イギリスの音楽産業について考えるブログ
--
--/--/-- --:--
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告 トラックバック(-) | コメント(-) | Page top↑
--
2008/10/17 06:23
「Pay-what-you-want」実験の結果が明らかに
音楽業界のベンチャー企業などが参加したアイスランド発のコンフェレンス「You are in Control」。アイスランドの財政難で開催が危ぶまれましたが、昨日今日と無事に開催、そして、こんなニュース到着です。

Exclusive: Warner Chappell reveals Radiohead’s ‘In Rainbows’ pot of gold - Music Ally(15/10/2008)

「Pay-what-you-want」形式で昨年10月に発売されたRadioheadの最新作「In Rainbows」。以前にも、経済面でもかなりの成果を上げたらしいといった話があったような気がするのですが(Edがロラパルーザかなんかのフェスのインタビューでも言ってましたね)、今回、バンド側からではないにしろ、初めてその「実験」結果の一部がオフィシャルに発表されました。これは、Radiohead作品の著作権管理をしている音楽出版社「Warner Chappell(ワーナー傘下)」のJean Dyball氏が、同コンフェレンスにおいてパネラーとして報告したものです。とてつもなく長い記事になってしまいましたが、とても興味深い結果が出ているので是非読んでいただきたいです。長い文章を読む時間と心の余裕のある方は、「続きを読む」からどうぞ。
以下、記事よりDyball氏が発表した実験結果です。

・「In Rainbows」のCDリリース以前の売上のみで、前作「Hail To the Thief」の総売上を超えていた(ただし、RadioheadがiTMSで旧作を売り始めたのは最近であり、当然旧作のデジタル配信での売上は低い)。
・「In Rainbows」の総売上枚数(CD、Boxセット、デジタル配信(オフィシャルサイト含))は300万枚以上である。
・「Pay-what-you-want」形式での販売期間中、想定以上に平均購入価格が下がった場合、いつでもこの形式での販売を終了する準備があった。発売の終了時期を発表しなかったのもそのためである。
・バンドのマネージメントは、「Pay-what-you-want」形式での販売期間中、1日ごとに音源の平均購入価格をモニタリングしていた。予測されていたとおり、購買層がコア層のファンから一般のファンに移り始めるにつれて平均価格は下がった。


そして、以下が統計的な数値。記事の1番下にある統計欄をそのまま訳してます。

・オフィシャルサイトでの販売終了後にリリースした通常版CD「In Rainbows」はイギリスとアメリカでチャート1位を獲得。
・「In Rainbows」はRadioheadがiTMSで発売した最初のアルバムであった。アメリカのiTMSでアルバム単位で購入された数は、最初の1週間で3万件に上った。
・通常版CDは175万枚を売上げ、現在も以前イギリスとアメリカではチャート200位圏内にランクインしている。
・オフィシャルサイトにて限定発売されていたBoxセット(40ポンド)は、10万セットを売り上げた。
・Radioheadが後にライセンス契約し、オフィシャル音源が無料で聴けるlast.fmでは、1700万近い再生数を記録している。
・「In Rainbows」のワールドツアーの観客総動員数は(おそらく、この後の南米ツアーも含め)およそ120万人である。
・この実験によって得た収益は、今年Warner Chappellがイギリス国内のデジタル配信で得た収入を劇的に伸ばす結果となった。


ちなみに、The Guardianの記事に追加の統計がありました。

In Rainbows outsells last two Radiohead albums - The Guardian(16/10/2008)

この記事では、「In Rainbows」(UK?世界規模で?)のCD売上枚数は(BoxセットのCD10万枚も含むのかは不明)、「Hail To the Thief」だけでなく「Amnesiac」をも上回るとしています(ヘイルは99万枚、アムニは90万枚だそうです。Hits Daily Double調べ)。さらに、「In Rainbows」のみのデジタル配信での売上は、Radioheadの過去全てのアルバムのデジタル配信による売上合計を上回るそうです。

