イギリスの音楽産業について考えるブログ
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2008/07/23 08:23
別の先生とお話
大学院で音楽産業のコースを主に受け持っているパートタイムの先生(確かPhDを持っていたはず)と寮の近くのヴィーガン・レストランでお会いしました。前にもちょろっと書きましたが、彼はアーティストのマネージメント業を長年やっていらして、今もグラスゴーの某バンドのマネージメントをしています。

何故指導教官が彼を紹介してくれたのかというと、彼が環境問題と音楽の関係について非常に興味を持っているからというのと、単に「彼のパートナーが日本人の友達とよくライブに行っているから紹介してもらいなよ!(←軽いノリ)」というのが主な理由。個人的にも環境問題との関係に対する興味が高まりすぎて死にそうになっていたので、頭の中で山ほど質問を準備して行きました。

「分からない英語は右から左に聞き流す」のせいで正確に理解できなかった部分もかなりありますが、あれやこれや環境問題のことはもちろん、ビジネス的な部分も結構話を聞くことができ、想像以上の収穫を得ることができました。何より、彼が最初に教えてくれた、今彼が取り組んでいる研究内容や研究の興味が、私が興味を持っていたことと非常に近かった上に、環境問題という点で音楽業界が今取り組むべきことや問題点についても意見がほとんど一致。彼みたいな人がコースの先生をやっていて本当にラッキーだと心底思いました。

忘れると困るので、自分用メモに今日話し合ったことを書いておきます(以下、超長文)。
環境と音楽に関わる話については以下のようなことが話題になりました。

【音楽メディアのあり方】
・デジタル配信は、CDやCDケース、輸送にかかる環境負荷を考慮するともっと普及されるべきものである。
・プロモCDや紙資料は、輸送コストや梱包、大量のCDの使用を考えると、ネット配信に切り替えるべきである。メディアやその他音楽業界の人々は、本当に必要な音だけを資料としてもらうようにすべきで、同時にレーベルはどれだけの人に事前に音資料を渡さなければならないのかも把握しておく必要がある。
・ウォーターマークCD(モニタリング可能なCD)をつくるぐらいならプロモ音源はネット配信にすべきである(私の意見)。

【フェスティバル】
・「eco-friendly」を謳っているフェスティバルの環境問題に対する取り組みが本当に機能していて、本当に炭素削減に繋がっているのか、また計画そのもの自体もどのように計算されているのかについては研究される余地がある。
・より多くの人が自家用車でフェスに行くようになっている傾向は今すぐ止めるべき。自家用車で付近の道路が渋滞になっているフェスが果たしてクリーンなフェスと言えるのか?
・イギリスのフェスはフランスや北欧のフェスに比べるとかなり“汚いフェス”と言える。

【ツアー】
・ツアーは炭素を大量に排出するエナジー大量消費ビジネスの一つである。
・飛行機をチャーターするようなツアープランは組むべきではない。より環境負荷の少ない移動のできるツアーの周り方を慎重に検討し、プランニングすべきである。
・1年2年かけてツアーをやっているようなバンド(例えば、私が今度見に行くFeeder)が、どのような順番で都市を回るのかについて追いかけてみるのは、移動による環境負荷を考える上で有効的である。
・マーチャタイズ(グッズ)などは、一般的にアメリカやアジアで生産されたものがイギリスに輸送され、それをひっさげて再び世界を回るという仕組みになっている。そのグッズがどんなに環境に優しい商品でも、生産から輸送の過程自体が既にグリーンな取り組みではない。
・たとえ、アメリカで生産されたTシャツをアメリカ・ツアーの際にピックアップする形をとっても、実際どれくらいの人数が会場に集まり、どれくらいのTシャツを購入するのか見積もるのは非常に難しい上に、事前に輸送したのにTシャツが届いていないといったトラブルも日常茶飯事であり、マーチャタイズの輸送に関しては難しい点が多い。
・バンドが大きくなればなるほど、機材を引き連れてツアーをするようになり、その分エネルギー消費も増える。ほとんどの都市でたいていの機材はレンタルできるのだから、機材の運搬は極力避け、機材レンタルに切り替えるべき。
・グリーンなエネルギーを生み出す発電機を使うことは有効な手段だが、それを運搬するとなったときのエナジーコストと、持続可能なエネルギーの使用による環境負荷の削減と、どちらの方がより環境負荷が少ないのかについては検討の余地がある(Radioheadは自分たちの発電機を持ち運んでいるのか、現地で調達しているのか?)。
・ツアーマネージャー達がどのようにツアーをプランニングし、実行しているのかをインタビュー調査することは研究としては良いアイディアかもしれない。


