イギリスの音楽産業について考えるブログ
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2011/12/13 01:25
"ガラパゴス化"を再考する -JASPM23の個人発表を終えて-
改めまして、昨日12月11日、JASPM23(第23回日本ポピュラー音楽学会年次大会)にて、個人発表の機会を頂きました。私個人の思いはさまざまあるのですが、発表を終えた後に人と話したり自分で考えたことをここでまとめようと思います。

その前に、JASPM23に参加していた方で初めてこのブログに来て下さった方用に。大学院時代は、デジタル関係とは全く関係のない、こんな研究をしていました。著作権関係は院時代のレポート課題で書いたりはしていましたが、デジタル関係については、個人の興味関心に基づいて調べてきた・・・という経緯です。

"Who can make the live music industry go green?" - Green Sound from Glasgow (18/8/2009)




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いきなり話が遡りますが、今回の発表をするに辺り、指導教官を持たない私は、デジタル関係やレコード産業に精通している友人2人にお願いして、事前に発表内容をチェックしてもらいました(ありがとうございました!>友人たち)。その時のあれやこれやの面白い話し合いを元に、ストーリーを組み立て、発表内容の絞り込みを行ったのですが、発表を終えてみて、その過程で省いてしまったところにこそ、ちゃんと説明した方が良かったのかなと思いました。

その友人たちとの話の中で、“ガラパゴス化”という言葉がひっかかりました。クラウド型の音楽サービスに興味を持つ方なら、新しい音楽サービスのニュースがアメリカやヨーロッパのメディアを賑わす度に「これで日本はますますガラパゴス化だな」と感じたり、もしくは誰かが発したそのようなコメント目にしたことがあるのではないかと思います。友人達と話し合った時、私はこの言葉にかなり引っ張られていて、一体何が“ガラパゴス化”なのか混乱していたのだと思います。その部分が、発表を終わって色んな方とお話をする中で、やっとこ何となく見えてきたかなと。

例えば、市場の8割を占める邦楽は、一部はアジアを始めとした海外で評価され人気を獲得しているものの、基本は国内だけで回していける。巨大な日本のマーケットだけで音楽産業が成長を遂げたことや、日本のポピュラー音楽の海外輸出がなかなかうまくいっていない状況を見れば、(発表でも述べたとおり)日本は元々ガラパゴス化に近い状態であったと言うことができると思います。

でも、(これは発表中では省いてしまったのですが)日本を含むポピュラー音楽のどの国の主要マーケットも、採用しているフォーマットのメインはフィジカル(=CD)かデジタル(=音楽配信)。それに付随するハードも含め、基本的には日本だけ独自のフォーマットを採用しているわけではありません。なので、ハード面を考えれば、これだけガラパゴス化と言われる今でさえ、日本から海外に出て行くことも、海外から日本に入れることも問題なくできる。そうゆう意味では、ガラパゴス化しているとは言えない。つまり、インフラ自体はまだ世界と問題なく通じているのです。

こういった状況の中で、ポスト・パッケージ時代の到来が間近に迫ってきた:

CD-format to be abandoned by major labels by the end of 2012 - Side-Line Music Magazine(23/10/2011)

「メジャーが、デラックス盤仕様のCDを除き、2012年末までにメイン・フォーマットをCDから配信に移行するプランを計画している」というこのすっぱ抜き報道は、あくまでも噂レベルと考えて良い話だと思います。ただ、フィジカルとデジタルのシェアが逆転してデジタルがメイン・フォーマットになったアメリカにおいては、近い将来のフォーマット・シフティングがかなり現実味を帯びてきたのは間違いないかなと、個人的には考えています。

仮に、アメリカがこの記事の通りのフォーマット・シフティングを行ったとします。そうすると、インフラ的には日本から海外に出て行くことはまだまだ可能ですが、その逆が怪しい。アメリカのレーベルがCD用マスターの製造を止めたり製造数を減らすと、日本の洋楽はパッケージ商品をメインにビジネスを続けることができなくなる。CDはデラックス盤以外製造しないので輸入盤も激減していくでしょう(ただし、カタログ商品は残る)。とは言え、洋楽のシェアは2割ほど。なので、仮に洋楽CDが次第に消えていっても、今の傾向が変わらなければ邦楽はその後もCDメインでいくでしょう。このように、日本がソフトでもハードでも日本独自のマーケットが作られ、ついにはハードの面でも海外進出が難しくなった時、本当の意味での“ガラパゴス化”になるのではないかと思います。

ただ、現在はハードを考える前に、まずソフトな面を考えたり変えていくことが先なのではないかと思っています。これは個人の推測ですが、日本に新しい音楽サービスが参入しないのは、文化的や制度的な面も大きいと同時に、日本の(特に)メジャーがあまりにクローズドである点もかなり大きいのではないでしょうか。この部分はビジネスに関わる部分だからこそ、変えようと思えば比較的変えやすい点だと思います(逆に、頑なに変えないこともできる)。ここを動かせば、更にその先のあれこれも変えられるチャンスが広がる。だからこそ、まずは、日本のレコード産業には“姿勢”の変化を期待したいと思っています。

そしてもう1つは、消費者の力に期待したい。現時点で赤字か黒字かはさておき、Spotifyもwe7もturntable.fmもPandoraも、魅力的なサービスを提供し、根強いファンを獲得できたからこそ、現在もサービスを続けることができているのだと思います。消費者を味方につけたサービスはやはり強い。少しでも面白いサービスが出てきたら私もサポートしたいし、面白いサービスが出てこれるような市場を担う消費者の一員でありたいと思います。

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と、こんな感じにまとめて、終わりたいと思います。

JASPM23当日は、色んな先生や学生、業界の方とお話する機会ができ、非常に充実した2日間になりました。関係者の皆様、本当にありがとうございました。
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anno69(@yano)

  • Author:anno69(@yano)
  • イギリスの音楽産業、特にデジタル・ミュージックと音楽産業における環境問題対策に関するブログ。スコットランド大学院留学記も。
    管理人は、スコットランドのグラスゴー大学大学院ポピュラー音楽学コースを修了し、帰国。音楽好きの普通の会社員をしています。お問い合わせは cielo0818_ls [at] hotmail.com までお気軽にどうぞ。
    A blog dedicated to topics of the UK music market in particular digital music, copyright and environmentalism in pop music.

    ●Twitter:http://twitter.com/anno69
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