イギリスの音楽産業について考えるブログ
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2011/04/29 23:49
ポピュラー音楽とチャリティーに対する雑感
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上のジャケット写真は、輸入盤で初のオリコン総合チャートトップ10入りした洋楽コンピ『Songs For Japan』です。収益金は、東日本大震災で被災した方への復旧復興のために寄付されます。

所謂“ポピュラー音楽”と言われているものを通じたチャリティーが盛んに行われているのは、市民に社会問題解決のための参加を促す最も敷居の低い方法の1つだからでしょう。複雑で政治的な問題に誰にも身近な音楽を絡めることで、よりアクションを起こしやすい環境が作れると考えられています。グラストンベリーやフジロックのようなフェスティバルでは、多くのチャリティー団体が関係していますが、彼らの狙いもまさにここです。また、音楽とチャリティーが結びつきやすいのは、ミュージシャンを生業にする人達には社会問題に敏感な人達が多いからと考えることも出来ると思います。

チャリティー団体が、ロビー活動をしつつ市民向けのユニークなキャンペーンを行っているのは別にして、個人的に、商業活動の中から生み出される“お手軽”なチャリティー・アルバムやチャリティー・ライブに対して、これまでやや懐疑的に見てきました。ポピュラー音楽を通じたチャリティーに対して、例えば「環境問題考えるならそもそもフェスを開催しない方が良い」とか、チャリティー・アルバムでは大した寄付額にならない」「売名行為」といった類の批判が出てくるのも理解出来る。私は大学院でライブ産業と環境問題を研究する中で、ポピュラー音楽という商業活動の中で直接利益にならないチャリティー活動がどう位置づけされているかも見てきました。そんなこともあり、音楽を通さないでもっと直接的に問題解決に繋がるアクションに結びつくキャンペーンが必要だと思っていました。しかしながら、今回の東日本大震災を経験して、音楽を通じたチャリティー活動もアリというか、この役割は無視できないと思うようになってきました。

横浜に住む私には自身による直接的な被害はありませんでしたが、地震当日には帰宅難民になり、計画停電や買いだめが起こる町で暮らす中で、初めて自分が大震災の当事者になる経験を味わいました。他の多くの人がそうであったように、「これは行動しなければ!!」という強い気持ちに駆られ、私も募金や救援物資の仕分けボランティアをさせて頂きました。ただ、初めて自分が当事者になって見えてきたのは、多くの人達が被災地支援のためにアクションを起こしているとは言っても、実際にボランティアのような労力を伴う活動やまとまった額のお金を出すにはある程度の勇気が必要で、そう多くの人ができる訳ではないということ。例えば、立ち寄ったコンビニの募金箱にお金を入れるのは簡単だけど、同じ額を赤十字に直接振り込むのはそれより手間がかかる。この小さな違いは、活動を起こす側となる人の中ではものすごい大きな違いなはずです。もちろん、一人一人が「出来ること」をやることが大事なのですが、この違いでアクションが起こせるかどうかのラインが引かれるなら、このラインを下げる努力が必要だと思います。また、これは個人的にですが、被災していないエリアで住む人の中で、我が家のように身近に被災した知り合いがいる人とそうでない人とで気持ちにも違いが出てきていると感じることが増えました。自分自身も含め、継続的支援をどう実現させていくかについても、もっと考えないといけません。

そう考えた時、やはりより気軽に出来るチャリティーの形があっても良いはずではないかと思うようになりました。チャリティーでなくても元々そのCDを買うポテンシャルのありそうな消費者が、それがチャリティーCDであることによって少しのお金でも寄付されるなら、それはそれで良いことではないかと。購入者にとっても、「自分のお金の一部が復興に使われる」と思えば意識も高まってくるでしょうし。チャリティー・ライブもしかり。特に、音楽の購買層は小学生からご高齢の方まで幅広い。どんなに額が小さくても、音楽のように老若男女問わず「復興支援のために何かやった」という意識を与えられるのは素晴らしいと思うのです。

