イギリスの音楽産業について考えるブログ
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2010/05/15 23:51
音楽ビジネスへの関心の低さと日本の音楽メディアについて考える
アップルが新しいストリーミング・サイトを立ち上げ? - RO69 News (14/5/2010)
【参考】デジタル配信の未来と、その問題点 - Green Sound from Glasgow (3/5/2010)
ロッキング・オン運営のウェブサイトRO69で、以前、拙ブログでも取り上げたlalaの閉鎖とiTunes.comローンチの噂に関する記事がアップされました。RO69はNMEのウェブ記事を日本語訳して載せただけの記事なので、RO69に非はないのですが、指摘しておきたいことがいくつか。

まず、私がいくつかの海外主要メディアの記事を読んだ限り、「iTunes.comはlalaの流れを組むもので、Spotifyのような購読型にはならない」という見方が主流で、RO69にあるような「iTunes.comとSpotifyが似たようなサービスになる」という噂のされ方はしていない。また、RO69は原文を意訳して「アメリカで同じようなストリーミング・サービスを展開していたLala.com」としているけど、ストリーミングしている点では両サイト同じでも、lalaとSpotifyでは仕組みやサービス内容がかなり異なり、「同じようなサービス」という言い方には少し違和感がある。ちなみに、具体的な違いは、Spotifyは広告が挿入されるものの無料で音楽が聞き放題なのに対して、lalaはフル・ストリーミングは1度のみで、2回目以降は有料。また、今回のアップグレードでSpotifyもついに導入したけど、lalaは元々クラウドベースのライブラリーとしての面が大きかったという点も異なる。こういった細かい点は、何の知識もなしにNMEの記事を日本語訳するだけでは気づかないこと。ただ、仮にlalaもSpotifyも詳しく知らないなら、訳す時に軽くでも良いから調べて、必要なら補足か何かを入れるべきだと感じるのは私だけでしょうか。NME読者と違い、RO69読者はSpotifyのSの字も知らないでしょうから、説明不足のまま記事をアップするのは、読者に親切ではないな、と。

いくら日本が独自の音楽シーンを持っていようが何であろうか、海外での音楽ビジネスの状況については、日本の音楽ビジネスの今後を考える上で無視できない状況だと思います。それにも関わらず、関知しない人が多い気がする。音楽メディア側もよく知らない/調べないままで記事を掲載するから、事実と違ったり誤解を与える記事が平然と掲載され、事情を詳しく知らない読者が鵜呑みにしてしまうという悪循環が起こっている。関連記事を2つ紹介しておきますので、興味のある方はどうぞ。

rockin' on コレポン通信 from Londonへの意見書 - Green Sound from Glasgow (2/11/2009)
GIGAZINE さん、オンライン音楽配信をdisれるデータじゃないですよ - P2Pとかその辺のお話@はてな (23/4/2010)

日本の音楽コミュニティにおける音楽ビジネスに対する関心の低さは、最近すごく引っかかっています。この流れでもう1つ記事を紹介します:

今後の音楽ビジネス展望(大げさ)- ミーハーで何が悪い。(15/5/2010)
音楽ビジネスの未来を、歴史的背景を踏まえて書いた素晴らしいブログ記事。考察の結果導かれた答えの1つを引用させていただくと:

・プロの音楽家が発信する音楽については、まずメディアの固形物が消滅してデータ化に移行していくのは時間の問題。曲の単価も限りなくゼロに近くなり、ライブや音楽家の周辺グッズ等の総合的なパフォーマンスに対して対価を支払ってくれる客層を構築出来る人が生き残る世界になる。
以前より厳しい様にも見えるが、何てことはない、極論すれば昔のバッハやモーツァルトの時代と同じ(笑)。


言わずもがな、「ミーハーで何が悪い。」さんが書かれているような“日本の音楽ビジネスの未来”は、“イギリスの音楽ビジネスのの今”です(個人的には、日本の邦楽業界においてはイギリスの今と似たような現状が既にあると感じますが、イギリス程あからさまではないと思う)。PRS for Musicのチーフ・エコノミストWill Page氏によれば、最新のデータでも、イギリスではライブ産業の方がレコード産業より潤っているらしい(The Guardianのこちらの記事参照)。プラスして、イギリスでは、産業構造の転換が起こって数年経って、“その次”の段階に入っている感じもある。それから、同記事で取り上げられている坂本龍一氏の記事(こちら)も是非ご一読いただきたいのだけど、彼がこのインタビューで述べていることや彼自身の活動は、完全に海外基準(特に、5ヴァージョンでのリリースは、RadioheadのEd O'BrienがMidem2010用インタビューで述べていたことと被ります。拙ブログのこちら参照)。日本人ミュージシャンがこうゆう話をしてるからセンセーショナルに見えるけど、イギリスから見たら、教授くらい人気やキャリアのあるミュージシャンなら当然のこととして映るのではないでしょうか。

でも、こういった認識を日本の音楽ファンのどれほどの人が共有しているのだろうかと想像すると、少ないだろうことは想像に難くありません。日本で実際に変化が起こるまでには時間差があるだろうけど、デジタルの時代において、情報だけならすぐにキャッチできるのに。繰り返しになりますが、日本にはこれだけ豊かな音楽シーンがあるのに、日本では「音楽の“ビジネス”」となるとどうもイメージが悪いのか単にそこまで時間と気を回す余裕がないのか何なのか、音楽ビジネス、特に海外の音楽ビジネスに関する関心の薄さと情報量の少なさは少し異様に見えます。音楽ビジネスに関して、ものすごく建設的かつ興味深い議論が海外メディアでオープンに行われているのとは本当に対照的。私個人、音楽ビジネスと向かい合わずして、リスナーとしてますます音楽を楽しめるような環境を作っていくことは出来ないと考えているので、この関心の低さは少しでも改善されるべきだと思います。一部の素晴らしいブロガーさんたちが頑張ってくれてるだけでは変わらないと思うので、もう少しメディア側が音楽ビジネスに対する関心が高まるよう、ちゃんと動いてくれれば・・・と願っています。
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anno69(@yano)

  • Author:anno69(@yano)
  • イギリスの音楽産業、特にデジタル・ミュージックと音楽産業における環境問題対策に関するブログ。スコットランド大学院留学記も。
    管理人は、スコットランドのグラスゴー大学大学院ポピュラー音楽学コースを修了し、帰国。音楽好きの普通の会社員をしています。お問い合わせは cielo0818_ls [at] hotmail.com までお気軽にどうぞ。
    A blog dedicated to topics of the UK music market in particular digital music, copyright and environmentalism in pop music.

    ●Twitter:http://twitter.com/anno69
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