イギリスの音楽産業について考えるブログ
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2008/07/19 01:31
ツアーにおける炭素排出量削減の取り組み-Radiohead(基礎編)
※内容が長いので、いくつかにに分けます。今日はその第1回目。

ただ今ワールド・ツアー中のRadioheadが炭素排出量削減のために、あらゆる手段を講じていることは、ファンの皆さんであれば当然ご存じかと思います。オフィシャルブログDASに、昨年12月19日にコリンが投稿した記事によれば、今回のRadioheadのツアーは、オックスフォードのBest Foot Forwardという調査機関が提案する「環境負荷の少ないツアー・プラン」を参考に練られたようです。この記事の日本語訳は、直リンできませんが大手ファンサイトさんのニュース・アチーブなどで読めます。

言うまでもなく、このことを知った当初から、彼らがどんな行動に出るのかにとても興味を持っていました。そして実際6/27のグラスゴー公演に行き、バンドとファンの認識の差があまりにも大きいことに愕然とし、ショックを受けました。

そこで、今回のツアーに関してまとめてみようと考えるに至りました。「お金があるからできる」「マネージメントの自由がないバンドには不可能」「バンドが飛行機を使わなくても飛行機は飛ぶ」といった疑問や批判、さらにそれ以前の人的活動による温暖化懐疑説という根本にまつわる批判もありますが、今回はそれを考慮せず、このツアーにまつわる彼らの活動についてできるだけ個人の感想を挟まず、事実関係に沿ってまとめてみます。

この記事では、全ての大本であるBFFのレポート内容について紹介します。彼らが今やっていることが何に基づいたものなのか、このレポートを読まないと正直理解できないのではないかと思うほど、必読のレポートです。英語が少しでもできる方は、BFFのレポートを直接読まれることをおすすめします。レポートはこちらからDLできます。
●基本情報:
・レポートは、2003年の大会場ツアー(12公演、USA)と、2006年のホールツアー(19公演、USA)を炭素排出量という観点から比較。
・多くの項目でのデータ不足、もしくはデータがない(会場のエネルギー使用について)など情報の正確性に欠けるため、レポート結果は大まかな数値である(おそらく、この点を補うために、今回のツアーではかなり細かくデータが収集されているものと思われる。実際、ファンに交通手段を尋ねるアンケートを実施している)。

●比較対象:
・バンドやスタッフの移動、滞在による炭素排出量
・機材の材質や機材使用の際のエネルギー使用および運搬で排出される炭素量
・ファンによる移動、飲食による炭素排出量

●レポートの主な内容:
【全体】
・ツアーによる炭素排出量のおおよそ90%がファンによるものである。
・大会場ツアーの方が概して排出量が多いが、これは人がより多く集まるので当然の結果とも言える。
・フェスティバル出演は、持ち込み機材などを減らし、機材をより多く共有すれば、出演バンド数でインパクトを分け合う結果になるため、ツアーよりバンド単位でのインパクトは抑えられる。
【バンド・スタッフ・機材の移動】
・2006年のホールツアーの際に使用しているチャーター機による炭素排出量は、LAからイギリスに普通の飛行機で帰国する際のそれよりも遙かに多い(=これを別の交通手段に変えるだけでかなりの削減効果が期待できる)。
・飛行機よりはバス、バスよりは電車の方が環境に与える影響は少ない。
・客船で人間が移動するのは飛行機よりも排出量が多いが、機材の場合は船を利用するメリットの方が大きい。
【ステージ関係】
・ステージの関係で1番インパクトの大きいエネルギー使用については、グリーン・エネルギーに切り替えることで排出量を削減できる。
・機材を使用していない間は極力電気を切るだけでも効果が得られる。
・ステージセットは環境負荷が大きい。プラスチックの場合リサイクルしたとしてもリサイクルの際のエネルギー使用量が大きい。鉄鋼は5倍の環境負荷だが、リサイクルする際エネルギーを75%減らすことができる。
【ファン関係】
・ファンの移動手段としてインパクトが大きいのが自家用車。しかし、乗り合わせる人数を増やすことで大きな効果が期待できる。
・遠方から来る人の数を減らすことで、ファンの移動による炭素排出量を抑えることができる(対策案としては、地元のチケットオフィス(「ちけっとぴあ」みたいな感じ)に割り当てるチケット枚数を増やす、駐車場がない・少ない会場を選び、必然的に自動車で来られないようにする等)。
・物販や飲食物による炭素排出量を減らすのに最も効果的なのは、それによる廃棄量そのものを減らすことである。

