イギリスの音楽産業について考えるブログ
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2010/01/11 20:51
Big in Japan その2
Musicians counter falling CD sales with 'added value' packages to woo fans - The Guardian (3/1/2009)

前回の記事と少し被るので、併せて紹介しようと思ったのがこの記事。

ご存知の通り、“豪華デラックスBox”みたいな販売方法がここ数年で一気に増えてきました。その傾向はベテラン勢に多い気がしていたのですが、去年、新人アーティストでも、デビュー・アルバムを出して1年も経たないのに“ブレイクを機に、デラックスversionとしてアルバムを再リリース”みたいなのがあって、まぁここまでやるかとビックリしたものです。ガーディアンのこの記事は、まさにそのトレンドについて紹介したものなのですが、中には笑ってしまうような特典もあって、とても面白いです。記事から、特にユニークな特典の例をあげてみると:

- ミュージシャン本人の髪の毛(Lady Gaga)
- ミュージシャン本人とそのお友達のミュージシャンとのミニ・ゴルフ・セッション(Josh Freese(Nine Inch Nailsのドラマー))
- バンド・メンバーのものと同サイズ(と推測される)ピンクの夜のおもちゃ(Rammstein)


記事には他にも、サウンドチェックご招待とか、未発表音源プレゼントとか、もう少し普通の特典も紹介されてます。

このような生まれた背景には、言うまでもなくCDセールスの下落があります。デジタル・ミュージックに強いMusic AllyのStuart Dredge氏曰く:

「アルバムの価値が落ち、人々はアルバムを格安で、もしくはタダで購入したいと考えるようになったことを受け、アーティストは別の方法で利益を上げる必要が出てきている。その中で、アーティストは、本当の(≒コアな)ファンが欲しいと思っているものをエキストラとして与えれば、彼らはそれにお金を出すだろうということに気付き始めています。」


とのこと。昔からデラックスBoxみたいなのはあったと思うのですが、「コアなファンは、どんなに高くても欲しいものは買う」という認識を一般化させ、デラックスBox乱発な現状まで一気に押し上げたのは、やはりRadioheadとNine Inch Nailsがこぞって無料版とデラックス版を用意して後者を見事完売させたことが大きかったのではないかと思います。これは、Dredge氏も述べているように「TwitterやMyspace等で、ファンはバンドに対してかつてないほどの親近感を持つようになり、ファンクラブのメンバーシップやノベルティのバッジ以上のものが欲しいと思うようになった」ことの表れと言ってもいいのではないかと思います。

と、ここまで読んでいると、どうも日本の演歌/歌謡歌手が行っていたマーケティング方法に近い気がするのは気のせいでしょうか。以前「外タレが日本で売れるためには?」をテーマに大学院でプレゼンをやった時、森進一さんの後援会での活動を通じたファンとミュージシャンの関係に関する論文を参考にしたことがあるのですが、そこでもテーマになっていたのはやはり「親近感」(プレゼンの内容に関しては以前拙ブログでも書かせていただきました。こちらからどうぞ)。日本の場合、外タレには親近感を持ちにくいというのも、洋楽不振に繋がっているのではないかと個人的には感じているのですが、今じゃ海外でも親近感を持たせ、根強いファンベースを作り、彼らを特に狙い撃ちしたマーケティングが流行っているのかなぁ思いました。まぁ、日本で言う“親近感”とイギリスのそれとでは、また少し違うのかもしれませんが。

・・・と、そんな事を考えていた矢先、ポピュラー音楽学を教えていらっしゃる安田昌弘先生のTwitter経由で、日本進出を目指す海外ミュージシャン向けの、日本のマーケティング関連情報サイトの存在を知りました:

Japanese Music Marketing Resources - JICS (last accessed on 8/01/10)

詳細且つ正確な内容と十分な情報量で、このウェブサイトはかなり使えるのではないかと思います。感心してしまいました。ただ、日本の(若者の)音楽文化についてもさらってある(これはちょっと違う・・・と思うところもあるけど、ウェブ作成者が日本で学生時代を過ごした訳ではないようなので仕方ない)のですが、数的な情報と同じくらい、文化/社会面の考察をもう少し加えても良いのではないかと感じました。まぁ、こういったウェブサイトを読む人は元々日本の音楽マーケットに興味がある人でしょうから、一般の外国人以上に日本に対する知識/理解はあるのかもしれません。しかし、私のUKでの経験上ですが、日本と関わりのあるイギリス人(仕事で行ったことがあるとか、日本人の友達がいるとか)でも、突然トンデモな質問をされて驚くことが多々あります(その逆ももちろんあるわけですが)。ツアーで日本に来るだけでは、ミュージシャンも日本のぶっ飛んだところしか見られない訳だし、ちゃんとしたファンベースを築くには、数字以上の、もう少し深い理解が必要かな、と。「親近感」がものすごく大事なのに、様々な要因でそれを生み出すのが難しい訳だから、日本の音楽シーンでブレイクしたいなら、ミュージシャンサイドも丁寧なマーケティング戦略が必要だと思う。土佐周りみたいなのは無理なので、だったらミーグリなんてやらずとも、イギリスでやってるのと同じように、(まだ新人で且つ本人が乗り気なら)物販に出てきて売り子やるくらいはやっても良いのではないかと(今ふと思い出しましたが、去年、本国では今でも大人気のグレアム・コクソンですら、小規模ライブハウス・ツアー(もちろんsold out)では物販出てました。そんなもんです)。

ただ、話はブログの本題と逸れますが、ミュージシャンが親日家だったり、日本で既に売れてたりしない限り、イギリス側としては、日本のマーケットなんてぶっちゃけよく知らないし、最悪バンドが売れてない場合は日本はすっぱり切り捨てる場合が少なからずあると感じます(あくまでも個人的な印象ですが)。日本が優先順位低くなるのは当然なので仕方ないですが。ただ、ヨーロッパですら来てくれない国があるのに、日本に来てくれるっていうのはそれだけでも有り難いなぁ・・・と。かといって、外タレに(主に呼び屋が)変なサービスする必要もないと思うんですけど(だから一向に理解が進まないのでは?)。まぁ、この辺は実務経験のない私の推測なので何とも言えませんが・・・。
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anno69(@yano)

  • Author:anno69(@yano)
  • イギリスの音楽産業、特にデジタル・ミュージックと音楽産業における環境問題対策に関するブログ。スコットランド大学院留学記も。
    管理人は、スコットランドのグラスゴー大学大学院ポピュラー音楽学コースを修了し、帰国。音楽好きの普通の会社員をしています。お問い合わせは cielo0818_ls [at] hotmail.com までお気軽にどうぞ。
    A blog dedicated to topics of the UK music market in particular digital music, copyright and environmentalism in pop music.

    ●Twitter:http://twitter.com/anno69
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