【その他】
・ライブの終演時間が遅すぎる。公共交通機関が十分に動いている時間に終演時刻を設定することは、ファンの移動による炭素排出を減らす効果的な手段といえる。
・公共交通の便の良い都市部から離れたところで行われるフェスやコンサートは非効率的といえる。
・環境負荷の最も少ない音楽形態はSWWではないか?(先生の意見)
・Radioheadの今回のツアーに対する取り組みは評価されるべきである。いくつか疑問点もあるが、それもおそらく、よく検討した上での結果であろうと推測される。
・環境と音楽の関係は、まさにこれから研究される分野である。参考資料も少なく大変だろうが、やる価値のある研究テーマでもある。

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環境と音楽についての話をしようと思った時、先生も私も、どうしても触れなくてはならなかったのがRadioheadの今ツアーでの取り組みについて。おそらく、私たちと同じような興味を持っている人の多くが注目しているでしょう。彼らが今公開している情報はこの問題を考える上でとても手助けになっていると思うし、先生も話を聞く限りそう考えていたように思います。ツアーにおける炭素排出量に関する科学的な調査は、私が調べた限り、おそらくレディへのBFFのレポートが初めてではないでしょうか(もし他の資料を知っている人がいたら教えてください)。これに関して私たちはRadioheadに感謝しなければならないと思います。

その他、ビジネス的な話もかなり面白かったのですが、このブログの趣旨とははずれるので少しだけ。
1番興味深かったのが、PIASレーベルのビジネススタイル。クリア・チャンネルやライブ・ネーションといった米エンターテイメント大企業の動向も今後注目していかないと。同時に、スモール・ビジネスについても考えていく必要があるし、何より、インターネットが音楽業界に与えた変化と次の可能性の検討は、環境問題に関わらず音楽業界全体を考える上で必要不可欠だと思う。ビジネスサイドに疎い私にはなかなかの難題になりそう。

こちらに来て、日本でインターンをしていた時に学んだ音楽業界のあれこれが本当に役立っているなと実感しています。それから、今の自分の音楽に対する考え方や姿勢の元になっている日本での音楽経験は本当に貴重だと思うし、日本の音楽ファンであることに少しばかり誇りを感じています。
イングランド在住経験がある人に聞くと、「ゴミで汚いのはグラスゴーとロンドンくらいだ」と言うけど、たとえそれが事実でも、日本人が思っている以上に、日本人の個人レベルでの環境問題に対する意識と取り組みは高いと思います。少なくても、グラスゴーの人たちと比べたら絶対そう。自分のそうゆうバックグラウンドは、今後も生かしていきたいです。

ともあれ、英語ができればもっと有意義になったはずの3時間半でした。先生に感謝。
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anno69(@yano)

  • Author:anno69(@yano)
  • イギリスの音楽産業、特にデジタル・ミュージックと音楽産業における環境問題対策に関するブログ。スコットランド大学院留学記も。
    管理人は、スコットランドのグラスゴー大学大学院ポピュラー音楽学コースを修了し、帰国。音楽好きの普通の会社員をしています。お問い合わせは cielo0818_ls [at] hotmail.com までお気軽にどうぞ。
    A blog dedicated to topics of the UK music market in particular digital music, copyright and environmentalism in pop music.

    ●Twitter:http://twitter.com/anno69
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