イギリスの音楽産業について考えるブログ
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2009/09/22 04:41
FAC vs リリー・アレン他アーティスト・続報(追記アリ)
Featured Artists' Coalitionとリリー・アレンを始めとしたミュージシャン達による、違法ファイルシェアリングの意見相違についての続報。今回FACが新しく出した声明を読んで、彼らの意図をしっかり読み取って、その声明に対するからリリーの返答を読んでみて下さい。基本的に2者ともゴールは一緒。ただ、リリーはまだFACを勘違いしてる。そして、多くのリリー賛成派(NMEのこちらを参照)も、多分FACの意図を理解できてない。FACのパイラシーに関する姿勢に関しては、今まで私もやや不透明だと感じていた部分があったのですが、今回の声明でようやく分かりました。以下、「私の解釈の元で」という前提ですが、ポイントをまとめます。

●両者一致している点
- デジタル時代の今、新しい音楽ビジネス・スタイルが必要である。
- ミュージシャンは、音楽ファンによって作品を“購入”されることにより、収入を得るべきである。

●FACの主張("FAC Position on File-Sharing (21/9/2009)" より)
(1) FACの“ファイル共有に賛成”の意味することは、サイト運営により収益を得ているトラッカーサイト(例/ The Pirate Bay)を通じたファイル共有ではなく、(明記はされてないが、意味するところは)ミュージシャンサイドの決断の元、P2Pテクノロジー等を使って、試聴用やプロモーションの一環として、数曲をフリーダウンロード可能にさせることに対する賛同である(例えばNMEのウェブでは、“今週の無料DL”を行っている)。
(2) FACは、正確性が高く且つ独立したリサーチが少ないとの理由で、イギリス政府およびOfcomに対し、ファイル共有その真の価値、ファイル共有による様々なプロモーション効果や置換効果(?。英語は"effects of substitution")について調査するよう要求している。
(3) 政府によるネットの監視が行われた場合、きちんとした管理下で扱われているものも、誤って許可無しと扱われる危険があるほか、監視自体が個人のプライベートへの侵害行為である。

●リリー・アレンの反論("Not After a Fight (21/9/2009)"より)
(1) → P2P(のトラッカーサイト)はそもそも公共のもの。そしてファンは違法行為をやっているのだから、それを止めさせるのは当然のことである。FACはNMEを例に出していたが、NMEがファイル共有と決定的に違うのは、NMEはミュージシャン管理下、ファイル共有は管理外にあること。
(2) →記述無し。
(3) →政府が全てのネットのアクセス状況監視出来るはずがない。


こう書き出してみると、何故両者の議論がかみ合ってないのかが分かると思います。、リリーが、パイラシーとファイル共有を同義語のように見ているところに穴がある。パイラシー行為とファイル共有は深く関係しているけど、別物。前者は違法行為だけど、後者は正確に言えば違法行為ではない。FACはもとい、“違法”ファイル共有に賛成だなんて考えていない。パイラシーに関しては、むしろFACとリリーの意見はほぼ一致している。ただ、FACは、P2PというテクノロジーやフリーDLといった新しいプロモーション形態が、今後の音楽ビジネス、特に新人には有効なツールになると考えているだけ。この場合、前提はもちろん、そのツールは、ミュージシャンやレーベルの管理下で使われると言うこと。デジタル音楽に強いウェブが「リリーの言ってることは的を得てない」と指摘するのは、リリーや他のリリー擁護派がこの点を理解していないからだと思う。

後、ネットの監視を行ったことで、amazonで買い物した人が犯罪者にでっち上げられたり・・・みたいなミスが何件も発生しているというニュースが、何ヶ月か前にあったかと思います(ソース忘れましたが・・・)。ネットの監視は、最終的には、「ネットへのアクセスの自由や基本権を脅かしてはならない」とする欧州議会での決定に背くことになるのではないかと思います。

ここまでの議論を読んでみて、ようやく私も頭がクリアーになりました。私個人は、この件に関しては、FACを全面的に支持、応援したいと思います。ただ、まだ議論が必要なことでもあるので、引き続き今後の動きに注視していきます。

以下、愚痴兼小言。
今日のFACの声明で、彼らの意味するところがようやく理解できた後、それに対するリリーの反論を読んだのですが、FACは本当に可哀想だな・・・と、正直同情しまいました。FACは、彼らのスタンスを理解してもらうために、また何度も何度も似たような議論を繰り返さないといけないんだろうな、と。リリーのこの反論内容で、またマスコミが騒ぎ立てて、パイラシー事情をよく知らない人達(ファン、多数のアーティスト含む)が彼女の反論を読んで、「そーだそーだ!」と熱を上げるという構造が見えているわけです。日本での反応も少し読みましたが、まさにこの図に乗っているような・・・言葉悪いですが「若手代表リリーが、大物達(≒金持ち)を反撃!かっこいい!」みたいな人も中にはいますね・・・。そんなのは正直御免です。イギリスだったら、この手の問題は一般人同士ですらもっと専門的な議論になるのですが、さすがに日本じゃまだそのレベルまではいってないんだなと改めて実感。もといこの議論は日本の話じゃないから良いんですけど。

マネージャー業の長い私の指導教官もよく言ってますが、ビジネス関連の話をよく分かってないミュージシャンが非常に多い、と。FACが教育を活動の3本柱に入れてるのも、そんな考えがあるからだと思います。で、そのことは頭では理解していたのですが、今回の一連の議論を読んでいて、やっぱり先生の言ってたことは事実だな、と。リリーに対してもっとファイル共有やP2Pのあれこれを教えてあげる優しいスタッフはいないのか?と。そんな気分になりました。

と、いうことで、以上、愚痴でした。気分を悪くされた方、ごめんなさい。

最後、ネタ程度ですが、おまけ:
File-Sharing Heroine Lilly Allen is a Copyright Hypocrite - TorrentFreak (21/9/2009)

※追記(22/9/2009)
リリー・アレンの共有ファイル反対キャンペーンに、ミュージシャン続々と賛同 - Barks News
間違ったことは書いてないけど、この手のニュースは、両者の意見を平等にくみ取るべき。さもないと、さっきも書いた「リリーの反撃!イエーイ!」みたいな人が増えるだけで、ただのショウビズ的な感じで話が終わってしまう。
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anno69(@yano)

  • Author:anno69(@yano)
  • イギリスの音楽産業、特にデジタル・ミュージックと音楽産業における環境問題対策に関するブログ。スコットランド大学院留学記も。
    管理人は、スコットランドのグラスゴー大学大学院ポピュラー音楽学コースを修了し、帰国。音楽好きの普通の会社員をしています。お問い合わせは cielo0818_ls [at] hotmail.com までお気軽にどうぞ。
    A blog dedicated to topics of the UK music market in particular digital music, copyright and environmentalism in pop music.

    ●Twitter:http://twitter.com/anno69
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