最後に、私が気になった点をいくつかメモしておきます。
1.日本人による遠征
ファンの移動に関してはマネージメントサイドが大まかに見積もった数字で計算されているようですが、「電車で来る人」「車をシェアしてくる人」といった項目の中に不自然に「日本からのファン(10名)」とあります。他の国から来てる人がいるかもしれないことはとりあえず無視して、ここから言えるのは、それなりの数の日本人がはるばるアメリカのツアーまで来ていた(る)ということをマネージメントサイドが認識しているということ。今回のツアーもかなりの数の人がライブのためだけに遠征してきているはずです。

2.バンドがファンに与える影響
レポートでは以下のように述べられています。

"Responsibility for fan impacts can be debated; there is a view that travel and consumption would not occur if the Radiohead concert was not happening, and the opposite view that the fans would be driving, drinking beer and eating takeaway food in any case, so the band has no direct responsibility."
(ファンによる環境へのインパクトの責任に関しては議論の余地がある。ファンの移動と消費は、レディオヘッドのライブがなければ起こらなかったであろうという見方もあるし、ファンはどんな場合でも自動車を運転し、ビールを飲み、テイクアウトの食事を食べることになるのだから、バンドにその責任はないとの見方もある。)

"Fan behaviour is an area where the band do not have direct control but could have some influence, so it is important to quantify the impacts and consider possibilities for reduction."
(ファンの行動は、バンドが直接コントロールする範囲のことではないが、ある程度の影響を与えることはできるだろう。つまり、ファンの行動が与えるインパクトを数値化し、そのインパクトを減らす可能性を探ることは重要なのである。)

「そうなんんだよねー、その通りなんだよねー・・・」と分かっていながらもがっくり。
でも、BFFのレポートを読むと、ファンが環境に与えるインパクトの大きさを痛いほど感じます。私がコリンの記事だけでなくレポートも合わせて読んで欲しいと考えたのは、まさにこのことに由来しています。最も大きいのが交通手段で、これはブッキングを変えるだけでかなり改善できる分野だと思いますが、結局ファンがどう動くかで全てが変わってしまいます。そこはバンドの範疇外なので、個人の良心にゆだねるしかない、というところでしょうか。

3.おまけ
個人的な願いも込めて、ファンへのケータリングに関する以下の分析を付け加えておきます。
・肉料理はベジタリアン料理の2倍の環境負荷になる。

=======================

このレポートの良いところは提案がかなり具体的なことで、例えば、先述したとおり、「駐車場のない会場を選ぶことでお客さんを車でこさせないようにする」といったかなり強制力のある提案もなされている他、「飛行機を利用する場合、ビジネスクラスよりエコノミークラスの方が負荷が少ない」といった点にも踏み込んでいる点でとても良くできているなと思います。
問題は、先述したとおりデータ不足。ただ、これは次のツアーまでにはかなり改善されることが予想されるので、今回に関しては、コリンも述べている通り、不確かでも、目安として大まかな数値を出し、実践したという点を評価すべきだろうなとは思います。
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anno69(@yano)

  • Author:anno69(@yano)
  • イギリスの音楽産業、特にデジタル・ミュージックと音楽産業における環境問題対策に関するブログ。スコットランド大学院留学記も。
    管理人は、スコットランドのグラスゴー大学大学院ポピュラー音楽学コースを修了し、帰国。音楽好きの普通の会社員をしています。お問い合わせは cielo0818_ls [at] hotmail.com までお気軽にどうぞ。
    A blog dedicated to topics of the UK music market in particular digital music, copyright and environmentalism in pop music.

    ●Twitter:http://twitter.com/anno69
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