イギリスの音楽産業について考えるブログ
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2009/02/18 22:00
頑張れLammy!
LAMMY STILL NOT CONVINCED BY NEED FOR 95 YEAR TERM - CMU Daily (16/02/2009)

英知的財産省のDavid Lammy氏は、先日欧州議会法務委員会で承認された著作権保護期間延長法案について、法案にある保護期間95年ではなく、70年への延長の場合のみ承認する意向を改めて示しました(参照:欧州議会法務委員会、著作権保護期間延長を承認)。Lammy氏は、欧州連合理事会にイギリス代表として参加する予定になっており、延長反対派にとっては、Lammy氏が頼みの綱となりそうです。

Lammy氏の基本姿勢は、依然と変わらず「レコード会社ではなく、ミュージシャンの利益になる場合のみ、延長に賛成する」というもの。95年という設定が理に適わないこともきちんと認識しているようです。以下、引用。

His argument is that if the extension is to benefit musicians rather than record companies, then a 70 year term is adequate - assuming that any musician who made their seminal recordings in their mid-20s is dead by their mid-90s, then the only people to benefit from the extra 25 years of copyright would be the record companies who released the work.
(Lammy氏は、レコード会社ではなくミュージシャンに利益になる延長を考えるのであれば、70年で十分だと主張している。彼は、恐らくこう考えているのだろう - 20歳代中盤に活躍したどんなミュージシャンも、90歳代も半ばになる頃には皆この世には居ない。そう考えれば、(作品発表後から死去までの約70年に上乗せされる)死後25年間、著作権で利益を得るのはレコード会社だけである。)


日本では「ミュージシャンの死後、遺族にも利益になるように」という視点で著作権が話し合われることがありますが、欧州委員会では「貧窮しているミュージシャンの救済」が目的であり、死後のための利益は論外。この点に関しては、heatwaveさんの「P2Pとかその辺のお話」さんの以下の記事から少しだけお借りして説明します。

欧州委員会、著作隣接権保護期間延長の提案を採決 - P2Pとかその辺のお話(20/7/2009)
欧州委員会は、著作権をさらに50年延長する理由を「現行の著作権法では、保護期間終了後(70歳位とか)にミュージシャンが著作物から収入を得るすべがなくなり、豊かな老後を過ごすことが困難になる」説明しているそうです。しかし、heatwaveさん曰く:

まぁ、彼らは1つの重要な事実を見落としているのだろう。人が引退をするとき、彼らはもはや働いていないので、その仕事からお金を得ることはできない。まさにそれが引退が意味するものである。これらのセッションミュージシャンが、1967年以降働いていないのであれば、彼らはこの40年間引退していたといえる。金銭的な苦難を何とかしてくれるということが分かっているのであれば、看護士、庭師、工場労働者、整備士、トラックドライバー、その他の人々が30歳で引退しても、その金銭的な苦難を何とかしてくれる法律を、委員たちが提出してくれるのを期待してもよいのだろうか。


とても理に適わないことが色々叫ばれている感じがします。レコード会社は「ミュージシャンの権利保護」を訴えていますが、その保護方法は、(表面上は)いわばミュージシャンに特権を与えること。普通の人は65歳で退職したら年金以外の収入はないのに、レコード会社の著作権キャンペーンでは、ミュージシャンは「死ぬまでお金を得る権利」を持った「特別な才能を持った人達」とされています。しかし実際レコード会社が本当にやりたいこと(そして実際にやっていること)は、ミュージシャンからさらなる"金銭的搾取"のように見えます。ミュージシャンの才能が特別云々の話をどう捉えるかはさておき、それを理由に特権的地位を与えられ、死後もお金が得られるというのは、イデオロギー的に見てもミュージシャンの安定した収入確保という観点から見ても、理解しがたい。そして、ハッキリさせておきたいのは、ここで言う「ミュージシャン」は主に「作曲家/作詞家」であり、演奏している人達に関してはまた少し別の問題になります。誰かがつくった曲を演奏/パフォーマンスしている人達は、歴史的に、「作曲家/作詞家」が優遇されるのとは反対に、著作権保護の対象になるパフォーマンスをしていないと見なされることも多いようです(これをカバーするために著作隣接権がある)。このギャップを埋めようという動きの1つが、FACでもあります。

つまり、著作権保護期間が延びようが延びまいが、著作権問題の解決は当分先・・・というか、多分私が生きているうちにどこかに落ち着くことはないでしょう。「著作権はミュージシャンだけでなく社会に対しても利益になるように運営されなければならない」という原点に戻ると、ミュージシャンの"特権化"という名の"搾取"と消費者をがんじがらめにするような動きは、正直どちらの利益にもなっていない気がしてしまいます。
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anno69(@yano)

  • Author:anno69(@yano)
  • イギリスの音楽産業、特にデジタル・ミュージックと音楽産業における環境問題対策に関するブログ。スコットランド大学院留学記も。
    管理人は、スコットランドのグラスゴー大学大学院ポピュラー音楽学コースを修了し、帰国。音楽好きの普通の会社員をしています。お問い合わせは cielo0818_ls [at] hotmail.com までお気軽にどうぞ。
    A blog dedicated to topics of the UK music market in particular digital music, copyright and environmentalism in pop music.

    ●Twitter:http://twitter.com/anno69
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