イギリスの音楽産業について考えるブログ
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2008/10/08 08:36
評論家を疑う
大学院が始まって2週間程経ちます。大学院の勉強は今ポピュラー音楽楽の基礎の基礎の段階です。ポピュラー音楽とは何か?いつ始まったのか?その背景は何か?ポピュラー音楽を学ぶ意義とは?・・・そんなところ。読書、読書の毎日です。

そんな日々で最近感じるのは、テレビや雑誌が当たり前のように唱えている歴史や価値観は疑うべきだということ。これは私の意見であって答えではありません。ただ、1つどうしても気になっているのは、「エルビスをロックンロールの創始者」やそれの対抗意見としての「エルビスの前からロックンロールは存在していた」、また「商売のためにつくった音楽は本物じゃない」といった考え方。エルビスに関して言えば、エルビスが象徴的な人物且つ影響力を持っていたことは確かだと思いますが、取り巻きが盛んに"ロックンロール"という言葉を宣伝文句にしたからこそ「エルビス=ロックンロール」という図式ができあがったのであって、エルビス(もしくは彼の曲の作曲者/作詞者)がロックンロールというジャンルを「生み出した」わけではないし、ある日突然ロックンロールが始まったわけでもない。また、商業音楽についても、ジャズの時代から音楽は収入を得るための手段であった背景があります。その当時の作曲者は「作曲=収入源」というアイディアにインスパイアされて曲を作っていたとする専門家もいます。さらに、この話の最も根源に関わることの1つは、多くのポピュラー音楽がマイクやアンプなどの機器を使用し、レコードやCDを使って作品を発表されている点。これら全ての必要品が「メディア」です。マス・メディアは消費されるために存在しているものである故、「音楽も消費されるもの」であると言うことが出来ます。このセオリーが適用された場合、どこに「本物の音楽」があると言えるでしょうか?例え営利目的でなく自分たちの芸術センスそのままに音楽をつくって、たまたまそれがネットやらにあげて人気が出たとしても、本人の意図はさておき、ネットもビデオも"マス(大衆)"にその音楽を伝えるための"メディア"です。よって、これらの音楽も消費されるためにあると言っても間違いではないはずです(この議論は「authenticity(本物)」「aesthenticity(美意識)」の授業でまた年内に学ぶと思います)。

個人であれこれ話すのは楽しいです。「あのバンドはロックじゃない」とか、「このアルバムは最高だ!」とか「このバンドが時代をつくったんだ!」とか。でも、こういった価値判断基準は、ほとんどレコード会社やレーベル、マスコミの販売戦略が元になっているように感じます。大学院のコースを始める前から似たようなことは考えていましたが、改めて学んでみると、センセーショナルな見出しやキャッチフレーズに踊らされているのはなんてバカバカしいんだろうかと感じます。もちろん、彼ら無しで私たちは音楽を受け取ることができないのですが。ただ、マスコミがポピュラー音楽を語った時、ある意味その批評はその評論家の"作品"として考えることが出来るかもしれません(こう想定すると、その作品は果たして本物なのか?という議論になり、じゃあ本物とは何なのか?と永遠終わりのない議論に突入するのですが)。その作品が好きで好んで受け入れるのはアリだと思います。どちらにしろ、評論家は媒体であるかもしれないけど媒体にはなりきれないのではないでしょうか。

私は1度ここで、何でも良いので1本ポピュラー音楽に関する学術本を読まれることをオススメしたいです。ただし、三井徹氏を初めとした代表的な先生のものか日本人以外の専門家の書いた日本以外の音楽シーンに関わるもの。なぜかというと、まず、日本におけるポピュラー音楽評論はほぼ評論家達によって行われてきたから。もう1つは、「今プレゼンテーションのために日本のヴィジュアル系バンドのファンについての論文を何本か読んでいるのですが、明らかに違うだろうという話が非常に多くて目に付いて内容が信頼できないから。後者の例をいくつか取り上げるとこんな感じ:

- ヴィジュアル系をさらに音楽ジャンルで系統分けした時の各系統の代表バンド名の半分くらいが明らかに無名バンドである点。
- コスプレが一般大衆にも認知され始めたのは1998年のヴィジュアル系ブームの時だとする意見(雑誌「アリーナ37℃」がそれよりはるかに前から「コスプレさん いらっしゃ~い」をやっていた事実(懐かしい・・・)やXの人気によってファンもTVなどで取り上げられていた事実を完全に無視している)。
- X JAPANが"X"名義でリリースしたアルバムを注釈無しに思いっきり「X JAPANがリリースした」としている点。

1番気になったのは、何の注釈も無しに「X JAPANからヴィジュアル系が始まった」と断言している点。これは、「エルビスがロックンロールを生み出した」と同じ位危険なことだと思います。これらの論文の言いたいこと自体は興味深かい点もあるのですが、上記の点は、日本のヴィジュアル系シーンの理解違いに繋がりかねないのではないかと思います。日本のロックシーンはポピュラー音楽の専門家がほとんど手をつけていない分野なだけに、数少ない記事がこうゆう結果なのは個人的に残念です。

セオリーは嫌いだけど、意外と面白いことも多いです。ためになります。
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anno69(@yano)

  • Author:anno69(@yano)
  • イギリスの音楽産業、特にデジタル・ミュージックと音楽産業における環境問題対策に関するブログ。スコットランド大学院留学記も。
    管理人は、スコットランドのグラスゴー大学大学院ポピュラー音楽学コースを修了し、帰国。音楽好きの普通の会社員をしています。お問い合わせは cielo0818_ls [at] hotmail.com までお気軽にどうぞ。
    A blog dedicated to topics of the UK music market in particular digital music, copyright and environmentalism in pop music.

    ●Twitter:http://twitter.com/anno69
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