イギリスの音楽産業について考えるブログ
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2009/10/01 04:06
日本のアンダーグラウンド・シーン - "Turning Japanese"
Turning Japanese: Notes from the Underground – Part one - The Guardian (29/9/2009)

英語が比較的簡単なので、読みやすいと思います。拙ブログでは度々取り上げている英新聞The Guardianの"Turning Japanese"シリーズで、「なぜ日本でアンダーグラウンド・シーンは発達しないのか?」を検証する特集が組まれています。関係者3名へのインタビューを紹介するそうで、今回はその第1回目。金沢をベースに活動するRallye Labelのチカコシ・フミさんが日本のインディシーンに関してコメントしています。

日本のインディシーンがどうこうという話に関しては、色んな人が色んな考えを持っていらっしゃると思います。私自身は、業界人でもないしミュージシャンでもないから分からない面もあるけど、両方の分野にそれぞれ片足を突っ込んだ経験があって、且つ今活躍してるミュージシャン達と自分が同世代(20代中盤)というバックグラウンドを持ちつつ、さらに、イギリスからかつて所属していた日本のシーンを見ている。こういった状況で記事を読んだのですが、少しひっかかる部分があったので、ブログ記事にしてみました。以下は、本当に私の個人的な考えです。

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●疑問1: ポピュラー音楽はカッコイイ以上の何かでなければならないのか?
UKパンクのDIY精神だとか、ヒッピーとフリー・フェスティバル・ムーブメントとか、(少なくとも)イギリスの音楽シーンは、しばし社会現象や風潮との関連の中で語られてきました。でも、その一方、この関係というのはしばしば美化され、誇張され、ロックの"myth(=通説、虚像)"となって、リスナーに根付いているという点は忘れてはいけないと思う。特に、"Most bands don't express themselves beyond fashion(ほとんどの(日本の)バンドは、おしゃれのフレームワークを超えたところで自分たちを表現していない)"なんて、一体何を根拠に言っているのか正直よく分からない。このコメントは" – except a few big artists promoting environmentalism.(一部の大物が、環境問題を訴えている以外は。(注:これはap bankや坂本龍一のこと?))"と続くのだけど、 やはり、ポピュラー音楽と社会問題を必要以上にオーバーラップさせすぎている気がする。
それから、年がら年中デモ行進やってたり、階級制度が今も色濃く残ってて毎日がバトルみたいな国(=イギリス)と比べたら、日本の音楽が政治色が薄かったり、所謂"ムーブメント"みたいな動きにならないのは当然の結果。少なくても私の世代は、(それが良いか悪いかは別として)政治やラディカルなことに熱心になるような環境で成長してきてはいない。だから、パンクも日本ではファッションになった。西洋音楽をスタンダードにして日本のポピュラー音楽を見るから、日本の音楽はダメに見えるのだと思う。日本のポピュラー音楽の方が長けていることだってある。

●疑問2: ポピュラー音楽はアート?商品?
'Japanese people have a tendency to think that music is not "art", but "entertainment", something to be consumed.(日本人は、音楽は"アート"ではなく、消費される"エンターテイメント"と考える傾向にある)'っていう傾向が強いのはむしろイギリス人の方で、日本人の方がずっとアート志向が強いと思う。その理由は、主に、"ポピュラー音楽=アート"というmythが日本ではまだ根強く残っていると思うから。ちなみに、ポピュラー音楽学のこの議論に関する立場は、以前拙ブログで紹介させていただいたが(URL)、消費されないポピュラー音楽はありえない - つまり、音楽は創作物という意味で"アート"であるが、消費される"エンターテイメント"でもあるという二面性を持っている、と考えられている。

●疑問3: メジャー志向は今でも強いのか?
"We grow up with J-POP and this is what young bands aspire to: joining a major label and getting famous.(私たちはJ-POPと共に育った。これこそ、今の若いバンドたちが切望しているもの - つまり、メジャーレーベルに所属して、有名になると言うことだ。)"というのは、少し理解できない。 私の1つ上の世代はAir Jam世代。そして私が中高校生の時は、インディレーベルに所属するパンクバンドが売れていて、インディレーベルの方がむしろカッコイイと思っていた世代だ。メジャー・レーベルに所属しなくても活動出来るようになる過程を見てきた(ただし、そのインディレーベルが実質メジャーの傘下、みたいな状況はあるだろう)Air Jam以降の世代の中で、メジャー信仰がAir Jam以前と同じかそれ以上に根強く残っているとは正直思えない。

●疑問4: 何故日本のバンドは海外で成功しないのか?
記事では「野心がないから」となっているけど、海外で活動している日本のインディバンドなんてうじゃうじゃいる。"Japanese indie bands influenced by western groups tend to sound exactly like the bands they are influenced by – so they don't appeal to an international audience because they don't have anything original to offer.(西洋ミュージシャンから影響を受けた日本のインディバンドは、影響を受けたバンドそっくりそのままの音楽をやる傾向がある。これではオリジナリティがないから、海外の音楽ファンには魅力的に映らない)"というのは、前半は同意できるけど、後半は少し違うかな、と。西洋のミュージシャンに影響を受けた日本のバンドのオリジナリティって、何だろうか?どんなことをやったら、海外の音楽ファンにも「これは日本ならではのロックだ!カッコイイ!」と思ってもらえるか?これも以前拙ブログで取り上げましたが(当時の拙い英語ですが、この記事の1、2、4パラグラフ目参照)、海外から需要のある日本のバンドは、"外国人にとって"日本っぽいバンドであって(例えばヴィジュアル系)、日本のバンド側ばかりを責めるべきではないと思う。
それから、英米には山ほどバンドがいて、日本のバンドが英米のメインストリームに入る隙がないってのはあると思う(アングラならあるだろうけど)。オーストラリアのバンドマンですら、「英米には入る隙がない」と言っている位だから、文化の壁がある日本のバンドならなおさら。

