イギリスの音楽産業について考えるブログ
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2010/09/24 12:49
Julie's Bicycle: ツアーに係る温室効果ガス排出量に関するリサーチ結果
英音楽業界の環境対策を推進している団体Julie's Bicycleが、"Moving arts: Managing the carbon impacts of our touring - Volume 1: Bands"というレポートを発表したことは以前サラッと触れました。英音楽業界が排出していると考えられる温室効果ガスの大半はライブ活動に係るものということで、この度、ライブ活動のみにフォーカスしたリサーチが行われたという次第です。

以前から何度も書いているのですが、JBのリサーチは大学などの研究機関が行っていて、データの取り方から参考文献の量・質まで申し分なく、信頼おけるものだと思うのですが、リサーチの“後”がどうしても続いてこないというか。このリサーチ結果をどういかしていくかの有効な手段を見いだせていない状況にあるというか。実際にビジネスに関わっている人達も、本来は出来るだけ環境に負担の少ないチョイスをしたいのだという思いはもちろんあるのでしょうが、自分たちのビジネスに利益になるとハッキリ分からない限りはそう簡単には手を出せない。しかも、これは自分が社会人復帰して改めて感じたのですが、そもそも、JBのリサーチをゆっくり読む時間も余裕もない!これも学生時代に何度も書いているのですが、例えばですが、ミュージシャンからの要望があって、環境に負担が少ないチョイスを“行わなければならない”という状況を作らない限りは、このトピックに関してゆっくり考えることが出来ないのではないかと思います。

ということで、あまりこの先の展望が見えてこないので、音楽と環境ネタはしばらくお休みになるかと思いますが、今回のレポートに関してざっくりまとめたのでアップしておきます。元のレポートはこちらでダウンロードできます。
【基本情報】
- イギリスをベースに活動する16バンドが2009年に行った32のツアーをデータとして使用。内訳は、地域で見るとUK11、ヨーロッパ10、その他11。規模別ではクラブ6、シアター12、アリーナ11、スタジアム3。
- 関係者(アーティスト、マネージャー、ツアー/プロダクション・マネージャー、エージェント、プロモーター、コンサート会場、その他関係者)を対象にインタビューやフォーカス・グループによる聞き取りを実施。

【結果(全体)】
- 推測される2009年のCO2e量は85,000トン内、2/3が国外ツアーに係る排出であった。内訳は以下の通り:
・シアター:72% 61,065tCO2e
・アリーナ:16% 13,470tCO2e
・クラブ: 9% 7,578tCO2e
・スタジアム: 3% 2,590tCO2e
- 調査に係るオーディエンス数のうちの2/3はイギリス在住と考えられるため、残り1/3のオーディエンスのためのツアーにより、全体の2/3のCO2eが排出されたことになる。
- 各アリーナ公演毎で見ると、ヨーロッパ開催の場合はUK国内のおよそ2倍、ヨーロッパ外だと3倍のCO2e排出量が見込まれる。
- 飛行機による人や機材の移動に係る排出量が、国外ツアーの場合圧倒的に多く、人の移動は最低でも半分、機材運搬が1/5から半分の排出量を占める(機材運搬量にもよる)。

【結果(イギリス国内)】
- CO2e排出量のおよそ半分がシアター・レベルのツアーに、1/3がアリーナ・ツアーにそれぞれ係ると推測される。
- クラブ・ツアーはイギリス国内ツアーのオーディエンスの1/5と推定され、この種のツアーから排出されるCO2e量はイギリス国内ツアーの排出量全体の4%と考えられる(つまり、公演数自体はクラブの方が圧倒的に多いが、公演数の少ない大きめのツアーの方がCO2eの排出量が多いと考えられる)。

【補足① - 傾向】
- アリーナ・レベルや大きめのシアター・レベルのツアーが増えている。これは、数少ない多国籍企業がこのレベルの会場を買収することで起こっている。
- より多くの会場が、クオリティの高いサウンド・システムや照明を取り入れるようになったため、アーティストが自身の機材を持ち運ぶ必要性が以前よりは低くなっている。
- より多くのアリーナ・クラスのアーティストが、プレミア料金のつくresidency tour(同じ会場で何日もライブをやる)に興味を持ち始めている(故マイケル・ジャクソンのLondon O2 Arena50公演みたいなやつですね)。
- フェスティバルの数は増えている。特に、これからというアーティストにとっては、財政面で効率的に且つ低リスクで、より多くのオーディエンスを迎えることが出来る場となっている。
- フェスティバル数増加に伴い、フェスティバルのみを回るツアーを組むアーティストも増えている。

【補足② - 統計】
- イギリス国内およびイギリスをベースに活動するアーティストが海外で行うパフォーマンスの数は、年間およそ50,000ほどと考えられる(国外アーティスト含む)
- ツアータイプの内訳:70% - クラブ; 28% - シアター; 3% - アリーナorスタジアム
- 地理的状況:78% - イギリス国内; 14% - ヨーロッパ; 8% - その他
- イギリスをベースに活動するアーティストによるライブに来る観客数は、国外公演も含め、最低でも年間6000万人と推定される。うち、4300万人(71%)はイギリス在住者と考えられる。
- 4300万人の内、47%に当たる2000万人がシアター公演、28%に当たる1200万人がクラブ公演、19%に当たる820万人がアリーナ公演のオーディエンスと考えられる。
- さらに、およそ250万人がイギリスをベースに活動するアーティストのイギリス国内のスタジアム公演を、360万人が国外でのスタジアム公演を見に行ったと考えられる。

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anno69(@yano)

  • Author:anno69(@yano)
  • イギリスの音楽産業、特にデジタル・ミュージックと音楽産業における環境問題対策に関するブログ。スコットランド大学院留学記も。
    管理人は、スコットランドのグラスゴー大学大学院ポピュラー音楽学コースを修了し、帰国。音楽好きの普通の会社員をしています。お問い合わせは cielo0818_ls [at] hotmail.com までお気軽にどうぞ。
    A blog dedicated to topics of the UK music market in particular digital music, copyright and environmentalism in pop music.

    ●Twitter:http://twitter.com/anno69
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