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最後に。上の写真は、東日本大震災から1ヶ月経った今月のある日に、父の地元、気仙沼市を訪ねた際に撮影したものです。1枚目が鹿折唐桑地区。真ん中の船がある辺りが鹿折唐桑駅です。2枚目はホテル望洋方面を撮影したもの。写真を撮った私の背中の方には、一時約300人が孤立したヤヨイ食品の建物があります。私は東京出身ですが、父の実家を津波でなくし、被災地に多くの親戚を持つ身として、これからも何かやらなければならないという気持ちでいっぱいです(幸い近親者は全員無事です)。現地で見たり聞いたりしたことや現地で感じたことを一生忘れず、毎日を大切に、私は私ができることを精一杯やっていきます。
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2011/04/13 23:21
欧州にて著作権保護期間延長の議論が再燃
※追記(14/4)
「著作権」「著作隣接権」の使い方について、指摘をいただきました。細かい説明は時間のある時に改めて出来ればと思いますが、イギリスの音楽コミュニティで当該の問題を議論する時に使われる言葉づかいを、日本語に置き換えた時の微妙なニュアンスの差によるところも大きいと思います。私はイギリスで英語で著作権について学んだのが先なので、その面で至らない点があったかと思います。その点で混乱させていれば申し訳ありません。ただし、その点を考慮した上で、取り急ぎ元のままこの記事は掲載します。

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Copyright extension back on the European agenda - CMU blog (13/4/2011)

欧州議会のアジェンダの1つとして、著作権保護期間延長法案が再び取り上げられる方向であると、CMUが報じました。今のところメジャーどころではCMUのみがこの件を報道していますが、Open Rights Groupのブログも更新されていますし、他のメディアでも間もなく取り上げられるかと思います。

今回再燃したEUにおける著作権保護期間延長論を軽くさらうと、話は2009年に遡ります。保護期間延長は元々長く議論されてきた問題の1つで、一時は現行の保護期間50年からアメリカと同じ95年への延長で話が進んでいました。しかし、イギリスが圧力団体などからの批判を受け、70年への延長でのみ合意する姿勢を示したことなどから、現行の著作権保護期間を50年から70年に延長する法案で欧州委員会と欧州議会は通過。しかしながら、今度は閣僚会議に到達したところで法案反対を表明していた国の存在や延長する年数、内容等で議論が行き詰まり、話がストップしてしまいます。結局、期日までに話が詰められなかったことから、著作権保護期間延長についてはアジェンダから外されてしまいました。

しかし、現在EUの議長国となっているハンガリーが、6月末を目処に再度この件について議論を行いたいとの意向を示したとのことです。また、当時、延長を強く反対していたデンマークが態度を軟化させているようで、延長推進派には向かい風が吹いているのではないかとCMUは伝えています。

現行の保護期間50年に変更がなければ、2013年1月1日にビートルズのファースト・シングル「Love Me Do」がパブリック・ドメインに帰することになります(※追記(16/4):こちらこちらも参照のこと)。ビートルズの作品がパブリック・ドメインに帰するのはこの作品が最初で、その後ビートルズ作品が次々とパブリック・ドメイン入りとなるため、今年~来年は著作権保護期間の延長については大いに議論されることになると思います。私もEUにおける著作権保護期間の延長は大きな興味の1つなので、引き続きアップデートを紹介していきたいと思います。

最後に、以前、著作権保護期間の延長について拙ブログでまとめた記事がありますので紹介しておきます。興味のある方は是非:

これはミュージシャンのため?(前編)(31/1/2009)
これはミュージシャンのため?(後編)(31/1/2009)

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2011/04/05 08:01
私がAmazon Cloud Drive&Playerにものすごくエキサイトしているわけではない理由
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GoogleやAppleが間もなくクラウド型音楽サービスを始めるだろうと噂されていた中、Amazonが真っ先にそれをスタートさせた。ざっくり説明すると、自分の持っている音楽をクラウド上にアップロードしておいて、どの端末からも聴けるような状態にしておくこと。Amazonはそのクラウド(Cloud Drive)とプレイヤー(Cloud Player)を提供することになる。TechCrunchにサービスの概要がまとめて書いてあるので参照頂きたい:

AmazonがAppleやGoogleよりも先にクラウド上の音楽保存/ストリーミングサービスを開始 - TechCrunch Japan (29/3/2011)

