イギリスの音楽産業について考えるブログ
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2011/06/26 11:28
turntable.fm、アメリカ国外からのアクセスを遮断
Turntable.fm Blocks Aspiring International DJs - PCmag.com (25/6/2011)
ここ1ヶ月ほどか、日本でも局地的にかなりバズっていたアメリカ発のスタートアップ、turntable.fm。ものすごくざっくり説明すると、「オンライン上で、リアルタイムでDJパーティを楽しめる。5人のユーザーがDJとして順番に楽曲をプレイする。リストの中から気になるパーティーを覗きに行くことが出来る。アバターで参加者が表示されるのでゲーム感覚で見た目にも面白い」という感じのサービスです。このturntable.fmが、(私が気付いた限りは)数時間前、国外からのアクセスをブロックしました。結果、現時点ではアメリカ国内のみで利用可能となっています。ちなみに、IPアドレスでジオロックをかけているようで、日本でも既に、ジオロックを回避して同サービスを利用する方法をブログに公開している人が何人かいます。それだけこの短期間で熱心なファンを生み出すことに成功したと言うことでもあるかと思います。

さて、実際どうなっているのか。turntable.fmにアクセスしていただければ分かるとおり、トップにはこんな画面がどーんと表示されます:

11-6-26-turntablefm.jpg

・・・と、この通り、ライセンスの制約が原因で、アクセスをアメリカ国内のみに限定しなければならない旨が記されています。

turntable.fmは、デジタルミレニアム著作権法(Digital Millenium Copyright Act、 DMCA)に沿って、“非インタラクティブなオンラインラジオ・サービス”という体で運営されています(Pandoraと同じ)。そのため、他のオンラインラジオと同じように、プレイする楽曲や時間等に制約があります(例えば「同アーティストの楽曲は1時間に3度までしかかけられない」)。ユーザーがプレイできる楽曲は、turntable.fmがパートナーシップを結ぶMediaNetの膨大なカタログ。こちらの通りで、4大メジャーからインディ・レーベルまで十分過ぎる程の充実っぷり。このような点を考慮すると、同サービスが法律に触れないように非常に良く考えられているのが分かります。この辺については、下記の3つの記事やウェブサイトが非常に詳しいです:

Turntable.fm Really Is Awesome. Is It Legal? - AllThingsD(21/6/2011)
What licensing terms does turntable.fm get from MediaNet? - Quoraの質問より(16/6/2011)
What is the DMCA? - Help and Support Wiki, Live365.com

以下2つもリンクだけ貼っておきます。
TURNTABLE COPYRIGHT POLICY (日本国内からアクセス出来るトップページからはリンクが外れてしまっていますが、turntable.fmの著作権ポリシーのページです)
8tracks  (AllThingsDの記事において、turntable.fmのCEO、Billy Chasen氏が、Pandoraと共にモデルとしたと述べているのが、ミックステープを作成し公開できるサービスです。ここのサイトの"Licensing”や“Copyright”のセクションはかなり充実していて参考になります)

先程、“MediaNetの楽曲が使える”と書いたのですが、MediaNetのカタログにない楽曲を使いたい時は、自分が持っている音源をアップロードして使用することが出来ます。この場合、個々で許諾をとる必要があると認識しているのですが(違う場合はご指摘頂きたいです)、ユーザーが許諾をとってプレイするとは到底思えず。となると、「turntable.fmはユーザーが法律的にアウトな行為を簡単に起こせる場所を提供してしまっている」と指摘することは出来るのではないかと思います。しかしながら、仮にそうだとしても、turntable.fmは"notice and takedown”を採用しているので「DMCAに沿って、権利者からの申し出があれば違法コンテンツを削除しますよ」と主張できるのですが。

日本語で書かれたturntable.fmの記事としては、e2esound.com業務日誌さんの記事が非常に参考になります。

Turntable.fmの登場と評価、考えなければならないこと - e2esound.com業務日誌 (10/6/2011)

そもそも、アメリカ国外からturntable.fmのようなサービスが使えるという時点でかなり怪しかった訳ですが、リスクを負って敢えてオープンに運営することで、もの凄いバズを生み出すことに成功したと言えると思います。ビジネスとして成り立たせていくための戦略でしょう。現在は使う分には完全無料で、権利者への印税の支払いもこれまでどうなっていたのか不透明ですが、短期間でこれだけのバズを生み出したことによって、turntable.fmとしては選択肢も増えたはず。今後の動向がかなり注目されます。
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2011/06/18 17:05
『第3回 音楽コンテンツや音楽ビジネスについてざっくばらんに語る会』ご報告
6月12日、ざっくばらんに云々・・・通称だべり会を開催しました。告知案内の記事はこちら。沢山の方にお集まり頂きまして、本当にありがとうございました!参加された皆さんが有意義な時間を過ごされていれば幸いです。今回は“音楽ストリーミング・サービス”という少し絞り込んだテーマにしたこともあり、かなり濃ゆい話も出来たのかなと思っております。といいつつ、実際のところは飲み物片手に興味関心の近いもの同士がだべる会なので、明後日な方向に脱線したりしたわけですが、そんなゆるさもまた楽し、ということで。

