イギリスの音楽産業について考えるブログ
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2010/02/21 16:13
デジタル印税収入の行方
MMF gives green light to new committee - Music Week (16/2/2010)
MMF launch committee to review royalty reporting - CMU News-Blog (18/2/2010)

Muisc Managers' Forum(MMF / 音楽マネージャー・フォーラム)が、この度「audit committee(監査委員会)」を設置。レコード会社や著作権管理団体がアーティストにレポートする印税収入を再検査し、これらレポーティング・システム --特に複雑化するデジタル収入に関するレポート --の業界基準を推進していくとのこと。MMFのCEOであるJohn Webster氏によれば、先週行わたMMFのミーティングにおいて、“(音楽業界での)新しい収入源”に関して、印税レポートを見ただけではどこでそこからの収入が申告されているかが非常に分かりづらいという意見が出たようです。特にデジタル関係に関しては、それぞれのレコード会社が違ったレポーティング・システムを持っているとのこと。しかし、スタンダードをつくることで、業界全体 --アーティスト、マネージャー、そしてレーベル--が利益を得れるのではないかとしています。委員会はマネージャー、会計士、法律家で構成され、今年後半頃から監査を始める予定とのことです。

デジタル音楽による印税配分に関して、「一体デジタル音楽からアーティストに渡るはずの印税はどこにいったんだ?僕は全然もらってない!」という話は皆さんも聞いたことがあるかと思います。私もグラスゴーにいた頃に身近で同様の話を聞いたことがあるので、デジタル収入の流れが不透明であることに不満を募らせている人は多いんだろうなと思います。

そんなことを思っていたところ、CMUの記事にとても面白い記事がリンクしてあったので併せて紹介します。
Not much joy: The tricky issue of major label royalty reporting - CMU News-Blog (4/12/2009)
My Hilarious Warner Bros. Royalty Statement - Too Much Joy Official Website(1/12/2009)

90年代初頭に活躍したアメリカのオルタナ系バンドToo Much Joyのメンバーで、現在アメリカの大手デジタル音楽プレイヤーRhapsodyで働くTim Quirk氏による暴露記事。人気のあった頃に契約していたワーナーのデジタル印税収入レポートと、インディー回帰後の作品から発生するそれを扱っている大手IODAのレポート、さらに、Phapsody勤務とあり、アルバムのプレイ回数などのレポーティング・システムを熟知した上で書かれており、かなり読み応えがあります。

かなり長いので、ざっくり流れをまとめると:

(1)TMJのデジタル音楽がオンラインにアップされて5年も経っているのに、これまで、ワーナーからデジタル音楽からの印税が全く報告されてこなかった。
(2)散々頼み込むこと1年、自分がワーナーの中である程度の地位が固められたのもあり、ようやくワーナー内で法律に関するカンファレンスが開催される運びに。
(3)商務担当者は、「現在のメカニズムにデジタル印税を上手く合わせていくのは非常に複雑な問題。それに、TMJはまだ借金返済が終わっていない。プライオリティはR.E.M.やRHCPのような既に返済が終わったバンドだ」と一言。
(4)しかし、この担当者が頑張ってくれたおかげで、無事TMJのデジタル印税収入がレポートされた。ここに辿り着くまでに13ヶ月かかったが。
(5)そのレポートによれば、ワーナーでリリースした3枚のアルバムからこの5年間で得たデジタル印税収入は62.47ドル。しかも、アルバムを3枚リリースしているのに、何故か2枚分しかレポートがない。iTunesからの収入も一切報告されていない。
(5)一方、インディー回帰後のアルバム4枚からのデジタル印税収入は、同じ5年間で12,000ドル。ワーナー期の方が明らかに人気は高かったはずなのに、デジタル印税収入はIODAからの方が多い。しかも、IODAは、どのサイトからどれくらいの印税収入があったか詳細に説明してくれている。
(6)デジタル音楽を発信する側は、1曲1曲のプレイ状況をしっかり報告している。それを受け、IODAも細かな情報を送ってくれている。しかし、何故ワーナーは似たような情報を提供できないのか?


Quirk氏は、これはワーナーが意地悪働いた結果ではないという:

"The reality is more boring, but also more depressing. Like I said, they don’t actually owe us any money. But that’s what’s so weird about this, to me: they have the ability to tell the truth, and doing so won’t cost them anything."
(現実はもっと退屈で気の滅入るものだ。私が言ったように、彼ら(ワーナー)はもはや我々に投資していない。しかし、彼らは我々に真実を教える能力があり、しかもワーナーには何のコストにもならないというのに、それをやらないというのは、私にとってはすごくおかしな事のように思える。)


そして、彼はワーナーの印税・ライセンシング部の担当者から聞いたこの言葉が、問題の核心だという:

“We don’t normally do this for unrecouped bands,” he said. “But, I was told you’d asked.”
(“我々は、このようなこと(=デジタル印税収入のレポーティング)を借金返済を終えていないバンドには行わない。”彼は言った。“しかし、君が頼んできたと聞いて、私はやったに過ぎない。”)


ということで、Quirk氏は“彼らは面倒くさいだけだし、やる必要もないからやってない”という結論に辿り着きます。メジャー・レーベルがバンドからお金を巻き上げようとか、意地悪しようとかそうゆうわけではないし、またちゃんとしたレポーティング・システムを作れる状態にもある。ただ単に、「10,000ドルのミスに“大したことない”と笑ってる」ワーナーのこと、売れないバンドにあれこれ手をかけるのが面倒くさくなっているだけ・・・ということが彼の主張なのだと思います。

ワーナーは言わずもがな大企業なので、デジタル時代のビジネス・モデルに対応するのがインディ・レーベルより大変だというのは想像に難くない話で、理解も出来ます。ただ、お互いの信頼関係という観点から見たとき、このあからさまなビッグ・バンド優先主義が、新人バンドのレーベルに対する不信を募らせる結果にも繋がっているとしたら、ワーナーはものすごく持続性のないビジネスをやっているように感じられます。特に、イデオロギーで動いてる面もある音楽ビジネスなら尚更。

もちろん書かれている暴露話の全てが事実なのかどうかという問題はありますが、Quirk氏の記事は読む価値があります。オススメです。
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anno69(@yano)

  • Author:anno69(@yano)
  • イギリスの音楽産業、特にデジタル・ミュージックと音楽産業における環境問題対策に関するブログ。スコットランド大学院留学記も。
    管理人は、スコットランドのグラスゴー大学大学院ポピュラー音楽学コースを修了し、帰国。音楽好きの普通の会社員をしています。お問い合わせは cielo0818_ls [at] hotmail.com までお気軽にどうぞ。
    A blog dedicated to topics of the UK music market in particular digital music, copyright and environmentalism in pop music.

    ●Twitter:http://twitter.com/anno69
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