サービス開始のニュースが一通り落ち着いて、現在、議論のフォーカスは「レコード会社が反発」「法的にこのサービスはアリか」に集中している。が、どうも自分の気持ちとしてはパッとしない。クラウドにアップロードしておくという考え方は好きなのだが、「これだったらSpotifyの方がずっと便利だよなぁ」と。そんなことを考えていたら、まさにドンぴしゃな記事があったので是非紹介したい:

ビジネスモデルを転換し損ねたAmazonのクラウド音楽サービス【@Kohtan】- TechWave.jp

早速、上記の記事より冒頭の部分を引用させてもらう。これが全てを語っている:

スウェーデン発でヨーロッパで爆発的な人気を誇るクラウド型音楽ストリーミングサービスSpotifyや、先日紹介したSonyのクラウドサービスQriocityとは、決定的に異なるのが、Amazonの今回のクラウドサービスは結局、自分で購入/所有している楽曲しか視聴できないことにある。Spotifyや SonyのQriocityは、楽曲を自らが保有するという概念をユーザーに放棄させ、クラウドにある膨大な楽曲(Spotify 1000万曲、Qriocity 600万曲)への無制限なアクセスを提供している。


現在持ってる曲しか聞けないというのは、購読型聴き放題サービスとの違いを決定づけている重要なポイントだと思う。購読型サービスの利用者は、プレイヤーを起動さえすれば、聴きたい曲を検索してすぐに聴くことが出来る。カタログも膨大なものだ。しかも、例えばSpotifyならローカル・ファイルを同期できるので、Spotifyが提供していない曲であってもSpotifyのプレイヤーで聴くことが出来る。しかし、Amazonのようなクラウド型の場合、欲しい音源を購入後、ダウンロードorアップロードorリッピングしなければならない。しかも、自分が持っている曲しか聴けないので、自分が持っていない曲を聴こうと思ったら、買わなければならず、エキストラのコストが発生する。「つまり、CDやMP3を買い、どこかに保存してから聴く」という従来の音楽消費方法とあまり変わらないことになる。

購読型の音楽サービスを既に使っている人は分かると思うが、自分が到底持ち得ないような膨大なカタログにアクセスし、聴けるという状況に慣れてしまうと、音楽を買ったり何なりしなければならないのは比較すると不便に思えてくる。ただ、この感覚はフィジカルで聴くのが好きな人には少し分かりづらいのではないかと思う。こういった心境になっているのは、恐らく既存の購読型音楽サービス享受者が多いのではないだろうか。

その点を考慮すると、“アーティスト/作品単位で音楽を買う”から“音楽へのアクセスを買う”消費モデルへの転換が進んでいるヨーロッパやアメリカの主要メディアから、今回取り上げたTechWave.jpのような批評が出てきていないのは何となく不思議。そこが、今が何となくパッとしないと感じる原因だと思う。うーん、でも本当に何でだろう・・・。
P2P, Piracy, Digital トラックバック(0) | コメント(0) | Page top↑
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2011/04/03 16:07
"UK radio in one place" ― Radioplayer、正式にサービス開始
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Radioplayer site goes live, tuning into all BBC and commercial radio stations - CNET UK (1/4/2011)
UK radio pushes online listening - BBC News (31/3/2011)
Radioplayer: radio's digital future - Telegraph (31/3/2011)

Ofcomの認可を受けてイギリス国内でオンライン配信されている140を超える商業ラジオと、ローカル局を含むBBCのラジオが1つのコンソールで聴ける「Radioplayer」が今週、正式にスタートしました。キャッチコピーは"UK radio in one place"。Radioplayerは非営利団体となり、BBCがGuardian Media、Global Radio、GMG Radio、Absolute RadioそしてRadioCentreという商業ラジオの大手とタッグを組んで運営しているとのことです。日本国内でBBC以外のラジオを聴いている人はそう多くないかもしれませんが、自分を含め、複数のラジオ局にお気に入りの番組がある人にとっては手間が省けて朗報と言えるでしょう。