参考ですが、同じような形態で今年3月に新譜を発表したNine Inch Nailsはオフィシャルで数値を報告していて、発表された時点で、発売したフォーマット全ての総購入数は計78万1917。売上はおよそ160万ドルだそうです。

話をMusic Allyの記事に戻します。この実験がもたらしたものは、記事にもあるようにたくさんあると思うのですが、やはり注目したいのは以下の点。

One myth which Dyball is completely successful in busting is the accusation that the band were somehow foolish by giving away the songs for free. The fact that Radiohead had made more money before ‘In Rainbows’ was physically released than they made in total on ‘Hail To the Thief’ is surely evidence enough that the initiative was a tremendous success.
(Dyball氏は、「楽曲を無料であげるなんてなんてRadioheadはなんてバカなんだ」とする意見を打ち破ることに完全に成功した。「In Rainbows」が、通常版CDリリースを前に、既に前作「Hail To the Thief」の売上を超えてしまっていたという事実は、Radiohead自らの手によるリリース形態がとてつもない成功をおさめたことを確かに証明している。)



もちろん、違法ダウンロードの方が数としては多いでしょう。しかし、記事は、「それを考慮しても、この実験が成功でないと否定すべきでない」と評価。また、バンドの側近中の側近である“信頼の輪”の中で、バンドとともにこの極秘計画を進め、(おそらく)もっとも理解なるRadioheadの長年のマネージャーChris Hufford氏について、「彼からは興味深い話が聞けるはずだ」と伝えています。私もそう思います。彼が何か話すとは思えませんが。

このニュース、日本のジャスラックとも言えるMCPS-PRS Allianceにとっては、大打撃になったかもしれません。なぜなら、「アーティストの権利のため!」と必死にルール作りをしているにも関わらず、この実験は、彼らなしでアーティストは多大な利益を得ることができると証明してしまったのですから。記事は、この点に関して、Warnerが、バンドに直接お金が入ることを可能にする、より柔軟な動きを可能にした点(RadioheadのiTunesやlast.fmの使い方とか)を指摘しつつも、Dyball氏の「音楽出版社が社会から手を引くという訳ではない」と冷静にコメントしています。

記事が指摘する唯一の問題は、この実験が成功しすぎたあまり、音楽的な評価よりこの実験に注目が集まってしまったこと。レディへの音楽話なんて1度もしたことがないこのブログも、まさに指摘されている人達の一部になるのでしょうか・・・まぁ、このブログは音楽的な評価は一切載せないので、関係ないということにしておきましょう。

最後に、記事の最後の部分を訳無しで引用します。こうゆう愛に溢れた記事は好きです。

The band may not do things the same again. But the significance of the initiative, and the fact that they even tried it, is a huge testament to a band who remain such trend setters, even today some 15 years after the release of their first album.

スポンサーサイト
音楽ニュース トラックバック(0) | コメント(0) | Page top↑
NMEを信じるな? | Home | 情報の信憑性
-
コメント
-
コメントの投稿











管理者にだけ表示を許可する

-
トラックバック
トラックバックURL
-
プロフィール

anno69(@yano)

  • Author:anno69(@yano)
  • イギリスの音楽産業、特にデジタル・ミュージックと音楽産業における環境問題対策に関するブログ。スコットランド大学院留学記も。
    管理人は、スコットランドのグラスゴー大学大学院ポピュラー音楽学コースを修了し、帰国。音楽好きの普通の会社員をしています。お問い合わせは cielo0818_ls [at] hotmail.com までお気軽にどうぞ。
    A blog dedicated to topics of the UK music market in particular digital music, copyright and environmentalism in pop music.

    ●Twitter:http://twitter.com/anno69
-
最近の記事
-
最近のコメント
-
最近のトラックバック
-
月別アーカイブ
-
カテゴリー
-
ブログ内検索
-
RSSフィード
-
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。