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唯一同意できたのは最後のパラグラフの前半部分。ライブハウスに出演するときのノルマは本当に高すぎると思う。友達に対してチケット代を値下げするバンドマンは多いから、仮にチケットを捌けても最終的には大抵赤字。私の友達のバンドは、1ライブにつき1人1万円前後払っていたが、これではライブを多くこなそうにも限界というものがある。このシステムを変えるのは不可能に近いとよく聞くが、少しでも良いので改善して欲しいと思う。

ともかく、色んな人の意見を聞くのは面白い。残り2人はどんな人が登場するのか、そしてどんな話が出てくるのか、とても楽しみ。

++++++++++++++++++++++++++

最後に、無事ロンドン到着しました。身の回りの整理はひとまず終わったので、これから少しお部屋のオーガナイズをしようかなと思います。グラスゴーは本当に好きだけど、比べるとロンドンが悪く見えるだけなので(過去の引っ越しで経験済み)、出来るだけ比べないで、ロンドンはロンドンとして、楽しみたいと思います。でも、グラスゴーにいる友達から「引っ越し大丈夫だった?」なんて連絡もらうと、まだほろっと来てしまう・・・うう(涙)。
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コメント
面白い記事どうもありがとうございました。

私のブログのほうでもちょいと語ってみたのですが(何も知らない庶民が何を、って話ですが)、そこでのコメントでもやはり日本の音楽のほうが反対にアート志向が強いという意見を書いてくれた方もいました。

読んでいる限り、日本のJ-Popと海外のインディー系のものと比べているような気がしてきたのだが、日本・外国限らす、メインストリームとアンダーグランドの音楽業界システムもファンも全然違うのだから、それは無論比べ物にはならないのではないか、と読み返してみると思ってきたりしました。
【2009/10/02 23:37】 URL | かっぷぬーどる #-[ 編集]
こんにちはー。
何も知らない庶民が、なんておっしゃらず!私も所詮は普通の音楽ファンですので。

かっぷぬさんの記事は、実はこの記事を書く前に読ませていただきました。トラバしようと思ったんだけど、私の記事はちょっと胡散臭いので自粛・・・。

> 読んでいる限り、日本のJ-Popと海外のインディー系のものと比べているような気がしてきたのだが、
そうそう、私もフミさんが一体日本の何と海外の何を比べてるのかサッパリ分からなかった。でも、彼(彼女?)のレーベル色とか渋谷系って話を聞くと、多分日本と海外のインディ・ロック/インディ・ポップかな、と。これでav○xやジャ○ーズ系が比較対象に入ってたら、おいおい、って感じだけど、それはなさそう。

音楽でも学問でも何でも良いんだけど、元々西洋世界がリードしてきた分野(文系)に関しては、「西洋が基準。故に東洋は基準から外れる=ダメなもの」みたいなことが当たり前に存在していると言うことをすごく感じるんですね。例えば、日本の基準から見たら、イギリスでカッコイイとされてることが理解できなかったりするんだけど、悲しいかな、イギリスの基準の方が世界ではよく知られている上に、イギリス側が、自国とそれ以外の国は基準が違うということに気付かない or 受け入れたがらない傾向にある。だから、いつまで経ってもこのImperialismっぽいところは変わらない。他の国は違うかもしれないけど、ポピュラー音楽の場合は、英米vsそれ以外って図式がずーっと続いてる。
でも、日本側も、「世界に通用するロック」なんて考えに囚われ続けてる場合じゃないと思って。例えばMonoがアメリカで売れたのは、彼らが“本物のロックをやってる”というより、“アメリカで評価されやすい音楽をやっている”と表現した方がよりしっくり来ると私は思っていて。

・・・って諸々の考えがあって、個人的には、インディレーベルが山ほどあるイギリスはすごいと思うけど、かっぷにちゃんがコメントしてくれたみたいに、それをそっくりそのまま日本に当てはめて考えるのはやっぱ無理があるかな、と。このガーディアンの記事はあと2回あるはずだから、あと2回でどこまで突っ込んだ話をしてくれるかにとりあえず期待!で。
【2009/10/03 06:27】 URL | @yano #-[ 編集]
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プロフィール

anno69(@yano)

  • Author:anno69(@yano)
  • イギリスの音楽産業、特にデジタル・ミュージックと音楽産業における環境問題対策に関するブログ。スコットランド大学院留学記も。
    管理人は、スコットランドのグラスゴー大学大学院ポピュラー音楽学コースを修了し、帰国。音楽好きの普通の会社員をしています。お問い合わせは cielo0818_ls [at] hotmail.com までお気軽にどうぞ。
    A blog dedicated to topics of the UK music market in particular digital music, copyright and environmentalism in pop music.

    ●Twitter:http://twitter.com/anno69
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