早速、Radioplayerとはどんなものなのかをサラッと見てみます。

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Radioplayerに参加しているラジオ局のウェブサイトでライブストリーミングを選ぶと、別ウィンドウでRadioplayerのコンソールが起動されます。基本はBBCのiPlayerと同じなので、iPlayerユーザーには使いやすいかも。1番上に操作ボタン、その下に番組の概要、その下は各ラジオ局が自由に設定出来る場所で、商業ラジオであれば広告のスペースとなります。上記画像はBBC Scotlandで、1番下のスペースには次の番組案内が表示されています。

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こちらはAbsolute Radioのプレイヤー部分ですが、このラジオ局は年代別の音楽専用チャンネルがあって、Absolute Radioのあるチャンネルを聞いている間、別のチャンネルにすぐ移動出来るような仕組みになっています(「80s、90s・・・」とある部分です)。操作ボタンやレイアウト以外のデザインは局毎に違うので、各局のカラーが出て面白いです。

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お気に入りのラジオ局は「My Stations」というセクションにお気に入り登録しておくことが出来ます。カーソルを合わせると、今放送されている番組名が表示されます。

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検索機能もあります。ラジオ局名、番組名、DJ名、キーワード検索が可能。上記画像は、私が留学前から愛聴しているBBC Radio1の人気DJ、“Scott Mills”で検索した時の検索結果。私が試した限り、番組単位でお気に入り登録は出来ないようで、検索すると、彼の番組のエピソードのバックナンバーが並んでしまうという。また、「music」や「football」のような一般的な言葉で検索すると色んな局/番組が引っかかってしまうので、検索の仕方は少しひねらないとお目当ての番組にたどり着くのが大変そうです。新たに面白い番組を見つけるのも、これだとちょっと難しいかなという印象です。

その他、特筆すべき事項は下記の通り:

- この先1年で、Ofcomが認可している400のインターネットラジオがRadioplayerで視聴可能となる予定。
- RadioplayerはFlashが使用できるデバイスでのみ視聴可能(PC、一部の携帯、タブレット)。現在は携帯用やAppleのデバイス用Radioplayerを準備中とのこと。
- FacebookやTwitterでのリコメンド機能付き。
- 小規模ラジオ局にかかるコスト等を考慮して、音質は各局に任せている。そのため、音質にはばらつきがある。
- 現在はOfcomの認可を受けたラジオ局のみが参加できるが、今後は認可を受けていない独立系ラジオ局へ門戸を広げていく予定。
- Radioplayerに参加するための費用は、そのラジオ局の規模にあった値段設定になっている。
- BBCはRadioplayerとは別に、現在テレビとラジオの番組をオンデマンド配信しているiPlayerからラジオだけに特化したサービスを新たに始める予定だそう。詳しくはCNET UKのこちらの記事参照。


とにもかくにも、まずは自分で試して見るのが1番!Radiopalyerオフィシャルサイトのメニューから「Listen」をクリックすれば、コンソールが起動します。個人的オススメはBBC Radio 1のScott Mills Daily(超面白いトーク番組だけど英語出来る人向き)、音楽ならBBC 6MusicのLauren Laverne(選曲も良いけど、何より日本で聞くと時間的にちょうど良いので)。グラスゴーのラジオならClyde 1をオススメしたかったのですが、Radioplayerどころかイギリス国外からは聴けないという・・・。なので、そこはサックリ諦めて、Radioplayerで検索してグラスゴーの面白いラジオを探してみるのもアリです。

RadioplayerとBBCのiPlayerに関しては、以前拙ブログでも取り上げましたので興味のある方は是非:

Radioplayer、12月にローンチ (24/10/2011)

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プロフィール

anno69(@yano)

  • Author:anno69(@yano)
  • イギリスの音楽産業、特にデジタル・ミュージックと音楽産業における環境問題対策に関するブログ。スコットランド大学院留学記も。
    管理人は、スコットランドのグラスゴー大学大学院ポピュラー音楽学コースを修了し、帰国。音楽好きの普通の会社員をしています。お問い合わせは cielo0818_ls [at] hotmail.com までお気軽にどうぞ。
    A blog dedicated to topics of the UK music market in particular digital music, copyright and environmentalism in pop music.

    ●Twitter:http://twitter.com/anno69
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