だべり会でも普段も感じていることですが、音楽ストリーミング・サービスの日本上陸を待ち望む声は高まってきていると思います。私が帰国した昨年1月頃は、ネットを探してもSpotifyの日本語記事なんて本当にわずかなものでした。しかし今は、世間的な知名度はまだ低いと言えども全国紙でもその名を見られるようになったわけですから、これはすごいことだな、と。と同時に、法律的な問題やレコード業界の反発等々、音楽ストリーミング・サービスが日本でローンチされそうな気配はないわけで、そこを何とかこじ開けたいという熱も日に日に高まっているように、私個人は感じています。

話は突然飛びますが、今回のだべり会を前に、どうしても読んでおきたかった論文がありまして。それは、私の通った大学院の昨年度の卒業生が書いた修士論文で、テーマはずばりSpotifyとコンポーザーの権利について。世間的に発表されていない修士レベルの論文ではあるのですが、非常に素晴らしい内容で院の先生にすすめられたこともあって、ソフトで1部送ってもらいました。ステートメントから導かれた貴重なデータもあって、非常に興味深い論文だったのですが、1つ考えたのは、per playで支払われるビジネス・モデルを今のレコード・ビジネスにはめようというのは相当難しいのではないか、と。例えば、拙ブログでは以前、PRSのレートについて取り上げました:

(編集済み) 新しいライセンス・レート (29/5/2009)

PRSの発表によれば、1ストリーミングに対して音楽サービスがPRSに支払うのは0.085P(約0.1円)か総収益の10.5%(さらに、ここから手数料が引かれる)。プラスしてレーベルからの印税(レートは契約内容による)やその他諸々がある1曲からの収入としてコンポーザーに支払われるわけです。ただし、これが共作だったり、コンポーザーとパフォーマーが異なるとまた状況は違ってきます。あくまでも推定で話を進めていますが、そうやって何となくイメージを膨らませてみると、どうしてもper playで稼ぐには相当数のプレイがないと難しいということが見えてきます。

それならば、従来通り、フィジカルである程度まとまったお金を消費者に払ってもらい、0回聴こうが100回聴こうが自由にしておいたほうが、最終的には利益があったりするのかもしれない、と。もしくは、欧米がそうなっているように、音楽ソフトよりもライブを中心に収入を得ていく。果たしてどちらのルートをとるか?レコード業界は規模縮小はしたくないので、当然前者をとって延命を図るだろうと。しかしながら、もう少しインデペンデントに活動しているところは後者になっていくだろうなと。

もう1点、気になるのは音楽ストリーミング・サービスが果たして持続可能なビジネスなのかどうか。Spotifyは赤字だと常々言われていますが、他のストリーミング・サービスも、非常にタイトな経済状況の中で運営されているのではないかと思います。ちょうどだべり会の直前に、知人から「名前と評判を上げるだけ上げて、最終的にはどこかに売るつもりなのでは?」という話をしていて、その路線もあるのかなぁと。仮に売り手が見つからなかったらどうなるのかなぁということもぼんやり考えたり。

とは言え、音楽自体が消えてなくなるわけではないのですね。その部分は忘れずに、これからも私なりにできることをやっていければと思っております。


最後に、だべり会を共催して下さっている「P2Pとかその辺のお話」のheatwave_p2pさん、お忙しいところありがとうございました&お疲れ様でした!
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2011/06/11 10:30
Appleがクラウド型音楽サービス、"iTunes Match"を発表
Apple、iCloudを発表 - Apple日本公式サイト(7/6/2011)
米アップル、クラウド音楽サービス「iTunes Match」を発表 - WSJ日本版(7/6/2011)
Appleの「iCloud」と「iTunes Match」でできること - ITmedia(7/6/2011)
Apple strikes a chord with its new iCloud service - BBC News (7/6/2011)
TuneCore CEO: Apple Has Just Monetized Pirated Content ― Mashable (6/6/2011)

