イギリスの音楽産業について考えるブログ
--
--/--/-- --:--
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告 トラックバック(-) | コメント(-) | Page top↑
--
2009/08/12 04:30
メジャーレーベルは必要?(長文)
Behind the music: Who needs major labels these days? - the Guardian (6/8/2009)

予告通り、この記事を取り上げてみます。

話のテーマは至ってシンプル。"この時代、メジャーレーベル(=従来のレコード契約)は必要かどうか?"今年1月、シングルとアルバムをiTunes独占リリースし、未契約バンドとしては異例の大ヒットを飛ばしたThe Boxer Rebellionの商業活動を例に、レーベルの存在意義について考察しています。The Boxer Rebellionと言えば、私の中では、UK叙情系期待のホープとしてデビューした頃(2005年)の記憶が強いわけですが、話はその後の活動について。以下、要約してみました。

2005年に華々しくデビューを飾ったThe Boxer Rebellion。しかし、同じ頃、ボーカルのNathan Nicholsonの体調不良もあって、活動休止へと追い込まれます。その後、Nathanの回復を待って、再び活動を再開。新譜をセルフ・リリースすることを決めた彼らは、iTunesと直接契約を結びます。シングル「Evacuation」が560,000DLを超える大ヒット、続くアルバムも5位に食い込み、大成功を収めた彼らには、複数メジャー/インディー・レーベルからCDリリースのオファーが舞い込みます。しかし、バンドとマネージメントは、自分たちの権利(≒著作権)を守るため、あえて未契約のまま留まることを決意したのです。

その後、バンドのマネージャーSumit Bothra は、カナダのHMVから1本の電話を受け取ります。曰く、「君たちのCDを購入したいというお客さんからの問い合わせを数多く受け取っている。販売したいので在庫を送ってくれないか?」しかし、未契約のバンド故、CDを生産・流通させ、さらにマーケティング、PRまで行う経済的余裕はありません。そこでBothraはHMVに提案を持ちかけます。

このことがきっかけで、バンドは、HMVの投資の元でCDリリースを行うことが決定。代わりに、バンドは、売り上げの一部を収益としてHMVに渡し、さらにカナダのHMVでのインストア・ライブを行うことに。これと同様の契約がイギリスのHMVとも結ばれ、HMVがMAMA Groupと共同で所有する11のコンサート会場でライブを行うことも決定します。HMVはオンラインショップを含めた全国のHMVでプロモーション、販売を請け負いますが、HMVは、「バンドを信頼し、創作活動に関する決定はバンドに委ねる」と話しています。


・・・という、まぁシンデレラ・ストーリーみたいな話なわけです。彼らは比較的新しいバンドながら成功した良い例だと思いますが、いわゆる大物ミュージシャンを中心に、こういった動きは既に起こっています。今は、マネージャーの仕事なんて話になった時も、「いかにレコード契約を取り付けるか」じゃなくて「いかにスポンサーシップを結ぶか」の方が話題になっているのではないでしょうか。上記のガーディアンの記事では、とあるA&Rが、メジャーと契約した時のメリットについて「前払い金(advance)でリリースまでの生活費を補える」なんて主張していますが、もといadvanceは借金であることをお忘れなく。要は、投資家さえ見つければ、流通やマネージメント、PRを専門に受け持っている会社(代表的なのはPIAS)を使うなり、The Boxer Rebellionみたいに小売り業者と契約するのもアリだし、プリンスみたいに新聞を使ってリリースして利益を分け合うことも出来る、というわけです。

ここからは完全に個人的な意見ですが、ある程度足元の固まってるミュージシャン達は、もう従来のレコード・ディールを結びたいだなんて思ってないのではないかと思います。そして、メジャーが従来の契約方法に固執している限り、メジャーと契約している大物ミュージシャン達は、契約を更新しないだろう、と。先日、久々の新作リリースを発表したロビー・ウィリアムスのマネージャーも、このアルバムでEMIとの契約満了となり、そのままEMIを去ることを名言しています(URL)。FACの主要メンバーである彼が、よりによってEMIに残るはずがないわけですが、似たような形で、契約満了次第メジャーを去るミュージシャンは、今後ますます増えるのではないかと思います。FACメンバーかどうか分かりませんが、大雪で中止になったFACの第1回ミーティングに参加が予定されていて、EMIとの契約満了が間近にせまったColdplayなんかも、怪しいのではないかと私は予想しています。

日本に帰った時に人から聞いて初めて知ったのですが、オアシスも今は半分インディー回帰してるんですね。プロモーションやデストリビューションは彼ら自身のレーベルが行うけど、メジャーレーベルであるSony BMGが一部出資していて、代わりに売り上げの一部を受け取れる、という(NMEのこの記事参照)。この話を聞いた時、今メジャーと言われている会社も、もしかしたらオアシスのような契約が増えていくのかもしれない・・・と個人的には感じたのですが、果たしてどうなることやら。

