが、3ストライク・ポリシーの導入を発表しました。BBCの記事によれば、KarooはP2Pを使ったファイルシェアリングによる著作権侵害が疑われる顧客に対し、3度の警告状を送付。それでも該当顧客がファイルシェアリングを止めない場合は、サービスの停止を行うとのことです。

Karooは、以前より、パイラシー行為を行った顧客の回線を無断で切断する処置を行っており、サービス再開を望む者は、Karoo事務所にて、「二度とファイルシェアリングを行わない」と明記された書類にサインしなければならなかったそう。しかし、CMUによれば、この書類へのサインを拒む顧客が多かったそうです。

同社の決定に対しては、圧力団体Open Rights GroupのJim Killock氏が"In fact, disconnection is something that should only even possibly be considered as a result of court action,(実際、回線切断は裁判の結果としてのみ考慮される可能性のあるものである)"とコメントするなど、既に批判が起こっているとのことです。

引用:Karoo、3ストライク・ポリシー導入 - Green Sound from Glasgow (27/7/2009)


その後、Nexus Telecomがハルでインターネット・サービスの提供を始めた模様で(こちらを参照)、現在はハル住民にもISPのチョイスがあるようですが、当時は、ハルにはKaroo以外のISPがなく、事実上Karooの独占状態にありました。そのため、Karooから求められた書類へのサインを拒否したユーザーは、インターネット自体へのアクセスをなくすことになり、「インターネットにアクセスする権利が奪われている」と、当時激しい議論が繰り広げられていました。そして、ここに来てWe7との提携が発表になったと言うわけです。

「ついにISPsも動き出したか」と思ったら、実はもうEircomが先に動いてました。

Eircom launches MusicHub service and reveals graduated response policy - Music Ally (9/12/2010)

MusicHub」というサービスで、日本からのアクセスに制限がかかっているので全容はよく分かりませんが、サイトを見る限り、現在はまだベータ版の様子。Music Allyによれば、ストリーミングはフリー、MP3の購入は定額制で、月額€5.99で15曲、€12.99で40曲がダウンロードできるとのこと。Eircomユーザーでない人も、値段はつり上がりますが、このサービスを受けることが出来るようです。

今後もこういった動きは進んでいきそうな雰囲気でありますが、まずは、KarooとWe7の提携がどう進展していくかに注目です。
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プロフィール

anno69(@yano)

  • Author:anno69(@yano)
  • イギリスの音楽産業、特にデジタル・ミュージックと音楽産業における環境問題対策に関するブログ。スコットランド大学院留学記も。
    管理人は、スコットランドのグラスゴー大学大学院ポピュラー音楽学コースを修了し、帰国。音楽好きの普通の会社員をしています。お問い合わせは cielo0818_ls [at] hotmail.com までお気軽にどうぞ。
    A blog dedicated to topics of the UK music market in particular digital music, copyright and environmentalism in pop music.

    ●Twitter:http://twitter.com/anno69
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