Appleが現地時間6月6日、“WWDC 2011”にて、クラウド型音楽サービス"iTunes in the Cloud"そして"iTunes Match"を発表しました。iTunes in the Cloudでは、過去にiTunesで購入した音楽を、追加料金なしにiOSのあらゆるデバイスで聞くことが可能となります。新たに購入した音楽も、自動的に全てのデバイスのライブラリに音楽がダウンロードされます。

自分でCDからリッピングしたり他の音楽配信サイトで購入した音楽については、iTunes Matchでカバーされます。このサービスは、ユーザーのハードドライブをスキャンし、Appleが提供する1800万曲と照会、合致する場合はローカルファイルではなくAppleのカタログにある256kbps AAC DRMフリーの音源に差し替えとなります。つまり、自分の音楽ファイルをiCloudにアップロードする時はAppleが提供していない楽曲のみがアップロードされるので、AmazonやGoogleが提供する音楽ストレージ・サービスよりもアップロードにかかる時間が大幅に短縮されます(Apple発表では、後者2つが数週間なのに対し、iTunes Matchでは数分)。クラウドの保存量も減るのでスペースにも余裕が出来ます。iTunes Matchは(今のところ)アメリカのみで年間24.99ドル、今秋よりスタートするとのことです。年間費用24.99ドルの配分は、WSJ日本版などがアップル:レーベル=3:7と報じています。Mashableだと、アップル:レーベル:パブリッシャー=3:5.8:1.2となっています。実演するアーティストの取り分は、5.8(58%)から支払われますが、各レーベルとの契約によりけりということになります(もしソングライターならパブリッシングの分ももらえます)。

かなり参考になるQ&Aがガーディアンに掲載されていたので、是非ご一読を:

iCloud and iTunes Match: everything we know so far - The Guardian Technology Blog by Charles Arthur(7/6/11)

さて、iTunes Matchのアイディアを最初に聞いた時、真っ先に思いついたのがCarphone Warehouseが昨年8月に発表した“Music Anywhere”というサービス。オフィシャルサイトで読んだ限りは発表された当初と現在とでは若干内容が変わってるようで、細かいところは今も発表のままか分かりかねますが、基本的なアイディアはiTunes Matchと同じ。自分のライブラリをスキャンし、クラウド上のMusic Anywhereのカタログとマッチングさせ、そこから音楽がストリーミングされます。音質のグレードアップもあり。発表当初は、メジャー全てとインディー大手のThe Orchardと契約しており600万曲がストリーミング可能となっていました。Appleのカタログと顧客数には到底及びませんが、この前例があるので、アイディアとしてはiTunes Matchがものすごく革新的だとは個人的には思わず・・・という。以前拙ブログでも取り上げていますので、興味のある方は参考までにどうぞ:

Carphone Warehouse、クラウド・ベースの音楽サービス開始 (15/8/2010)

さて、話をiTunes Matchに戻しますが、今回の発表の時点では、差し替えが行われたクラウド上の音楽について、この音源が報道によって“ダウンロード出来る”“ストリーミングされる/されない”で表現がまちまちなのが少し気になっております。先のガーディアンのQ&Aでは”ダウンロードである”、“ストリーミングではない”とありますが、Appleの発表ではあくまでも“差し替え”との表現になっています。基本は、その辺よく分からないなぁ・・・とツイッターで投げてみたら、北欧Techの@Kohtanさんからこんなツイートを頂きました:

僕も報道でダウンロードとなってるのを見て、あれ?と思いました。オフラインでも同期できるようになるとは思うので、そうであればダウンロードで間違いないとは思いますが、、秋まで待つしかないようですね!
-- @Kohtan(http://twitter.com/#!/Kohtan/status/78469205153951744)

ダウンロード出来るとなると、定額でアップグレード・サービスが受けられます的なニュアンスも強くなるのかな・・・。細かいところは秋までにまた色々とアップデートがあるかもしれないので、しばらく様子見。どちらにせよ、個人的には、結構な量の音楽ファイルをため込んでいるので、アップロードに時間のかからないiCloudがAmazonやGoogleのものより便利かな、と。そして、どちらにせよ、日本にいる私にはそのサービスを体験出来る日が当分こなそうで残念です。
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プロフィール

anno69(@yano)

  • Author:anno69(@yano)
  • イギリスの音楽産業、特にデジタル・ミュージックと音楽産業における環境問題対策に関するブログ。スコットランド大学院留学記も。
    管理人は、スコットランドのグラスゴー大学大学院ポピュラー音楽学コースを修了し、帰国。音楽好きの普通の会社員をしています。お問い合わせは cielo0818_ls [at] hotmail.com までお気軽にどうぞ。
    A blog dedicated to topics of the UK music market in particular digital music, copyright and environmentalism in pop music.

    ●Twitter:http://twitter.com/anno69
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