余談。久々にFACのサイトに行ったのですが、今トップページの動画インタビューは、まさにThe Boxer Rebellionです。それから、第1回ミーティングの写真もアップされてますが、英レコード協会BPIのFeargal Sharkyの姿が(URL)!「おい、君はミュージシャンじゃないから参加できないはずじゃ・・・」と言いかけて思い出しましたが、彼は元ミュージシャンでした(←The Undertonesの元ボーカル)。まぁ、彼は別枠で招待でもされたのでしょう。
少し前ですが、FACはミュージシャン以外の人達もサポーターとして参加出来るようになりましたので、興味のある方は是非。(URL)

※追記(13/8/2009)
なんか、とっても今更な記事があったのでついでにリンク貼っておきます(URL)。「メジャー/インディのことなんてよく知らない人が多い」とでも思っているのでしょうか。登場する業界人の話っていうのもまたウソクサイですね。こうやって、イメージ操作されるのはとても不愉快ですな。

スポンサーサイト
英音楽事情 トラックバック(0) | コメント(2) | Page top↑
中国 de Spotify | Home | グラスゴーの夏 2009
-
コメント
こんにちは、お邪魔します。
私もこのごろはRadioheadやBeck、Super Furry AnimalsやデーモンのMonkeyでもいわゆる「メジャーレコード離れ」をしていることについて興味を持ったりします(と言っても@yanoさんとは比べものにならない知識不足ですが・笑)。
たしかBeckはインディーレコードのほうが自由がある、そしてアルバムのリリースとかプロモーションよりも音楽的な作品を重視する、とインタビューで言っていました。そして確かにbeck.comとかも前と変わって、本当に自由ですし(笑)。
どうしてもメジャーレーベルだとそこらへんは難しいんでしょうかね。これからのいろいろなバンドの移り変わりとそれで変わるかもしれない音楽が楽しみです~
【2009/08/14 00:03】 URL | かっぷぬーどる #-[ 編集]
こんにちは!コメントありがとうございました。
私も大した知識はないんですけど、あるようにひけらかしてるだけです・・・(涙)。

今日も別の記事を読んでいて思ったんですけど、メジャー/インディというより、根本的には「従来のrecord dealではない契約が出来る」とか「楽曲やrecorded musicに関わる権利を自らコントロールできる」環境かどうかが問題なんですね。メジャーは会社自体が大きすぎてビジネスモデルを変えづらいとか、体裁とか、その他諸々があって、なかなか新しいビジネスモデルにシフト出来ないんだと思います。個々人では色んな考えの人(インディレーベルみたいな人も)いるでしょうが、彼らと会社の方針とが必ずしも一致するわけでもないですし。

MonkeyはEMIだと勝手に思い込んでましたが(ブラー+ゴリラズのイメージで)、今調べたらXLなんですね。ビックリ。・・・と思ったら、実は、日本でのdistributionはメジャーのワーナーでした(ベガースはワーナーだった。忘れてた!)。日本を含めて考えるとこれが結構面倒で、本国ではインディのはずが、日本ではメジャーレーベルから出してる例がかなり多いと思います。

インディーっても色々で、例えばベッ君(=Beck)は、自分しか所属しないレーベルからリリース。日本ではホステス所属ですが、ここはPIAS と一緒でレコード会社ではないので、ベッ君は(多分)日本では伝統的なrecord dealは結んでない可能性大。ということは、ベッ君は本当に所謂「インディ」なの?という話になります・・・なんて書いてるとキリがないー!

余談ですが、ブラーも、EMIとの契約が満了してたら、インディーに回帰するはず(デイブ大先生の言動に注目!)。そうゆう意味でもブラーに新譜出してもらいたいなぁ・・・なんて考え始めるような人(=自分)が多いから、ポピュラー音楽はやれコマーシャルだって言われるんでしょうね。ぐすん(涙)。
【2009/08/14 06:52】 URL | @yano #-[ 編集]
-
コメントの投稿











管理者にだけ表示を許可する

-
トラックバック
トラックバックURL
-
プロフィール

anno69(@yano)

  • Author:anno69(@yano)
  • イギリスの音楽産業、特にデジタル・ミュージックと音楽産業における環境問題対策に関するブログ。スコットランド大学院留学記も。
    管理人は、スコットランドのグラスゴー大学大学院ポピュラー音楽学コースを修了し、帰国。音楽好きの普通の会社員をしています。お問い合わせは cielo0818_ls [at] hotmail.com までお気軽にどうぞ。
    A blog dedicated to topics of the UK music market in particular digital music, copyright and environmentalism in pop music.

    ●Twitter:http://twitter.com/anno69
-
最近の記事
-
最近のコメント
-
最近のトラックバック
-
月別アーカイブ
-
カテゴリー
-
ブログ内検索
-
RSSフィード
-
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。