イギリスの音楽産業について考えるブログ
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2011/09/01 00:18
"termination clause"の影響とEMI売却話
既報ですが、アメリカの著作権法“Copyright Act of 1976”にある、レーベルなどが保有している原盤権が所定の手続きを踏むことでアーティストに戻ってくるという条項“termination clause”(消滅条項)の存在が話題になりました。ロッキング・オン社のウェブサイト、RO69でもこんな感じで取り上げられています:

1978年リリースの作品のマスター音源がすべてレコード会社からアーティストに強制返還? - RO69 (16/8/2011)

かなりざっくり説明すると、この条項は、アメリカ国内で1978年1月1日以降にリリースされた作品について、リリースから35年経つと原盤権がアーティストに戻されるというもの。アーティストがこの権利を行使するには、2年前までに権利の返還を申し立てなければなりません。1978年リリース作品の権利返還には、この申し立てを今年中に行う必要があり、既にボブ・ディランやトム・ウェイツが申請中とのことでニュースになったと言うわけです。Billboard.bizによれば、今年上半期のアルバム・セールスの49%、単曲セールスの60%がバックカタログものということで(こちらを参照)、バックカタログは(特にメジャー・)レーベルにとって大事な収入源。後述しますが、もしも申請が通れば、今後レーベルにとっても大損失となります。

これ自体とても重大なニュースなのですが、今日、下記のニュース記事を読んでいたら、どうもこれは単に「年を追う事に権利がアーティストに戻ってレーベルが大損失」というレベルの話ではない気がしてきました。

Sources: EMI Valuation Is Suddenly Under Attack... - Digital Music News (30/8/2011)

ご存じの方も多い通り、Citigroupが現在、傘下にあるEMI Musicの売却に向けて動いており、複数の企業が名乗りを上げていると報じられています。そのEMIと言えば、ザ・ビートルズをはじめとした大物アーティストのバックカタログを多数保有するレーベル。しかし、EMIの投資者の一人がDigital Music Newsに対して以下のように語っています:

“If EMI were sold ten years ago, it wouldn't have made a difference," one investor told Digital Music News. "Now, it's a factor, and [investors] will be going back to look at every piece of catalog [in their assessments].”
(“もしEMIが10年前に売られていたら、重要なことではなかったかもしれない。”ある投資家はDigital Music Newsに語った。“しかし今それは重要なファクターで、(投資家たちは)アセスメントの際にカタログの一つ一つをチェックすることになるだろう”)


また、Digital Music Newsの同記事の冒頭はこのように始まります:

"Citigroup is apparently very motivated to dump EMI Music, considered a seized 'toxic asset' in certain circles."
(サークル内を占拠する‘不良資産’を考慮すれば、Citigroupは恐らくEMI Musicを売り出すことに非常に前向きなのではないだろうか。)


これらのコメントは、消滅条項の存在がレーベルの未来を左右するかもしれないという状態の今、売りに出されているEMIに向けられている投資家達やその取り巻きの目が変わりつつあることを表しているのだと思います。もちろん、レコード・セールスの世界的な下落といった要因もありますが、プラスして、貴重な財産(=バックカタログ)がどんどん手元から離れていく(かもしれない)レーベルに誰が投資するのか?誰が買うのか?そんなクエスチョンが、少なくても一部の間では回り始めていることを示しているのではないでしょうか。これはEMIだけでなく、バックカタログでビジネスを回している多くのレーベルにとっても他人事ではない話です。

では、果たして本当にアーティストの申請が通るのかは、実はちょっとした議論になっています。この件については、このブログ記事では非常にざっくりとしか説明出来なかったので、自分の勉強の意味も含めて次回もう1度取り上げたいと思います。下記は、次回取り上げようと思っているDigital Music Newsの消滅条項に関するガイド記事ですが、音楽業界を専門とする弁護士、Steve Gordon氏によって非常に分かりやすく解説されています。是非ご一読頂きたいので、先に紹介しておきます。長い英文ですが、お時間ある方は是非。

The Comprehensive Guide to Reclaiming Your Old Masters... - Digital Music News (29/8/2011)
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プロフィール

anno69(@yano)

  • Author:anno69(@yano)
  • イギリスの音楽産業、特にデジタル・ミュージックと音楽産業における環境問題対策に関するブログ。スコットランド大学院留学記も。
    管理人は、スコットランドのグラスゴー大学大学院ポピュラー音楽学コースを修了し、帰国。音楽好きの普通の会社員をしています。お問い合わせは cielo0818_ls [at] hotmail.com までお気軽にどうぞ。
    A blog dedicated to topics of the UK music market in particular digital music, copyright and environmentalism in pop music.

    ●Twitter:http://twitter.com/anno69
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